「抑地獄と仏とはいづれの所に候ぞとたづね候へば、(中略)我等が五尺の身の内に候とみへて候」(『日蓮聖人遺文』第2巻 1856頁)
よく一般的にも地獄という言葉を使いますが、地獄は自分自身の中にあるということですね。
それと同時に仏も自分自身の中にあると言います。
地獄も仏もどこか遠くにあるのではなく、自分と別の所にあるのではなく、あくまでも自分自身の中にあるというところがポイントですね。
地獄など関係ないなどと思いたくても、そうはいかないようです。
ただ、仏が自分自身の中にあるという側面に着目すれば、元気が出てくるというものです。
仏という生命との縁がないと感じる人もいるでしょうが、それは、気付いていないというだけのことです。
まずは、気付くということが大切です。
「仏と申事も我等心の内にをはします」(同書同頁)との言葉をかみしめたいと思います。
「わざわいは口より出でゝ身をやぶる。さいわいは心よりいでゝ我をかざる」(同書同頁)
口はわざわいのもと、と言いますが、まさにその通りですね。
世の中のトラブルのほとんどが口から発生しているといってもいかもしれません。
悪口等々、口から変なものを発するがために、自分の身を滅ぼすことが多いものです。
注意しすぎても注意しすぎることはありません。
しかし、つい、口から変なものが出てしまう。どうにかしたいものです。
いきなり口から変なものが出てくるのではなく、その人の生命の状態によって、変なものが出てきます。
まずは、仏の生命を自分自身の中に築いておきたいですね。
それ故、心が麗しい人には幸いが舞い込み、自分自身が輝いてくるのですね。
日蓮の言葉は、何気ない言葉のように思われますが、非常に重要なことをさらっと述べています。
ちょっとした手紙でこのようなことが書けるとは、見事なものです。
より深く、研鑽していきたいものです。
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