2015年08月29日
【百万円と苦虫女】出演者・感想・完全ネタバレ
本日の映画紹介。
【百万円と苦虫女】
【出演者】
佐藤鈴子:蒼井優
鈴子の父:矢島健一
鈴子の母:キムラ緑子
佐藤拓也(鈴子の弟):齋藤隆成
リコ(バイト仲間):平岩紙
浜田武(リコの彼氏):弓削智久
・海辺の町
黒澤祐三(海の家の主人)):斎藤歩
黒澤広美(海の家のおかみ):安藤玉恵
黒澤祐作(海の家の息子):宇都秀星
ユウキ(海の家の常連):竹財輝之助
・山村
藤井絹(桃農家のお母さん):佐々木すみ江
藤井春夫(桃農家の息子さん):ピエール瀧
上田村長:石田太郎
白石(喫茶店のマスター):笹野高史
・地方都市
中島亮平(ホームセンターの同僚):森山未來
宮本ともよ(ホームセンター新入り):悠城早矢
小暮主任(ホームセンターの上司):堀部圭亮
〜〜〜Sponsords Link〜〜〜
【感想】
これはいい!
良い意味で全て裏切られる、
自分を見つめなおさせてくれる映画。
現実の恋愛ってこうですよね〜
そんなのを忠実に活かして、
人と人との関係の冷たさと温かさを、
同時に知らしめた映画だと思います。
蒼井さんは実力者俳優で知られますが、
ここまで自然体で演技できているの最高!
これ絶対に見て欲しい映画です!!!
【あらすじ】(ネタバレあり)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「325番出所だ。」
そう言われて拘置所から出所した鈴子は言った。
「シャバか〜。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フリーターの佐藤鈴子はバイト仲間のリコと、
ルームシェアをして家を出ることを決めた。
するとリコは彼氏の武も一緒に住むと言い出す。
引越しの日、鈴子が家へ向かうと武だけが家にいた。
リコが来ないことを聞くと武は言った。
「別れた。」
「1人で家賃払えるし、しばらく一緒に住む?」
「別にあんたのこと興味ないし、あくまで共同生活だ。」
その日鈴子は一匹の野良猫を家に連れてきた。
野良猫に何か食べさせようと買い物に行き、
家に戻ると猫はいなかった。
武に猫のことを聞くと。
「捨てたに決まってるだろ。」
直ぐに猫を探しに外に出る鈴子。
鈴子が見たのは無残にも車にひかれた猫の死体。
鈴子は怒り家にある武の荷物を全て捨てた。
翌日バイト先に警察が来た。
素直に捨てたことを認めた鈴子。
捨てたカバンに百万円入っていたと証言する武。
警察はSEXしたかどうか聞いてきた。
していないと言う鈴子。
関係を持っていないこと伝えると刑事事件になった。
関係があると男女のもつれで民事となるのだ・・・
鈴子は呟いた。
「やっときゃ良かった・・・」
そして鈴子は刑事事件として告訴された。
鈴子が家に帰ると気まずい雰囲気。
しかし口火を切ったのは弟だった。
「何で戻って来るんだよ。」
「家に犯罪者が出て、
受験受けれるはず無いじゃないか!」
鈴子は言った。
「百万円たまったら出て行きます。」
「これからは1人で自分の足で生きていきます。」
近所では鈴子の噂が広まっていた。
鈴子はバイトを掛け持ちして頑張った。
お金を貯めて誰も自分を知らない場所へ行くため・・・
そんな鈴子に弟は言った。
「恥ずかしいことするなよ。」
鈴子は返した。
「恥ずかしくない。」
「恥ずかしいことなんて一個もしてない。」
そんな強い鈴子に弟は言った。
「お姉ちゃん。家でたら手紙ちょうだい。」
「おねえちゃん携帯持ってないから。」
鈴子は返した。
「友達いないから必要ないし。」
「分かった・・・」
鈴子は家を出た。
海辺の町で海の家で働いた。
そして弟に手紙を書いた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気ですか?
