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2012年02月27日

サマセット・モーム『サミング・アップ』

大学受験予備校が発行する英文解釈の参考書に内容の濃い英文があり、感じ入ったことがあります。

参考書には、出題大学の名前は書いていますが、出典が書いていないので、誰のどの本なのか分からないままでした。

英文は、以下の通りです。

I have always wondered at the passion many people have to meet the celebrated. The prestige you acquire by being able to tell your friends that you know famous men proves only that you are yourself of small account.

さすがに今はネット社会ですから、偶然にもその英文の出典を見つけることができました。

サマセット・モーム(1874〜1965)の『サミング・アップ』(1938年)ということが分かりました。

岩波文庫で翻訳がありましたので、確認してみましょう。

「多数の人々が有名人にぜひ会いたいと切望しているのを、私は常々不思議に思っている。自分の友人たちに有名人を知っていると言えることで得られる名声など、とりもなおさず自分自身は無名だということの証明に他ならないではないか」(サマセット・モーム『サミング・アップ』行方昭夫訳 岩波文庫 12頁)

せっかくですから、自分でも和訳してみたいと思います。

「私は、いつも、多くの人々が有名人に会いたいと熱中しているのを不思議に思っている。自分は有名人と知り合いであると友人たちに吹聴できることによって面目をほどこしても、自分自身が取るに足らないつまらない人間であることを証明することにしかならない」

内容としては、全くその通りと首肯するばかりです。

有名人、著名人、実力者等々の人と知り合いになるといいことがあるのではないかと思いがちですが、実のところ、どうでもいいようです。

特に政治家と親しくなりたいと思う人もいるようですが、政治家は人を利用こそすれ自分が利用されることがないようにしているものです。

考えてみれば、利用されている政治家など使い物にならないでしょう。

有名人は、もう有名ですから、有名人自身としては大した人間になっているともいえるでしょう。

しかし、有名人と知り合いになって、そのことを吹聴しても大した人間になれるわけではありません。

モームの指摘によると、取るに足らないつまらない人間であることがばれるだけです。

わざわざ有名人と知り合いになって評価が下がるのでは割に合わないですね。

有名人と知り合いになることに熱心にならないで、自分自身が大した人間になるよう努力、精進した方がよいでしょう。

ひとかどの人間になる過程において、その都度、無理なく、然るべき人と知り合いになっていけばよいと思います。

自分の境涯、境地に見合った人としかお付き合いはできないわけですから、どうしても有名人と知り合いになりたい場合は、自分の境涯、境地を上げていくしかありません。

ただ、自分の境涯、境地を上げていく中で、有名人と知り合いになることに価値はないと気付くことでしょう。

気付いていないならば、まだまだといえます。

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posted by lawful at 01:11| 英語

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