「私には、多くの事業を立ち上げた経験があります。そして多くの事業で失敗しました。その際、禍根を残さなかったことはありません。
いまになって双方に思いやる気持ちがあったらと思うことがあります。その組織に敗者を思いやれる人がいたら結果は違ったものになったのかもしれません」(尾藤克之『国会議員秘書の禁断の仕事術』こう書房 199頁)
職場において、敗者とまでいえないまでも困った人がいるものです。
それが上司という場合も多いでしょう。
「けしからん上司だ」と非難することは簡単ですが、非難したところで改善は見込めません。
その上司に改善の意思などないでしょうから、事態が悪くならないよう、サポートするのが社会人としての努めでしょう。
それも思いやりの気持ちをもって接するのがよいですね。
所詮、上司に仕事の仕方について忠告したところで反感を買うだけです。
いいことは一つもありません。
思いやりの気持ちで温かく援助することです。
人間は感情で動きますから、上司としても思いやりの気持ちをもって接する相手を邪険にはできません。
ある意味、嫌な人間の相手をするからこそ、給与、報酬が発生するわけで、心地よい人と仕事ができるならば、本来であれば、こちらからお金を支払わなければならないでしょう。
特に、上司が嫌な人間ということが多いわけですが、この上司がまずは自分の顧客と考えることですね。
確かに、会社には外部に顧客がいますが、会社の顧客であって、自分の直接の顧客というわけではありません。
自分は会社のサポートをしてその外部の顧客にサービスを提供しているだけであり、ある意味、直接の顧客は、その会社内にいる上司といえましょう。
その上司の相手をするのが大切な業務の一つというわけです。
その上司の相手をしているからこそ、それなりの給与が入ってくるということです。
上司だと思うからこそ、腹立たしくなるのでしょうが、自分の給与の源泉である顧客と考えると、多少の横暴さも許してあげてもよいのではないでしょうか。
それも思いやりの気持ちで対応すればよいでしょう。
職場において必要なのは、思いやりでしょうね。
思いやりがあれば、少なくとも失敗という憂き目にはあわないと思われます。