ねえちゃんは海の家で働いてみることにしました。
引越しでかかった費用を稼いで、
また百万円になったらここを出るつもりでいます。
これから暑くなるけど、
ねえちゃんも頑張るから拓也も頑張ってね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
家族で経営している海の家。
海の家ではカキ氷の作り方から教えられた。
初めて作ったかき氷を見て店長が褒めた。
「才能あるよ。カキ氷の。」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ねえちゃんにはカキ氷の才能が有るらしいです。
今まで人から褒められたことはないので、
嬉しいのですが、
役に立たない才能なので複雑です。
仕事は朝早いですが、
東京にいた頃より健康かもしれません。
最近は仕事にも慣れてきました。
卓也は元気でやっていますか?
また手紙を書きますね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
海に来る男ユウキにナンパされるが、
そんなのも無視して真面目に働き続ける鈴子。
それでも諦めずにユウキは誘い続けた。
ユウキは鈴子をパーティーに誘った。
友達のいない鈴子に言う。
「俺たち友達だろ。」
「友達と言うかソウルメイトだと思ってる。」
お互い名前も知らないのに、
対等に話してくれるユウキに鈴子は微笑んだ。
鈴子は呟いた。
「いろいろ難しいね〜。」
その数日後鈴子は海の家を後にした。
がっかりするユウキを尻目に、
鈴子が向かった町は山奥の山村。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
海は悪くないけど、
あんまりねえちゃんには合わない感じでした。
今度は美味しい空気を吸いながら、
緑豊かな所にしばらく住んでみようと思います。
拓也は元気?
夏休みは楽しいですか?
夏バテには気をつけてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
〜〜〜Sponsords Link〜〜〜
立ち寄った山村の喫茶店のマスターの紹介で、
鈴子は農家の住込みアルバイトを始めた。
その家はおばあちゃんとその息子の二人暮らし。
息子は鈴子を気遣ってくれた。
朝5時起床の収穫作業。
桃を収穫すると褒められた。
「桃をもぐために生まれてきたんじゃないの?」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ねえちゃんは今桃をもいでいます。
来る日も来る日も桃をもいでいます。
朝から収穫していたらあっという間にお昼が来ます。
ねえちゃんは桃をもぎる才能もあるらしいです。
最近では「桃娘」と、
ここの家のお母さんに言われていますが、
老人独特のユーモアが、
いまいち分からないときがあるので、
ねえちゃんもまだまだ若者なんだな〜と思います。
受験勉強はどうですか?
毎日暑いですがたまには生き抜きもしてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
ある日、桃を収穫していると村長が来た。
桃娘として村のPRの依頼であった。
断れずにいる間に村長は帰って行った。
悩む鈴子に息子の春夫が話しかけた。
「嫌なら嫌ってはっきり言わないと、
ここあたりの人強引だから・・・」
次の日マスターに桃娘辞退の話をした鈴子。
マスターは村長に掛け合うが、
話は既に進んでしまっていた。
そして村民を集めての話し合いになる。
鈴子は村民の前で自分の気持ちを話す。
「何も聞いていませんし、
人前に出ることは出来ません。」
村長は桃娘の内容を話し始めた。
それは全国ネットで桃のPRとのこと。
PRすることで村の収入が増えるとの話。
村民は鈴子にやって欲しいと話し始めた。
それでも断る鈴子に対して村民は罵倒まで始めた。
そこで鈴子は本当の理由を話した。
「私は無理なんです。」
「前科があるんです。」
そう言うと集会場を後にした。
鈴子が後にした集会場で春夫は話し始める。
「もっと自分達の頭で考えなきゃ駄目だ。」
「高級品を作るとか、
インターネット販売をするとか。」
「誰一人考えてないだろ。」
「だから外から来た子に、
桃娘やらせようとするんだろ。」
次の日鈴子は村を後にすることにした。
お母さんはしっかりお金を渡してくれた。
鈴子は聞いた。
「迷惑じゃなかったですか?」
「前科者を住まわせて、
嫌がらせとかされないですか?」
お母さんは答えた。
「そんなことさせない!大丈夫だ!」
そして春夫は鈴子に桃を渡した。
「自分それしかないけど。餞別。」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今度の街は東京から、
特急電車で1時間ちょっとで来れるところです。
割と都会です。
何というか何も無い所ですが百万円溜まるまで、
ここでまた生活してみようと思います。
拓也は元気にしてますか?
学校はどう?
