精進の意味として、「ひたすら努力すること」(『使い方の分かる類語例解辞典』小学館)と説明されているところからもそれはうかがえます。
精進をするにあたって、ただ単に努力すればよいというわけではないと思います。
努力がピントはずれであったり、方向性が間違っていたり、意味のない価値のない努力をしてしまったりと問題点も多くある様に思われます。
精進、努力をしても、なかなかうまくいかないという場合、根本的な間違いがあるといえるでしょう。
では、精進とは何なのか。智(天台大師)の言葉(「摩訶止観」)から探ってみましょう。
「二辺を雑へざるを精と為し、任運に流入するを進と為す」(『国訳一切経 (和漢撰述部 諸宗部 3)』大東出版社 149頁)
精進の「精」と「進」との字について、それぞれの意義を明らかにしています。
まず、「精」ですが、あっちこっちとフラフラするのではなく、一点に集中することを「精」としています。
焦点を定めると言い換えてもいいかもしれません。
「進」は、運の流れに入っていくこととしています。
ここでいう運とは当然のことながら福運や運があるというときの運ですね。
努力そのものがすべて意味のある価値のある方向に進むということですね。
まとめると、為すべきことに焦点をしっかりと定めて、エネルギーを集中させながら、努力がそのまま福運のある方向に進み無駄がないというのが本来的な精進の意味といえるでしょう。
進む方向が運のある方向というのがポイントですね。
人生において、努力も重要だが、所詮は運次第という側面がありますが、智の解釈からすれば、努力、精進と運とはつながっていたのですね。
別々のものと捉えることがそもそもの間違いといえるでしょう。
運のある人生を切り開くために努力、精進があるのであり、運のある人生を切り開けない努力、精進とは、偽物の努力、精進にしか過ぎないということですね。
本物の精進をして自身の運のある人生を切り開いてきたいものです。
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