腹立たしい人間の生命状態は、十界論でいうところの地獄界、餓鬼界、畜生界であり、そもそも相手にするほどの人間ではないのですが、仕事であるため、全く相手にしないわけにもいかないのが辛いところです。
こちらも相手と同じように地獄界、餓鬼界、畜生界の生命になってしまっては何にもなりません。
よって、腹立たしい人間に対しては瞋らないということを徹底することですね。
瞋ったところで何ら得るものはありません。より一層、瞋った自分に嫌悪感を持つだけです。
まあ一寸腹が立つと仮定する。腹が立った所をすぐ十七字にする。十七字にするときは自分の腹立ちが既に他人に変じている。腹を立ったり、俳句を作ったり、そう一人が同時に働けるものではない。
夏目漱石『草枕』新潮文庫 38頁
ブログは、十七字の俳句ではありませんが、ブログを書くことにより、「既に他人に変じている」、つまり、第三者の地位に立つことができ、精神衛生上、好ましいと思いますね。
腹立たしい人間の土俵に上がるのではなく、あくまで自分の土俵で勝負すべきですね。相手のペースに乗らず、こちらのペースを堅持することです。
そのためにも、文章を書くことは、優れた対処法といえます。
腹立ちという感情の事柄を言語化することにより、客観的に見る癖をつけておきたいものです。
客観的に見ると、腹立たしい人間が、いかに取るに足らない人間かが明確になり、このような人間をまともに相手にしてどうするのだという気持ちが湧いてきます。
とにかく、瞋らず、冷静に対処する習慣を身に付けることですね。
大体、第一級の人間は、皆、そのようにしていますものね。
我々も第一級の人間になるべきですね。仏教的に言いますと、本仏となりますでしょうか。困難であっても、目指すべき道だと思います。