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2015年02月15日

トマ・ピケティ『21世紀の資本』から今後のことを考える

低成長経済では、過去の富が当然ながら重要性を大きく高めることとなる。
トマ・ピケティ『21世紀の資本』山形浩生 守岡桜 森本正史 訳 みすず書房 28頁

元々、資本、所謂、お金や富というものをもっている人が有利ですね。ピケティによると低成長経済では、その有利さが際立つということです。

もし資本収益率が長期的に成長率を大きく上回っていれば(これは経済成長率が低いときには、必ずとは言わないまでも起こりやすい)、富の分配で格差が増大するリスクは大いに高まる。
同書 28頁

それ故、元々、持つ者と持たざる者との差があったのが、より一層、その差が開くというわけですね。

その格差が増大しますと、住むところも、学ぶところも、仕事をするところも、遊ぶところも別々になるでしょうね。所謂、住み分けが完成するわけです。

現今の日本を観察したところ、やや、このような傾向が見受けられますね。

資本収益率が経済の成長率を大幅に上回ると(19世紀まで歴史のほとんどの時期はそうだったし、21世紀もどうやらそうなりそうだ)、論理的にいって相続財産は産出や所得よりも急速に増える。相続財産を持つ人々は、資本からの所得のごく一部を貯蓄するだけで、その資本を経済全体より急速に増やせる。こうした条件下では、相続財産が生涯の労働で得た富より圧倒的に大きなものとなるし、資本の集積はきわめて高い水準に達する――潜在的には、それは現代の民主社会にとって基本となる能力主義的な価値観や社会正義の原理とは相容れない水準に達しかねない。
同書 29頁

ここで明らかなように、有史以来、経済は低成長であり、持つ者と持たざる者との差は歴然であったところ、二度の世界大戦を経験し、高度経済成長の時代であった20世紀は、その差を縮小させました。

いってみれば、驚異的な時代だったといえるでしょう。このような時代に「能力主義的な価値観」や「社会正義の原理」が広まるのは当然のことと思われます。

しかし、21世紀は、世界大戦を経験しておらず、経済は低成長です。19世紀以前に戻っているわけですね。

「能力主義的な価値観」や「社会正義の原理」といっても、最近は、空々しく感じられていましたが、低成長の時代という観点から考えると首肯できます。

20世紀とは時代が違うということは認識しておくべきですね。もう変わっているのですよ、ということですね。

今後数十年で、人口と経済双方の成長率は低下する見通しが高いので、このトレンドはなおさら懸念される。
同書 29頁

今後のことを考えますと、多額の相続財産があればよいのですが、そのような人は一握りであり、ほとんどの人にとって、大した相続財産はないわけですから、まずは、自らが財産を築くことでしょうね。

そうしませんと、貧困層に陥ってしまいます。

最初にすべきことは、貯金でしょうね。その貯金が一定金額に達したのちは、そのお金を投資にまわすことですね。

流動性のことを考えますと、株式投資あたりがよいでしょう。

株式といいますと、株価が上昇することによって得られる利益のキャピタルゲインに目が行きますが、配当による利益のインカムゲインに注目しておくのがよいでしょう。毎年、一定の金額が配当されるということは、長い目で見ますと非常に大きなことです。

最初は、ごく僅かな株式投資であっても、少しずつ投資を続けているならば、それなりの財産になり、その財産からの配当もそれなりの金額になります。

ピケティの指摘は、その通りだと思われますので、我々としては、時代が変わっていることを認識し、その上で、持つ者となるべく、然るべき財産を自らの手で作り上げることですね。

安易に浪費することなく、よく分からない詐欺に引っ掛からないよう、十分に注意しておくことです。

考えてみますと、持つ者が考えていること、行っていることを真似ればよいですね。そのようにしますと、今まで自分が考えていたこと、行っていたことが、いかに庶民とやらの振る舞いであったかが分かります。

今後、庶民として生きていくならば、貧困層まっしぐらでしょう。決して、そうなってはいけません。

20世紀は、ある意味、庶民の時代だったでしょうが、21世紀は違うとピケティは教えてくれているわけですから、いいことを教えてもらったと感謝しながら、自らの生き方の軌道修正を図ることですね。

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