2015年06月07日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part18 高揚と不満
大阪選抜との一戦を翌日に控えた旅館では、各高校ごとに部屋が分かれて泊まっていた。
湘北の部屋では当然責任者は赤木だった。
赤木「明日は、全力で勝ちに行くぞ!」
小さなころからの夢だった全国の舞台に優勝候補の一角として難敵と戦うことで気持ちが高揚していたのだ。
宮城「せいぜい神奈川代表として頑張ってください。」
宮城は少し拗ねていた。牧、藤真と二大巨頭が神奈川にはPGとして君臨し、
まして恩師である安西から現時点では、二人に及ばないと言われていたからだ。
事実、高頭もスタメンから外しており、格下の北海道戦ですら出番がなかった。
三井が珍しくまじめな顔をして話し始めた。
三井「宮城よ。いつまで拗ねているんだ。お前はまだ二年だ。
二年で神奈川代表に選ばれている奴がどのくらいいる?
中には一年で選ばれている例外もいるが、そんなのはまれだ。
選ばれていることだけでもすごいことだぞ。」
宮城「フン。試合に出られる人は言うことも立派ですね。」
三井「なんだと!っていつもなら怒るところだが、今日は安西先生から
手紙を預かっているんだ。こんな時に宮城に渡してくれと。」
宮城「安西先生が!?」
三井は宮城に手渡した。
(安西の手紙)
安西「宮城君。先日は厳しいことを言いましたね。ひょっとして落ち込んでいるのではと思い
この手紙を書きました。
先日君に言ったことは事実として受け止めてほしいと思います。
だが、君なら牧君を超えられる。そう思ったから、現実から目を背けてほしくないから
あえて厳しいことを言いました。
冬のインターハイがラストチャンスです。それを逃したら牧君、藤真君は卒業してしまいます。
来年は君の神奈川では君の天下になるでしょう。しかし、それでは湘北が全国制覇はできません。
君には神奈川NO1ではなく、全国NO1を目指してほしいのです。
それには、今年のうちに牧君を追い抜いてほしいのです。
国体はおそらく出番はないでしょう。
しかし、牧君のプレー、藤真君のプレーを直接見るまたとない機会です。
1秒たりとも無駄にせず目に焼き付け彼等の良いところや悪いところを見てください。
なんといっても湘北の切り込み隊長はあなたです。
成長して帰ってきてください。期待しています。」
宮城「・・・。あ、安西先生・・・。」
宮城は涙ぐんでいた。自分の心の狭さに苛立ちもあった。
その時、一枚の紙が落ちた。
宮城は拾った。
それは彩子からの手紙だった。
彩子「リョータ!あんたは、あんたのいいところがあるんだから。
誰かのまねをするんじゃなくてあんたのいいところでNO1になりなさい!」
短い文章だが宮城の心を打った。
宮城「アヤちゃん・・・。」
三井「安西先生から手紙をもらうなんていいなぁ・・・。なんて書いてあったんだ?」
宮城「これは、俺の宝物にするんだ。安西先生の期待に応えるまで誰にも話さねぇ。」
赤木「フッ。宮城の奴。吹っ切れたかな。ところで、流川の奴が見当たらんが
どこに行った?」
三井「ずっとそこで寝てるじゃないか!」
赤木「な、なにぃ!どこまでもなめた態度をとりおって。」
その時、部屋がノックされた。
藤真だった。
藤真「赤木、高頭監督が呼んでいる。監督室に来いと。」
赤木「高頭監督が?」
(監督室)
高頭「よく集まってくれた。招集した理由は他でもない大阪選抜戦についてだ。」
集められたメンバーは、牧、藤真、赤木だ。
高頭「赤木よ。湘北はこの夏、豊玉と対戦したがどういうイメージだ?」
赤木「はっ。豊玉は、最初はぎこちなかったですが、途中からペースを取り戻し
本来の姿を取り戻してからは、Aランクの評判通りの強さでした。
正直、最初から最後まであの勢いで来られたらやばかったかもしれません。」
高頭「やはりそうか。ちょっと集中力を欠いていたように見えたからな。」
牧「今回の大阪は、大栄学園の土屋が南、岸本、板倉という豊玉のスコアラー3人をうまく使ってくるだろう。」
藤真「南は、勢いに乗せたらちょっと怖いかもしれん。」
高頭「そうか、翔陽も昨年豊玉に負けているか。おっと、すまん。」
藤真「いえ、気にしないでください。」
牧「まあ、ケガさえしなければな。」
藤真「そう気にするな。負けたのは事実だ。
しかし、明日は厳しい試合になるだろう。
高さで勝負しようとしていますか?」
高頭「ん・・・。いや、ラン&ガンで勝負しようと思っておる。」
赤木「そ、それは、安西先生と同じ考えでしょうか?」
高頭「安西先生?」
赤木「そうです。安西先生が豊玉戦の前に、相手の得意な展開ででも勝てないと
山王には勝てないと。」
高頭「そうか。安西先生はあの試合の前に、そんなことを・・・。
しかし、半分正解で半分外れだ。」
藤真「私が監督でも同じ戦略をとります。
このチームは、高さでも勝負できなくはないが、スピードを活かすのが
一番いい。牧が捌いて、仙道、流川が活きる。
赤木がセンターでどっしり構えて、三井の長距離砲もある。」
高頭「(・・・。同じことを考えておったか。さすが監督もこなしているだけあるな。)」
牧「フ。何にせよ、明日は全力でプレーするのみだ。」
全国の注目の一戦が始まろうとしていた・・・。
(続く)
湘北の部屋では当然責任者は赤木だった。
赤木「明日は、全力で勝ちに行くぞ!」
小さなころからの夢だった全国の舞台に優勝候補の一角として難敵と戦うことで気持ちが高揚していたのだ。
宮城「せいぜい神奈川代表として頑張ってください。」
宮城は少し拗ねていた。牧、藤真と二大巨頭が神奈川にはPGとして君臨し、
まして恩師である安西から現時点では、二人に及ばないと言われていたからだ。
事実、高頭もスタメンから外しており、格下の北海道戦ですら出番がなかった。
三井が珍しくまじめな顔をして話し始めた。
三井「宮城よ。いつまで拗ねているんだ。お前はまだ二年だ。
二年で神奈川代表に選ばれている奴がどのくらいいる?
