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2012年08月23日

「控えの間」で待たされない完璧な学識

ハマトンの『知的生活』に「多くのことを学んだ友へ」と題する文章があり、以下のように言っています。

In this great privilege of instant admission the man of one study has always the advantage of men more variously cultivated. Their misfortune is to be perpetually waiting in antechambers, and losing time in them. Grammars and dictionaries are antechambers.

では、翻訳を確認してみましょう。
「即座に対象に没入できるというこの大きな特権をもっている点で、ひとつことを学んできた人間には、さまざまな対象を学んでいる人間にはない強みがあるのです。さまざまなことを学んでいる人間の不幸は、絶えず控えの間で待ち、そこで時間を失っていることです。文法や辞書は控えの間です」(『知的生活』渡部昇一・下谷和幸訳 講談社 91頁)

ハマトンは、あれもこれも学ぶことの問題点を指摘しています。

いろいろなものを学んだところで、不完全にしか消化できていないものが多くあるだけで意味がないといった指摘です。

確かに、人間の能力には限界があり、時間も有限であることから、ひとつの分野で完璧な学識を得るのが精一杯でしょう。

ハマトンは、あるひとつの分野で完璧な学識を得た場合、待ち時間なしにその分野を楽しむことができるという特権があると言っています。

不完全な学識の場合、常に「控えの間」で足止めをくらうというわけです。

「控えの間」(antechamber)とは、面白い表現ですね。

なかなか、主室に通されない人間の情けなさが感じ取れます。

待たされてばかりでは、つまらないですし、しんどいものです。

文法を勉強し、辞書を引いているのは、「控えの間」で待たされているのと同じことということですね。

もちろん、最初は、文法を学び辞書で学ぶことが必要ですし、この段階なくして、完璧な学識はあり得ません。

完璧な学識を身に付けて、その分野を楽しむに至ることが重要ですね。

すぐに、完璧な学識が身に付くわけではありませんが、分野をひとつに絞った場合、いずれは、完璧な学識が身に付きます。

しかし、あれもこれも学んでいた場合では、いつまでたっても、完璧な学識は身に付かないでしょう。

要は、楽しめない人生になってしまいます。

日本人の場合、外国語文献を扱う分野などを選択すると、「控えの間」での時間が長くなりすぎる懸念があります。

また、現代日本語だけで事足りる分野では、深みに欠ける懸念があります。

そこで、日本語の古典に着目し、古文・漢文を含む分野を選ぶのも一考でしょう。

ただし、平安時代以前になると古文が格段に難しくなり、ほとんど外国語といった感じです。

鎌倉時代あたりが狙い目といえるかもしれません。

鎌倉時代は、鎌倉仏教の発生にみられるように思想的に充実した時代でした。

この鎌倉仏教の始祖たちの中から任意の一人を選び、その始祖の書をしっかりと読み込めば、自分自身の思想も充実するというものです。

現代に生きる我々に古典のエネルギーが漲るといったところでしょうか。

例えば、日蓮を選択した場合、日蓮の書を読み、また、日蓮が重要視した「法華経」(妙法蓮華経)を読むことになります。

「立正安国論」「観心本尊抄」等々の書は漢文で書かれています。

その他の消息(手紙)等々は、和文、所謂、古文で書かれています。

「法華経」は漢文ですし、古文、漢文の素養を身に付けることができます。

ひとりの重要な人物の書をしっかりと読むことは、人生にとって、大きな価値を持つと思います。

自分自身にとって重要な人物と出会い、その人物といつでも語らうことができるよう、「控えの間」で待たされることのない完璧な学識を身に付けていきたいですね。

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