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2019年12月19日

「Be too short to say that good-bye」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2011年03月15日投稿。




『さよならと言うには短すぎて』

 軽く、背中を押した。
「え?」
 ふらり、簡単に傾いたその身体は、そのまま足を踏み外してどこかに消えた。
 視界から消えたそれは、たった数秒時を止めて、後に、ぐしゃああぁあぁあ、と、音を立てて潰れた。
 潰れた。
 簡単に、潰れてしまった。
「はは、ははっ、ははははは」
 見下ろした先には、どす黒いシャツと肉塊、肉片。真っ赤な水溜まりに浮かんで、もう、動くこともなく、そこにあった。
 ただ、そこにあった。
 ただ、それだけ。
 書いてしまえば、たった、それだけのこと。
 それなのに背筋がぞわわっ、と粟立って、何とも言えない感覚が、あぁ、とても快かった。
 その衝動に理由はない。特に理由なんてものはそこにはなくて、それでも、何となく、ただ、何となく、背中を押して。
 無機質に流れる時間が厭わしかったわけでもない。消えてしまうことを、望んでいたわけでもない。
 ただ、さよならと言うには短すぎて。
 だから、最期に、
「さようなら――」






タグ:2011
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