高市早苗経済安保担当相が、中国の暴挙≠ノ強い姿勢を示している。沖縄県・尖閣諸島近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国が無断で「海上ブイ」を設置している問題で、高市氏は「撤去すべき」「放置できない」「日本が撤去しても違法ではないと思うが」などと発信しているのだ。岸田文雄政権は中国に抗議して「即時撤去」を申し入れたが、「遺憾砲」と受け取ったのか、習近平政権は無視している。識者からは、高市氏の姿勢を評価する声が上がっている。
中国は今年7月、尖閣諸島・魚釣島の北西約80キロ、日本のEEZ内に勝手にブイを設置した。国連海洋法条約では、EEZ沿岸国の同意がなければ、ブイなどの構造物設置はおろか、海洋調査を行うことも認められていない。周辺海域は民間船舶の往来も多く、事故など不測の事態が生じかねない。
開会中の臨時国会でも、この問題は議論されている。
日本維新の会の東徹氏は1日の参院予算委員会で、「中国が撤去しない場合、日本独自で撤去すべきだ」と指摘した。
これに対し、上川陽子外相は「国連海洋法条約に(撤去の)明文規定がない」「個別具体的な状況に応じた検討が必要で、可否を一概に答えるのは困難」などと慎重姿勢を崩さなかった。
政府関係者は「(中国の習政権に)抗議は通用しない。尖閣周辺で領海侵入を繰り返し、管轄権を既成事実化しようとしている。中国国内では日本人を相次いで拘束するなど主権侵害を繰り返している。日本が強く要請しても、改善の兆しはないのが現状だ」と語った。
第11管区海上保安本部によると、4日午前2時25分ごろ、尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船2隻が侵入した。
こうしたなか、高市氏の発信をどう見るか。
福井県立大学の島田洋一名誉教授は「高市氏の主張は至極当然。主権侵害に厳格に対応するのは国際社会の常識だが、日本はこの常識から外れている。習政権は独裁を強め、国内の不満をかわそうと、日本への外交圧力に転嫁している。違法なブイ設置を看過すれば、中国に対し、日本は『主権侵害を甘受する』と誤ったメッセージを与える。高市氏は、保守政治家として正念場だ。閣内でも信念を貫き、行動で示してほしい」と強調した。
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