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2019年08月16日

「狐はけんけんなきました」

「無意味な言葉が僕の翼になる」より。
2010年12月13日投稿。




それは暁も待たない寒い夜
あの人は独りぼっちでした
井戸の端でぼんやり眺めている
それしか出来ぬこんな身で
狐はけんけん泣きました
たまに井戸の端にお魚が置いてあるので
これは本当に自分のためか
いぶかしがりながら
やはり嬉しく
狐はけんけん鳴きました
ある暗い朝
まだ暁も待たない寒い夜
狐はお礼に花をくわえていきました
だけどもう
そこに動くあの人はいませんでした
最初
理解出来ずに揺さぶってみたのですが
もう目は開かぬようでした
それを悟って
狐はけんけん哭きました
声を荒げて哭きました

感謝を込めた野の花は
独りでいった身に
手向けるための花となりました











※「無意味な言葉が僕の翼になる」以前の作品 だと、思われる
※タグは「無意味な言葉が僕の翼になる」投稿の2010年でつけておきます
タグ:2010
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