権力を感じ取るにはどうすればよいでしょうか。
簡単に言うと、拒否権を発動すればよいですね。
法律を作るという権力作用よりも、法律を作ろうとする人に対し、その法律はダメだと拒否する方が、権力を持っていると実感できます。
実際、拒否権を持っている人に権力があるものです。
もちろん、ここでいう拒否権は、事実上の拒否権のことです。
事実上、拒否することができる影響力といえばよいでしょうか。
以下、この意味で拒否権という言葉を使います。
拒否権を持っている人としては、高級官僚、ベテラン政治家、または、影響力のある業界団体の上層部の人々などがあげられるでしょう。
国民にも拒否権があるのではとお考えの方がいると思います。
確かに、選挙がありますので、理論上は、国民にも拒否権があるように思えますが、個人個人に拒否権があるというよりは、影響力を与えるほどのある一定数の票にまとまった段階でその票の集合に拒否権があるといえるかもしれません。
しかし、票の集合は、所詮、票にしか過ぎず、票そのものは意思表示ができません。
ましてや、候補者や政党に対しての票であって、個別具体的な政策についての意思表示ではありません。
拒否権は、人にありますので、特定の誰かにあるということです。
影響力を与えるほどの票を集める団体のトップに拒否権があるといえるでしょうね。
また、票に限ることなく、社会的に影響力のある団体のトップにも拒否権があるといえますね。
このように、特定の誰かに拒否権があり、その他の人々には拒否権などありません。
然るべき影響力を持っている人にしか拒否権はありません。
つまり、権力を実感できる人は、極めて少数ということですね。
拒否権がないにもかかわらず、あれはダメ、これもダメと言っているようでは、ただのお馬鹿さんですね。
一般大衆の人で、政治に対して、偉そうに論じている人がいますが、胡散臭く感じられます。
それは、これらの人が拒否権を持っていないにもかかわらず、その拒否権を持っていると勘違いしているからですね。
勘違いしている人々は、傍から見て、みっともないものです。
こちらが恥ずかしくなるぐらいです。
しかし、本人は至って大真面目ですから、救い難いですね。
とりあえず、放置しておきましょう。
自分で気付くまで待つことですね。
どうせ気付かないでしょうけれども。
政治に関し意見を言うことも大事ですが、それ以上に大事なのは政治の動向を適切に見抜くことでしょうね。
「経験的事象についてのさまざまな成果を尊重しつつも、あくまで理論と概念に軸をおいて政治の世界の把握を試みることである」(佐々木毅『政治学講義』第2版 東京大学出版会 24頁)
政治の動向を見抜いたのち、その見抜いた知見をもとに、自らの進路を定め、適切な行動をとることですね。
所詮、政治は多数決ですから、その多数決の意向を無視するわけにはいきません。
多数派の政治判断に合わせるところは合わせながら、気に入らない点はうまくかわしながら、上手に生きていく必要があります。
投票結果ほど、適切な判断材料はありません。
当選者だけに目を奪われるのではなく、落選者の票の獲得具合からも政治の動向を見ていくことですね。
そうしますと、おぼろげながら、今後の政治及び世の中がどこに向かおうとしているのかが分かってきます。