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2024年02月15日

その一杯のためにする(4)コーヒー(下)



コーヒーの淹れ方は、かねて教えていただいた作法からは変わった。
材料も道具も変わったからだが、ポイントは、豆の量や湯の温度など
現在は数値として厳密には気にしていないことだろう。

決めた同じ挽き豆を冷凍や冷蔵で保存しても、
日に日に香りが変化していることに、あるとき気づいた。
材料が変化しているなら同じ量で同じ味の帯域に仕上がるのか?
では、そこを保つには?逆に、一家庭でのハナシで
機械的に同一の味を求め続けることに意味はあるのか?

長い実験ののち、湿らせ、蒸らし、湯を落とすなかで、
豆やら泡やらがどのような表情に変化し膨らんでゆくか、
そこを拠りどころとするほうがおさめやすいのではないか?と考えた。
豆は、ざ、っと入れるし、湯も、たぷん、とぷん、と、
具合をみて都度、加減しながら淹れている。
気分に合わせて調節ができ、だいぶ気心が沿ってきたように思う。

インスタントコーヒーも、ただ熱湯を入れる方法のほか、
温度を変えたり、なべで沸かしたり、いろいろやってみた。
一番記憶に残っていることは、
米軍のマニュアルにあった、火を使って食事ができる環境下で、
レーションのパックを湯煎した湯で付属のインスタントコーヒーを溶かす、
という合理的なくだりだ。

日本では水は溢れてる地域が多いのでネガティブに見えるかもしれない。
だが、個人的には目から鱗で、いろいろと感じるところがあった。

現在は、冷水にも溶けるタイプを使っており、
作業音を立てたくない深夜早朝に重宝しているほか、
冷やし菓子やカクテルのトッピングにも役立てている。


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