お父さんとお母さんと仲良くしてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
そのころの弟は、
以前から続いていた虐めが悪化していた・・・
鈴子は部屋を探し、バイトを探した。
バイトはホームセンターの、
ガーデニングコーナー担当となった。
鈴子に仕事を教えるのは歳の近い中島亮平。
鈴子の仕事のミスをかばってくれる亮平。
会社の飲み会に強引に誘われた2人。
参加したくない鈴子の気持ちを悟った亮平は、
用事があるからと鈴子を連れて抜け出す。
そんな亮平の優しさに鈴子はお礼を言った。
家まで鈴子を送ってくれる紳士的な亮平。
少しずつ亮平に惹かれて行く鈴子・・・
ある日、食材を買おうとスーパーに言った鈴子。
偶然、亮平も同じスーパーで買い物をしていた。
亮平に誘われ喫茶店に入った鈴子。
亮平は鈴子の過去を聞こうとする。
一瞬黙る鈴子だが、素直に今までの事情を話した。
刑事告訴され、実家にも居難くなったこと。
そして百万円をため転々としていると・・・
すると亮平は鈴子に聞いた。
「自分探しってことですか?」
鈴子は答えた。
「むしろ探したくないんです。」
「どうやったって自分の行動で、
生きて行かなければいけないですから。」
「探さなくたって嫌でもここにいますから。」
「逃げているんです。」
「知らない土地に行って、
最初は誰も私のこと知らないんですけど、
だんだん知られてきて、
すると面倒なことに巻き込まれて・・・」
「百万円あったら部屋も借りれて・・・」
亮平は聞いた。
「百万円溜まったらここを出て行くんですか?」
鈴子は黙ってお金を払い店を出た。
鈴子を追いかける亮平。
鈴子は亮平に軽蔑されると思い動揺していた。
そんな鈴子の手をとり亮平は言った。
「何も逃げなくたっていいじゃないですか。」
「僕、佐藤さんのことが好きです。」
気まずい空気が流れた・・・
「気にしないで下さい。」
そう言って去ろうとする亮平。
すると鈴子は言った。
「気にします。」
「私も中島君のことが好きです。」
「ごめんなさい。」
亮平は言った。
「何で謝るんですか?」
「あの・・・
夕飯作ってもらえますか?」
2人は手をつないで亮平の家へ向かった。
2人はそのまま結ばれた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気ですか?
ねえちゃんは元気です。
お父さんとお母さんに、
心配しないでと伝えてください。
拓也はもう新学期ですね。
学校は少しはましになりましたか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
弟の虐めはもっと卑劣になっていた。
朝登校すると机の上には花瓶が置かれ・・・
鈴子は悩んでいた。
貯金額がもう直ぐ百万円に到達する。
そのタイミングで新人の宮本ともよが入ってきた。
亮平とは同じ大学でり、教育係は亮平。
2人が仲良くする姿を見て嫉妬し、
仕事で失敗してしまう鈴子。
そんなある夜、亮平は鈴子に言った。
「お金貸してくれない?」
鈴子は了承して5万円を貸した。
それから亮平の行動はおかしくなった。
鈴子のシフトを調べたり、大学を休んだり。
そして頻繁にお金を借りるようになり、
デートでは鈴子が支払うのが当たり前に・・・
鈴子は呟いた。
「何やっているんだろう私・・・」
ある日、鈴子は亮平に切り出した。
「中島君は私のこと好き?」
亮平は答えた。
「好きだよ。一緒にいて落ち着くし。」
「それから・・・可愛いと思うし・・・」
鈴子は返した。
「お金持っているからでしょ?」
「お金持ってなかったら、
付き合ってなかったでしょ?」
言い返そうとして口を紡いだ亮平に、
「私中島君といるの疲れたよ。」
そう言うと鈴子は亮平の家を出た。
帰ると拓也から手紙が届いていた。
〜おねえちゃんへ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気にしてますか?
こないだ僕の机の上に花瓶がありました。
すごく頭にきてその花瓶を割ってしまいました。
そして悪戯をした奴等と喧嘩になりました。
そしたらそいつが怪我をしてしまいました。
それで僕は児童相談所というところに、
連れて行かれました。
怪我をさせたのは悪いからそいつに謝りました。
でも許してくれません。
ねえちゃん。
僕はそんなに悪いかな?
