20数年前からすると、大学の教養課程の教科書も様変わりしましたね。
20数年前の教科書は、非常に分かりにくかったように記憶しております。
内容もパッとしなかったですね。
例えば、「政治学」の教科書で思い出してみますと、20数年前の教科書は、いろいろありましたが、やけに分厚い教科書があったかと思えば、やけに薄い教科書もありました。
「政治学」という科目の特性上、現代政治、特に日本の現代政治についても適切に触れなければならないのですが、著者が現代政治に関心がないのか、海外の理論ばかり紹介していましたね。
何のための「政治学」なのか分かりませんね。
しかし、今は、少子化ということもあるのでしょうが、大学も一生懸命、学生さんにサービスしているみたいですね。
教科書にしても、分かりやすいですね。
東京大学出版会から出ている『政治学』(川出良枝・谷口将紀編)を読むと、現代政治への言及が適切になされています。
また、要所で理論を紹介しています。
理論も現代政治の現象を解明するために利用しながら説明していますね。
「政治学」にはさまざまな分野がありますが、バランスよく記述されています。
図や写真も活用し、見やすくなっています。
分量も多すぎず少なすぎずで、大学教養課程の教科書としては、良くできていると思います。
今の学生さんは恵まれていますね。
しかし、当の学生さんは、どう考えているのでしょうか。
あくまでも20数年前を知っている私の経験に照らして、恵まれていると言っているだけで、当の学生さんからすると、ひどい大学、ひどい教科書の存在を知らないとすれば、今ある教科書が当たり前であり、恵まれているとは感じないでしょうね。
ただ、分かりやすい教科書になっていますので、早く理解できることでしょう。
ここ20年で世の中は相当変わりましたね。
すべてにおいて、分かりやすくなっているという特徴があります。
この点は喜ばしいことですね。
ただ、その分かりやすくなっていることを活用できているかといえば、活用できている人が増えている一方、活用できていない人も増えているようです。
よく言われる「格差」というのは、こういうことなのでしょうね。
20数年前は、すべてにおいて分かりにくかったので、理解できる人がほとんどおらず、格差が生じなかったということでしょうか。
今は、勉強するにしても分かりやすい教材が増えていますので、努力、心掛け次第で、いくらでも伸びていくことができます。
努力、心掛けがない人は、取り残されますね。
自業自得でしょう。
どちらになりたいか、それは、その本人次第ですね。