9月場所で東前頭15枚目の熱海富士(24)との優勝決定戦を制し、4場所ぶり4度目の優勝を果たした貴景勝(27)。来場所は「綱取り」となるはずのところだが、11勝での優勝が15日制導入以降、4例目の最低成績だということに加え、大関が格下の力士に立ち合いで変化して勝ったことへの批判が相次いだ。最高位の横綱ともなれば、待遇もアップするだけに厳しい意見が出てくるのは致し方ないのかもしれない。
八角理事長(元横綱・北勝海)は貴景勝の土俵について「大関の責任は果たしてくれたが、内容はちょっとがっかり」と評した。翌日のスポーツ各紙の専属評論家からも「せっかく盛り上がった優勝争いに冷水を浴びせた立ち合いの変化にはがっかり」(藤島親方=元大関・武双山)、「変化はよくなかったね。勝ちたい気持ちはわかるけど、やっぱりやって欲しくないよ」(武蔵川親方=元横綱・武蔵丸)といった声があがり、貴景勝の勝利への執念は評価されなかった。
その一方、2場所連続休場となったひとり横綱・照ノ富士への批判は表向き、あまり目立たない。翌日に開催された横綱審議委員会に出席した山内昌之委員長(東大名誉教授)も「巡業参加など貢献している。現段階では回復努力を見守りたい」と静観する構えだ。
そうした論調について、若手親方のひとりは「7月場所を全休したケガが完治しないなか、カド番で15日間戦い抜き、大関の責任を全うした貴景勝は立派。批判されるべきは何場所休んでも降格とならない地位に甘えて2場所連続休場した横綱・照ノ富士ではないか」と苦言を呈す。
横綱への苦言が内部事情をよく知る筋から聞こえてくるのは、休場しても多くの収入を得られるという仕組みがあるのが一因だろう。力士は休場しても給料は通常通り支払われる。もちろん、普通は休場すれば番付が下がり、それに伴って給料も下がっていくが、降格のない横綱だけは「例外」となる。
横綱の給料は月300万円。9月場所を休んだ照ノ富士には、この給料の他に持ち給金といわれる褒賞金(年6回)が休場中でも支払われる。照ノ富士の持ち給金は412.5円で、4000倍した褒賞金165万円が支給される仕組みだ。加えて年2回(9月と12月)支給される月給1か月分のボーナス300万円も上乗せされる。本場所特別手当(横綱は20万円)は全休のため支払われないが、休場しながら照ノ富士には765万円が振り込まれる計算になる。
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