怪我をさせたのは悪いけど・・・
お父さんとお母さんは、
転校したほうがいいと言っています。
でも僕はあの日のねえちゃんのことを思い出して、
何があっても逃げないと決めました。
だからこのまま皆と同じ中学に行きます。
受験はしません。
ねえちゃんに恥ずかしくないように、
僕も頑張ります。
ねえちゃん。
お父さんもお母さんも心配しています。
たまには電話でもしてやってください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜拓也〜〜
その手紙を読んで泣き崩れる鈴子。
そして久しぶりに拓也へ手紙を書いた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今まで手紙出さなくてごめん。
ねえちゃんは元気に生きています。
ねえちゃんは自分の事を、
もっと強い人間だと思っていました。
でもそうじゃありませんでした。
家族でも恋人でも、
長く一緒にいられるコツって、
一番大事なことは言わないでいる事
なんじゃないかなって思っていました。
おとなしく、適当に愛想笑いをしていれば、
トラブル無く過ごせると思っていました。
いつの間にか、
何も言えない関係になってしまうのは不幸な事です。
人は出会ったら必ず別れるのだと思います。
その別れが怖いから、
姉ちゃんは無理をしていました。
でも出会うために別れるのだと、今気がつきました。
好きな人とお別れしたって、
ちっとも泣くようなことじゃないって思いました。
姉ちゃんに言われたって説得力ないと思いますが、
卓也は悪くないよ。本当にえらいよ。
ねえちゃんはいろんな人から逃げてきましたが、
今度こそ次の街で、
ちゃんと自分の足で立って生きていこうと思います。
卓也に勇気付けられました。ありがとう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
そして鈴子は街を後にする決意をした。
店を後にするとき亮平はお金を返した。
「今まで借りたやつ。」
鈴子は受け取り、
じゃあ。とだけ言って店を後にした。
残された亮平に、ともよは言った。
「いいんですか?」
「誤解されたままじゃないですか。」
「百万円たまって出て行かれるのが嫌で、
わざとお金借りて。」
「結局百万円たまらなくても、
出て行ったじゃないですか?」
それをボーっとして聞いていた亮平は言った。
「こんな簡単に間違えちゃダメだよな〜」
そう言うと必死に鈴子を追いかけた。
駅に先に着いたのは亮平。
駅で鈴子を探すが見つからない。
運命のすれ違い・・・
一足遅れて駅に着いた鈴子。
鈴子も心のどこかでは亮平を待っていた。
そして呟く。
「来るわけ無いか〜」
(終わり)
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・「携帯・スマホゲーム」DORAKENを実際に攻略して・・・
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【百万円と苦虫女】
【出演者】
佐藤鈴子:蒼井優
鈴子の父:矢島健一
鈴子の母:キムラ緑子
佐藤拓也(鈴子の弟):齋藤隆成
リコ(バイト仲間):平岩紙
浜田武(リコの彼氏):弓削智久
・海辺の町
黒澤祐三(海の家の主人)):斎藤歩
黒澤広美(海の家のおかみ):安藤玉恵
黒澤祐作(海の家の息子):宇都秀星
ユウキ(海の家の常連):竹財輝之助
・山村
藤井絹(桃農家のお母さん):佐々木すみ江
藤井春夫(桃農家の息子さん):ピエール瀧
上田村長:石田太郎
白石(喫茶店のマスター):笹野高史
・地方都市
中島亮平(ホームセンターの同僚):森山未來
宮本ともよ(ホームセンター新入り):悠城早矢
小暮主任(ホームセンターの上司):堀部圭亮
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【感想】
これはいい!
良い意味で全て裏切られる、
自分を見つめなおさせてくれる映画。
現実の恋愛ってこうですよね〜
そんなのを忠実に活かして、
人と人との関係の冷たさと温かさを、
同時に知らしめた映画だと思います。
蒼井さんは実力者俳優で知られますが、
ここまで自然体で演技できているの最高!
これ絶対に見て欲しい映画です!!!
