株というものは毎日見る立場になると浜辺に立って海を見ているようなものですから波の高い低いだけが目についてしまいます。うっかりすると波の高い低いが海の動きだと錯覚を起こしてしまいます。
しかし、海を見て最も大切なことは潮の流れがどう変化するかということです。魚は潮の流れの中にいるのであって波打際にいるわけではありません。それと同じように証券界の潮の流れを見る場合も、証券界と一定の距離をおいて遠くから見る方がより正確にキャッチできるというのが私の意見です。
邱永漢『損をして覚える株式投資』PHP新書 172頁
この波と潮の流れとの譬えは絶妙ですね。
近視眼的になると肝心なことが見えなくなることをあらわしています。
確かに、波打際に魚はいませんね。潮の流れの中には数え切れないほどの魚がいます。
魚が欲しいのに波打際でうろうろしても仕方がないでしょう。海水浴ではないのですから。
そう考えますと、本物の投資家は漁師のようなもので、板子一枚下は地獄とばかりに身銭を切り、ある意味、命がけで投資をします。
しかし、偽物の投資家は、波打際で海水浴です。魚を手にすること、つまり、利益を上げることはありません。それどころか、波打際に行くまでの交通費だけ損をしているだけです。
株価を見て、株を買うと、その株は値下がりします。
会社を見て、株を買うと、その株は値上がりします。
なぜ、このようなことになるのだろうかと思っていましたが、株価を見るとは、波打際で波の高い低いだけを見ているということであり、会社を見るとは、潮の流れを見ているということだからなのでしょうね。
株を買う場合、あくまでも会社を見て株を買うべきであり、株価のみに囚われないようにすることですね。
目先の利益を追う時は、損をするものです。
キャピタルゲインを目指すのではなく、インカムゲインを目指す方がよいですね。
毎年の配当も10年続けば、それなりの金額になります。