2016年03月13日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part56 神奈川の流れ
神奈川 10
秋田 6
弥生「意外ね。どちらも屈指のポイントガードだけど、こんなところで違いがあるとはね。」
中村「違い!?」
弥生「いつも豪華なメンバーで、しかも困ったときには沢北、河田という日本一のメンバーを駆使して仲間を活かすプレーをしていた深津君に対して、自分が中心で攻めを組み立てを考え、補助的に周りを活かしてきた牧君。
プレースタイルの違いは明らかよ。その牧君の個人技を活かすために、神奈川はあえて、アイソレーションをしてより自由度を上げたのよ。」
中村「な、なるほど。先輩も意外と考えているんですね。」
間髪入れずに弥生のノートが中村の脳天を直撃した。
中村「い、いてぇ!」
弥生「しかし、いつまでもこのスタイルが続くかしら?深津君も面を食らっているだけで対応してくると思うし。まして、ゾーンで守られたらこの戦略は使えないわ。」
中村「そうでしょうか?王者のプライドがゾーンディフェンスをすることを認めますかね?深津君のプライドもあるでしょうし。」
中村の推測も半ば当たっていた。
堂本監督は悩んでいた。深津が牧に負けているとは思っていない。単純にプレースタイルが異なるだけなのは十分理解していた。
ただ、ここでゾーンディフェンスに切り替えると、見た目には、深津が牧に負けたと認めるようなもので、それは深津を傷つけることになってしまうと考えていた。
それこそが、藤真の狙いだったのだ。
そうやって、堂本が少し悩んでいる間に仙道がパスカットをし、再び神奈川ボールになった。
再びアイソレーションの体形で先程とは逆サイドに牧が展開しようとした。
一ノ倉「ちっ、今度は逆か?」
一ノ倉がそうつぶやき、牧に注意をそらした瞬間、三井が一瞬でスリーポイントラインを超えてフリーになった。
その一瞬を逃さず、牧から鋭いパスが三井に渡った。
三井「別に牧だけが攻めるとは言っていないぜ。」
(パスッ)
観客「来たーーーー。三井のスリーだーーーー。」
神奈川 13
秋田 6
清田「相変わらず汚ねぇ。」
神「しかし、こういう時に三井は外さない。流れをつかむタイミングをよく知っているんだ。」
ここで一度秋田がタイムアウトを取った。
秋田選抜も流れの悪さを実感していた。
河田「少し流れが悪いな。」
しかし、堂本はこのままでいくことを決断した。深津のセンスにかけたのだ。
堂本「一ノ倉、交代だ。今のままでは、攻守に深津への負担が大きい。
攻めの負担を下げてやりたい。松本、行けるな?」
松本「もちろんです。」
堂本「深津。お前が牧に負けるとはこれっぽっちも思っていないぞ。これから大学バスケでもお前とはいいライバルになるだろう。しっかりやって来い。」
深津は、堂本の言葉を半分聞いていなかった。
何やら考えているようだった。
一方神奈川ベンチでは、三井が大騒ぎしていた。
三井「はっはっは。急にスリーが来て面食らってやがる。馬鹿正直に攻める馬鹿がどこにいるってんだ。」
牧「いいタイミングでの飛び出しだったな。」
牧も三井のタイミングが絶妙だったため、何も考えずにパスができた。
神へ出すタイミングと似ていたのだ。
高頭もそれを感じていた。
高頭「(三井の奴。あのタイミングで飛び出すとは。さすがにセンスの塊のような奴だな。)」
高頭は、三井のセンスを再認識している一方で、藤真の作戦が予想通りに運んでいることにも驚きを隠せなかった。こんなにはまるとは思わなかったのだ。
アイソレーションをするのなら、仙道、流川の当たりで攻めるのが定石だが、まさかの牧で攻めるという発想はなかったからだ。
高頭「(翔陽が監督を採用しないせいで幅広い視野を身に着けているな。選手もしながら監督の能力も身につけてきている。コイツも化け物の一人だな。)」
そんな各ベンチの思惑の中、プレーが再開された。
(続く)
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