【あらすじ】(ネタバレあり)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「325番出所だ。」
そう言われて拘置所から出所した鈴子は言った。
「シャバか〜。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フリーターの佐藤鈴子はバイト仲間のリコと、
ルームシェアをして家を出ることを決めた。
するとリコは彼氏の武も一緒に住むと言い出す。
引越しの日、鈴子が家へ向かうと武だけが家にいた。
リコが来ないことを聞くと武は言った。
「別れた。」
「1人で家賃払えるし、しばらく一緒に住む?」
「別にあんたのこと興味ないし、あくまで共同生活だ。」
その日鈴子は一匹の野良猫を家に連れてきた。
野良猫に何か食べさせようと買い物に行き、
家に戻ると猫はいなかった。
武に猫のことを聞くと。
「捨てたに決まってるだろ。」
直ぐに猫を探しに外に出る鈴子。
鈴子が見たのは無残にも車にひかれた猫の死体。
鈴子は怒り家にある武の荷物を全て捨てた。
翌日バイト先に警察が来た。
素直に捨てたことを認めた鈴子。
捨てたカバンに百万円入っていたと証言する武。
警察はSEXしたかどうか聞いてきた。
していないと言う鈴子。
関係を持っていないこと伝えると刑事事件になった。
関係があると男女のもつれで民事となるのだ・・・
鈴子は呟いた。
「やっときゃ良かった・・・」
そして鈴子は刑事事件として告訴された。
鈴子が家に帰ると気まずい雰囲気。
しかし口火を切ったのは弟だった。
「何で戻って来るんだよ。」
「家に犯罪者が出て、
受験受けれるはず無いじゃないか!」
鈴子は言った。
「百万円たまったら出て行きます。」
「これからは1人で自分の足で生きていきます。」
近所では鈴子の噂が広まっていた。
鈴子はバイトを掛け持ちして頑張った。
お金を貯めて誰も自分を知らない場所へ行くため・・・
そんな鈴子に弟は言った。
「恥ずかしいことするなよ。」
鈴子は返した。
「恥ずかしくない。」
「恥ずかしいことなんて一個もしてない。」
そんな強い鈴子に弟は言った。
「お姉ちゃん。家でたら手紙ちょうだい。」
「おねえちゃん携帯持ってないから。」
鈴子は返した。
「友達いないから必要ないし。」
「分かった・・・」
鈴子は家を出た。
海辺の町で海の家で働いた。
そして弟に手紙を書いた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気ですか?
ねえちゃんは海の家で働いてみることにしました。
引越しでかかった費用を稼いで、
また百万円になったらここを出るつもりでいます。
これから暑くなるけど、
ねえちゃんも頑張るから拓也も頑張ってね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
家族で経営している海の家。
海の家ではカキ氷の作り方から教えられた。
初めて作ったかき氷を見て店長が褒めた。
「才能あるよ。カキ氷の。」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ねえちゃんにはカキ氷の才能が有るらしいです。
今まで人から褒められたことはないので、
嬉しいのですが、
役に立たない才能なので複雑です。
仕事は朝早いですが、
東京にいた頃より健康かもしれません。
最近は仕事にも慣れてきました。
卓也は元気でやっていますか?
また手紙を書きますね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
海に来る男ユウキにナンパされるが、
そんなのも無視して真面目に働き続ける鈴子。
それでも諦めずにユウキは誘い続けた。
ユウキは鈴子をパーティーに誘った。
友達のいない鈴子に言う。
「俺たち友達だろ。」
「友達と言うかソウルメイトだと思ってる。」
お互い名前も知らないのに、
対等に話してくれるユウキに鈴子は微笑んだ。
鈴子は呟いた。
「いろいろ難しいね〜。」
その数日後鈴子は海の家を後にした。
がっかりするユウキを尻目に、
鈴子が向かった町は山奥の山村。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
海は悪くないけど、
あんまりねえちゃんには合わない感じでした。
今度は美味しい空気を吸いながら、
緑豊かな所にしばらく住んでみようと思います。
拓也は元気?
夏休みは楽しいですか?
夏バテには気をつけてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
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立ち寄った山村の喫茶店のマスターの紹介で、
鈴子は農家の住込みアルバイトを始めた。
その家はおばあちゃんとその息子の二人暮らし。
息子は鈴子を気遣ってくれた。
朝5時起床の収穫作業。
桃を収穫すると褒められた。
「桃をもぐために生まれてきたんじゃないの?」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ねえちゃんは今桃をもいでいます。
来る日も来る日も桃をもいでいます。
朝から収穫していたらあっという間にお昼が来ます。
ねえちゃんは桃をもぎる才能もあるらしいです。
最近では「桃娘」と、
ここの家のお母さんに言われていますが、
老人独特のユーモアが、
いまいち分からないときがあるので、
ねえちゃんもまだまだ若者なんだな〜と思います。
受験勉強はどうですか?
