もし君に手紙が届くなら

2021年「no-title」メモ。
順不同。











計10篇。




「no-title」

きみのいないばしょで
まだ
きみをおもってうたっている




「no-title」

情景がない
真っ暗闇
したい想いだけ先走って
何がしたいのか解らない
情景がない
世界が見えない
嗚呼、
僕は何も遺せない




「no-title」

世界がない
色が消えていく
どこにもいられない僕が一人
ただ
君の声に溺れていく




「no-title」

君の髪がふわふわ柔らかいから
綿菓子みたいに頬張って
そのまま一緒に
私の中に溶けていってしまえばいい




「no-title」

違う生き物だったのに
違う世界を見ていたのに
一度線が交わって
そしたらなんで
君の尺度で僕を定義して
勝手に憐れんで勝手に嘆いて
君は僕になれるはずもないのに
僕だって
君になんかなってしまえないのに
違う生き物に
戻ってしまいたいね




「no-title」

幸せが溢れて止まらないから
些細な不満が目に付いて
溢れた幸せが見えなくなって
けれどまた
君の声で幸せになって
ずっと幸せでいられたらよかったのに
どうしてまた
些細な不満で
幸せが見えなくなってしまうんだ




「no-title」

誰のためにそれをするのか
他人のためにと理由を他所にやることで浸ってる暇があるなら
本気で誰かを愛してみろってんだ
それができないなら
それが自分のためってちゃんと自分で覚えてろ
偽善で騙って人を貶すようじゃ
そのうち世界は破滅してしまうぜ




「no-title」

僕が壊した全てのものにさよならできたら楽なのに
僕を壊した全てのものにさよならできたら楽なのに
壊しあっても
どうしてさよならしてしまえないんだ




「no-title」

さよならの先に在ったもの
全てが幸福の欠片ではなかったかもしれない
もっと大きな幸福の欠片を落っことしてきたのかも
悔やんでも
さよならの先に在ったものは確かに
違う形だけど
幸福の塊だったよ




「no-title」

君を壊す全てを壊してしまいたい
君が壊れてしまう前に
僕が
君を壊す全てを壊してしまいたい
そして望んでも構わないなら
僕が
僕が、君を壊してしまいたい