「キリスト教神学は、伝統的に次の4つに分類される。すなわち聖書神学、歴史神学、組織神学、実践神学である」(佐藤優『神学部とは何か』新教出版社 31頁)
「聖書神学もまた、旧約聖書神学と新約聖書神学とに分類される」(同書 32頁)
「歴史神学は、教会史と教理史に分かれる」(同書 34頁)
「組織神学は教義学(教理学)と倫理学とに分かれる。」(同書 36頁)
「実践神学は、牧会学と説教学とに大きく分かれる。牧会学というのは、人間関係をケアするための実践的な学問である」(同書 38頁)
聖書神学について、日蓮仏法で考えますと、旧約聖書神学が法華経に相当し、新約聖書神学が御書に相当すると思われます。
歴史神学について、日蓮仏法で考えますと、教会史が各日蓮宗教団や各新宗教教団の歴史(大きく捉えると仏教教団そのものの歴史)に相当し、教理史が各日蓮宗教団や各新宗教教団において出来上がった教理、つまり宗学の歴史(大きく捉えると仏教の教学の歴史)に相当すると思われます。
「神学思想の中には歴史神学の成果もあり、聖書神学の成果もあるが、そういった諸々の成果をキリスト教の立場から整理し、統合していくのが組織神学の仕事なのである。よって、組織神学というのは、本質的に護教的な性格を持つ」(同書 36頁)ということですから、組織神学について、日蓮仏法で考えますと、特定の何かということはできませんが、法華経、御書、仏教の歴史を日蓮仏法の立場から統合し、体系化し、護法に努めるのが教義学に相当し、それに基づき、いかに行動するかという点が倫理学に相当すると思われます。
実践神学について、日蓮仏法で考えますと、日蓮が各門下の信仰や人生の悩みに答えるために消息文(手紙)を認めた振る舞い、所謂、カウンセリングなどが牧会学に相当し、法華経の解説、御書の解説をするのが説教学に相当すると思われます。
神学の4区分は、日蓮仏法においても同様に存在するといえますね。
日蓮仏法を信仰、研鑽、実践する中で、自分は今、どの地点にいるのかを確認するためにも神学の4区分の視点は活用できますね。
また、この4区分をバランスよく行うことが重要ですから、足りない部分を確認するためにも活用できますね。
まずは、ベースとなる経典である法華経、御書を研鑽することですね。
そして、仏教教団の歴史と仏教教学の歴史を押さえるということですが、教団とはそもそも人の集まりですから、「人」に注目するということであり、教学とは、まさに「法」であり、「人」と「法」とに着目し、その歴史を鑑みるということですね。
その上で、法華経、御書、仏教に纏わる「人」と「法」との歴史を統合、体系化し、行動していくということですね。
その行動に関しては、カウンセリングという側面の行動があり、また、法華経、御書のメッセージを的確に伝えるという側面の行動があります。