毎日暑いですがたまには生き抜きもしてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
ある日、桃を収穫していると村長が来た。
桃娘として村のPRの依頼であった。
断れずにいる間に村長は帰って行った。
悩む鈴子に息子の春夫が話しかけた。
「嫌なら嫌ってはっきり言わないと、
ここあたりの人強引だから・・・」
次の日マスターに桃娘辞退の話をした鈴子。
マスターは村長に掛け合うが、
話は既に進んでしまっていた。
そして村民を集めての話し合いになる。
鈴子は村民の前で自分の気持ちを話す。
「何も聞いていませんし、
人前に出ることは出来ません。」
村長は桃娘の内容を話し始めた。
それは全国ネットで桃のPRとのこと。
PRすることで村の収入が増えるとの話。
村民は鈴子にやって欲しいと話し始めた。
それでも断る鈴子に対して村民は罵倒まで始めた。
そこで鈴子は本当の理由を話した。
「私は無理なんです。」
「前科があるんです。」
そう言うと集会場を後にした。
鈴子が後にした集会場で春夫は話し始める。
「もっと自分達の頭で考えなきゃ駄目だ。」
「高級品を作るとか、
インターネット販売をするとか。」
「誰一人考えてないだろ。」
「だから外から来た子に、
桃娘やらせようとするんだろ。」
次の日鈴子は村を後にすることにした。
お母さんはしっかりお金を渡してくれた。
鈴子は聞いた。
「迷惑じゃなかったですか?」
「前科者を住まわせて、
嫌がらせとかされないですか?」
お母さんは答えた。
「そんなことさせない!大丈夫だ!」
そして春夫は鈴子に桃を渡した。
「自分それしかないけど。餞別。」
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今度の街は東京から、
特急電車で1時間ちょっとで来れるところです。
割と都会です。
何というか何も無い所ですが百万円溜まるまで、
ここでまた生活してみようと思います。
拓也は元気にしてますか?
学校はどう?
お父さんとお母さんと仲良くしてね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
そのころの弟は、
以前から続いていた虐めが悪化していた・・・
鈴子は部屋を探し、バイトを探した。
バイトはホームセンターの、
ガーデニングコーナー担当となった。
鈴子に仕事を教えるのは歳の近い中島亮平。
鈴子の仕事のミスをかばってくれる亮平。
会社の飲み会に強引に誘われた2人。
参加したくない鈴子の気持ちを悟った亮平は、
用事があるからと鈴子を連れて抜け出す。
そんな亮平の優しさに鈴子はお礼を言った。
家まで鈴子を送ってくれる紳士的な亮平。
少しずつ亮平に惹かれて行く鈴子・・・
ある日、食材を買おうとスーパーに言った鈴子。
偶然、亮平も同じスーパーで買い物をしていた。
亮平に誘われ喫茶店に入った鈴子。
亮平は鈴子の過去を聞こうとする。
一瞬黙る鈴子だが、素直に今までの事情を話した。
刑事告訴され、実家にも居難くなったこと。
そして百万円をため転々としていると・・・
すると亮平は鈴子に聞いた。
「自分探しってことですか?」
鈴子は答えた。
「むしろ探したくないんです。」
「どうやったって自分の行動で、
生きて行かなければいけないですから。」
「探さなくたって嫌でもここにいますから。」
「逃げているんです。」
「知らない土地に行って、
最初は誰も私のこと知らないんですけど、
だんだん知られてきて、
すると面倒なことに巻き込まれて・・・」
「百万円あったら部屋も借りれて・・・」
亮平は聞いた。
「百万円溜まったらここを出て行くんですか?」
鈴子は黙ってお金を払い店を出た。
鈴子を追いかける亮平。
鈴子は亮平に軽蔑されると思い動揺していた。
そんな鈴子の手をとり亮平は言った。
「何も逃げなくたっていいじゃないですか。」
「僕、佐藤さんのことが好きです。」
気まずい空気が流れた・・・
「気にしないで下さい。」
そう言って去ろうとする亮平。
すると鈴子は言った。
「気にします。」
「私も中島君のことが好きです。」
「ごめんなさい。」
亮平は言った。
「何で謝るんですか?」
「あの・・・
夕飯作ってもらえますか?」
2人は手をつないで亮平の家へ向かった。
2人はそのまま結ばれた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気ですか?