中には一年で選ばれている例外もいるが、そんなのはまれだ。
選ばれていることだけでもすごいことだぞ。」
宮城「フン。試合に出られる人は言うことも立派ですね。」
三井「なんだと!っていつもなら怒るところだが、今日は安西先生から
手紙を預かっているんだ。こんな時に宮城に渡してくれと。」
宮城「安西先生が!?」
三井は宮城に手渡した。
(安西の手紙)
安西「宮城君。先日は厳しいことを言いましたね。ひょっとして落ち込んでいるのではと思い
この手紙を書きました。
先日君に言ったことは事実として受け止めてほしいと思います。
だが、君なら牧君を超えられる。そう思ったから、現実から目を背けてほしくないから
あえて厳しいことを言いました。
冬のインターハイがラストチャンスです。それを逃したら牧君、藤真君は卒業してしまいます。
来年は君の神奈川では君の天下になるでしょう。しかし、それでは湘北が全国制覇はできません。
君には神奈川NO1ではなく、全国NO1を目指してほしいのです。
それには、今年のうちに牧君を追い抜いてほしいのです。
国体はおそらく出番はないでしょう。
しかし、牧君のプレー、藤真君のプレーを直接見るまたとない機会です。
1秒たりとも無駄にせず目に焼き付け彼等の良いところや悪いところを見てください。
なんといっても湘北の切り込み隊長はあなたです。
成長して帰ってきてください。期待しています。」
宮城「・・・。あ、安西先生・・・。」
宮城は涙ぐんでいた。自分の心の狭さに苛立ちもあった。
その時、一枚の紙が落ちた。
宮城は拾った。
それは彩子からの手紙だった。
彩子「リョータ!あんたは、あんたのいいところがあるんだから。
誰かのまねをするんじゃなくてあんたのいいところでNO1になりなさい!」
短い文章だが宮城の心を打った。
宮城「アヤちゃん・・・。」
三井「安西先生から手紙をもらうなんていいなぁ・・・。なんて書いてあったんだ?」
宮城「これは、俺の宝物にするんだ。安西先生の期待に応えるまで誰にも話さねぇ。」
赤木「フッ。宮城の奴。吹っ切れたかな。ところで、流川の奴が見当たらんが
どこに行った?」
三井「ずっとそこで寝てるじゃないか!」
赤木「な、なにぃ!どこまでもなめた態度をとりおって。」
その時、部屋がノックされた。
藤真だった。
藤真「赤木、高頭監督が呼んでいる。監督室に来いと。」
赤木「高頭監督が?」
(監督室)
高頭「よく集まってくれた。招集した理由は他でもない大阪選抜戦についてだ。」
集められたメンバーは、牧、藤真、赤木だ。
高頭「赤木よ。湘北はこの夏、豊玉と対戦したがどういうイメージだ?」
赤木「はっ。豊玉は、最初はぎこちなかったですが、途中からペースを取り戻し
本来の姿を取り戻してからは、Aランクの評判通りの強さでした。
正直、最初から最後まであの勢いで来られたらやばかったかもしれません。」
高頭「やはりそうか。ちょっと集中力を欠いていたように見えたからな。」
牧「今回の大阪は、大栄学園の土屋が南、岸本、板倉という豊玉のスコアラー3人をうまく使ってくるだろう。」
藤真「南は、勢いに乗せたらちょっと怖いかもしれん。」
高頭「そうか、翔陽も昨年豊玉に負けているか。おっと、すまん。」
藤真「いえ、気にしないでください。」
牧「まあ、ケガさえしなければな。」
藤真「そう気にするな。負けたのは事実だ。
しかし、明日は厳しい試合になるだろう。
高さで勝負しようとしていますか?」
高頭「ん・・・。いや、ラン&ガンで勝負しようと思っておる。」
赤木「そ、それは、安西先生と同じ考えでしょうか?」
高頭「安西先生?」
赤木「そうです。安西先生が豊玉戦の前に、相手の得意な展開ででも勝てないと
山王には勝てないと。」
高頭「そうか。安西先生はあの試合の前に、そんなことを・・・。
しかし、半分正解で半分外れだ。」
藤真「私が監督でも同じ戦略をとります。
このチームは、高さでも勝負できなくはないが、スピードを活かすのが
一番いい。牧が捌いて、仙道、流川が活きる。
赤木がセンターでどっしり構えて、三井の長距離砲もある。」
高頭「(・・・。同じことを考えておったか。さすが監督もこなしているだけあるな。)」
牧「フ。何にせよ、明日は全力でプレーするのみだ。」
全国の注目の一戦が始まろうとしていた・・・。
(続く)
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