「若し出家者なばら、煩悩を折伏せんが為の故に」(『大乗起信論』宇井伯寿・高崎直道訳注 岩波文庫 93頁)とあり、そのあとに少欲知足等々であるべきとの言葉が続きます。
現代語訳では、「出家の場合には、さらに、煩悩を克服するために」(同書 271頁)となっています。「折伏」を「克服」と訳しています。
ここでは、「折伏」する対象が自分自身の「煩悩」になっています。
通常、「折伏」という語は、相手の邪義、邪法を破折するという形で使います。
ただし、『大乗起信論』では、「折伏」という語を、相手ではなく、自分自身の「煩悩」に対して使っています。
「折伏」という語をこのように使っているのは初見です。
非常に興味深いですね。