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2012年11月06日

表面に現れない怒りの感情に注意すること

「感情表現を明確にする人、例えば始終プンプン怒っているような人と、いつも静かそうに見えるけどすごくネガティブな感情を持っている人との間には、実質的にあまり区別はないんですよ。どちらも、その人の生き方をある種、破壊している。そういう意味では一緒。怒りは外に発散しても容易に消えませんし、内にとどめても消えませんから」(名越康文『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』角川SSC新書 94頁)

表面は冷静でも中身がネガティブであれば、プンプン人間と同じとは、手厳しい指摘です。

一本取られたといったところでしょうか。胸に突き刺さります。

怒りの感情を表に出すことが好ましくないことは容易に理解できます。

しかし、表に出ないからといって怒りの感情がないというわけではないのですね。

逆に、表に出ていなくとも怒りの感情が鬱積している方が余程危険といえるでしょう。

目に見えないだけに扱いが難しい。

表面を取り繕っても、自分自身の内面が怒りの感情に囚われているならば、他人をごまかすことができても自分をごまかすことはできません。

なにせ、自分の人生を破壊している状態になっているわけですからね。

怒りの感情は、発散などでどうにかなるようなものではありませんね。

根本的に対処するべきものです。

怒りの感情は、自分自身の内部において適切に処理しておかなければなりません。

ある意味、他者がどうにかしてくれるという問題ではなさそうです。

他者の言葉、言ってみれば、宗教の始祖たちの言葉を参考にする場合もあるでしょう。

しかし、その言葉を自分自身のものにしなければ、怒りの感情を処理することはできません。

結局、自分次第ということですね。

仏教の十界論からすれば、怒りの感情は地獄界の境涯、最底辺の状態を現しています。

表面を仏の顔でごまかしても、中身は地獄のままです。

どうにかしなければなりませんね。

表面に現れようと現れまいと、地獄は地獄と明らかに見て、まずは、ごまかさない姿勢をとることですね。

その後、地獄の生命の中にも仏があるという十界互具の法理に基づき、自分自身の中にある仏、仏性を呼び出すことでしょう。

そんなものはないと言ってしまえばそれまでですが、地獄の状態にあり苦しいわけですから、そんなことを言っている暇はありません。

とにかく、あくまでも自分自身の中から処理するということが大切です。

他者がどうにかしてくれるという甘い考えは、より一層、地獄の深みに入る原因となりますから、特に注意しなければなりません。

表面を取り繕って、それでよしとするのではなく、生命の奥底からの変革を目指すべきですね。

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