ねえちゃんは元気です。
お父さんとお母さんに、
心配しないでと伝えてください。
拓也はもう新学期ですね。
学校は少しはましになりましたか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
弟の虐めはもっと卑劣になっていた。
朝登校すると机の上には花瓶が置かれ・・・
鈴子は悩んでいた。
貯金額がもう直ぐ百万円に到達する。
そのタイミングで新人の宮本ともよが入ってきた。
亮平とは同じ大学でり、教育係は亮平。
2人が仲良くする姿を見て嫉妬し、
仕事で失敗してしまう鈴子。
そんなある夜、亮平は鈴子に言った。
「お金貸してくれない?」
鈴子は了承して5万円を貸した。
それから亮平の行動はおかしくなった。
鈴子のシフトを調べたり、大学を休んだり。
そして頻繁にお金を借りるようになり、
デートでは鈴子が支払うのが当たり前に・・・
鈴子は呟いた。
「何やっているんだろう私・・・」
ある日、鈴子は亮平に切り出した。
「中島君は私のこと好き?」
亮平は答えた。
「好きだよ。一緒にいて落ち着くし。」
「それから・・・可愛いと思うし・・・」
鈴子は返した。
「お金持っているからでしょ?」
「お金持ってなかったら、
付き合ってなかったでしょ?」
言い返そうとして口を紡いだ亮平に、
「私中島君といるの疲れたよ。」
そう言うと鈴子は亮平の家を出た。
帰ると拓也から手紙が届いていた。
〜おねえちゃんへ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
元気にしてますか?
こないだ僕の机の上に花瓶がありました。
すごく頭にきてその花瓶を割ってしまいました。
そして悪戯をした奴等と喧嘩になりました。
そしたらそいつが怪我をしてしまいました。
それで僕は児童相談所というところに、
連れて行かれました。
怪我をさせたのは悪いからそいつに謝りました。
でも許してくれません。
ねえちゃん。
僕はそんなに悪いかな?
怪我をさせたのは悪いけど・・・
お父さんとお母さんは、
転校したほうがいいと言っています。
でも僕はあの日のねえちゃんのことを思い出して、
何があっても逃げないと決めました。
だからこのまま皆と同じ中学に行きます。
受験はしません。
ねえちゃんに恥ずかしくないように、
僕も頑張ります。
ねえちゃん。
お父さんもお母さんも心配しています。
たまには電話でもしてやってください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜拓也〜〜
その手紙を読んで泣き崩れる鈴子。
そして久しぶりに拓也へ手紙を書いた。
〜拓也へ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今まで手紙出さなくてごめん。
ねえちゃんは元気に生きています。
ねえちゃんは自分の事を、
もっと強い人間だと思っていました。
でもそうじゃありませんでした。
家族でも恋人でも、
長く一緒にいられるコツって、
一番大事なことは言わないでいる事
なんじゃないかなって思っていました。
おとなしく、適当に愛想笑いをしていれば、
トラブル無く過ごせると思っていました。
いつの間にか、
何も言えない関係になってしまうのは不幸な事です。
人は出会ったら必ず別れるのだと思います。
その別れが怖いから、
姉ちゃんは無理をしていました。
でも出会うために別れるのだと、今気がつきました。
好きな人とお別れしたって、
ちっとも泣くようなことじゃないって思いました。
姉ちゃんに言われたって説得力ないと思いますが、
卓也は悪くないよ。本当にえらいよ。
ねえちゃんはいろんな人から逃げてきましたが、
今度こそ次の街で、
ちゃんと自分の足で立って生きていこうと思います。
卓也に勇気付けられました。ありがとう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜鈴子〜〜
そして鈴子は街を後にする決意をした。
店を後にするとき亮平はお金を返した。
「今まで借りたやつ。」
鈴子は受け取り、
じゃあ。とだけ言って店を後にした。
残された亮平に、ともよは言った。
「いいんですか?」
「誤解されたままじゃないですか。」
「百万円たまって出て行かれるのが嫌で、
わざとお金借りて。」
「結局百万円たまらなくても、
出て行ったじゃないですか?」
それをボーっとして聞いていた亮平は言った。
「こんな簡単に間違えちゃダメだよな〜」
そう言うと必死に鈴子を追いかけた。
駅に先に着いたのは亮平。
駅で鈴子を探すが見つからない。
運命のすれ違い・・・
一足遅れて駅に着いた鈴子。
鈴子も心のどこかでは亮平を待っていた。
そして呟く。
「来るわけ無いか〜」
(終わり)
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