投資をする際、当然のことながら、資産を増やそうとするわけですが、単にマネーとしての財産だけを増やそうとすることは好ましくありません。
投資をすることを通して、世の中の仕組みを理解することが大切です。
知識としての財産、世の中を見通す力としての財産を得ることが重要です。
例えば、ある銀行の株式を保有している場合、少なくとも年2パーセントの配当が得られます。
しかし、預金利率は、普通預金で年0.02パーセントです。
100倍もの差がついています。また、株主には、ご丁寧にも事業報告書等が送付されます。
預金者にはそのようなものは送付されません。
銀行が預金者ではなく、いかに株主を重視しているかがよく分かります。
これは、株主にならないと実感できません。
その他の株式の場合、株主優待というものもあります。
ジュースやコシヒカリが送られてきます。
ちょっとしたことですが、うれしいものです。
このようなことは、株式を保有していないと分かりません。
知識としての財産と同時に心掛けとしての財産も必要です。
お金お金と儲けることばかり考える投資では、行動も心も貧しくなります。
キケロの「ストア派のパラドックス」の中に以下の文章があります。
「財産の高を決めるものは、世間でおこなわれている資産評価なのではありませぬ。それは、なんとしても、衣食にかんする磨かれた心掛けであるのです。欲張らぬことが、金なのです。買いたがらぬことが、収入なのです。わけても、自分の持ち物だけで満足していることが、なによりも大きな、なによりも安定した富なのです」
(『世界の名著』14 中央公論新社 121頁)
欲張ってあれもこれも欲しいというのでは、お金は足りなくなります。
しかし、キケロが言うように逆の発想であれば、財産が増えていきます。
心の余裕も生まれてきます。
よくよく身の周りを見渡せば、必要なものは、ほぼ揃っています。
儲けや稼ぎが増えなくても、要らないものを買いたがらなければ、実質的に収入が増えているのと同じであるとの発想は、面白いですね。
簡単に言えば「足るを知る」という心掛けがポイントですね。