姫路城(ひめじじょう)は、兵庫県姫路市にある日本の城。江戸時代初期に建てられた天守や櫓等の主要建築物が現存し、国宝や重要文化財に指定されている。また、主郭部を含む中堀の内側は「姫路城跡」として国の特別史跡に指定されている。また、ユネスコの世界遺産(文化遺産)リストにも登録され、日本100名城[12]などに選定されている。別名は白鷺城(はくろじょう・しらさぎじょう。
天守(連立天守群、国宝)
名称の由来と別名
姫路城天守の置かれている「姫山」は古名を「日女路(ひめじ)の丘」と称した。『播磨国風土記』にも「日女道丘(ひめじおか)」の名が見られる。姫山は桜が多く咲いたことから「桜木山」、転じて「鷺山(さぎやま)」とも言った。天守のある丘が姫山、西の丸のある丘が鷺山とすることもある。
橋本政次『姫路城の話』では、別名「白鷺城(はくろじょう)」の由来として、推論も含め、以下の4説が挙げられている。
姫路城が「鷺山」に置かれているところから。
白漆喰で塗られた城壁の美しさから。
ゴイサギなど白鷺と総称される鳥が多く住んでいたから。
黒い壁から「烏城(うじょう)」「金烏城(きんうじょう)」とも呼ばれる岡山城との対比から。
白鷺城は「はくろじょう」の他に「しらさぎじょう」とも読まれることがあり、村田英雄の歌曲に『白鷺(しらさぎ)の城』というものもある。これに対し、前出の橋本は漢学的な名称であることから、「しらさぎじょう」という読みを退け、「はくろじょう」を正しい読みとしている。現在は、『日本歴史大事典』(小学館)、『もういちど読む山川日本史』(山川出版社)のように「しらさぎじょう」の読みしか掲載していないもの、『日本史事典』三訂版(旺文社)、『ビジュアルワイド 日本名城百選』(小学館)のようにどちらかを正しいとせずに「はくろじょう」「しらさぎじょう」を併記しているものなども見られる。姫路市内では市立の白鷺(はくろ)小中学校のように学校名に使用されたり、小中学校の校歌でも「白鷺城」または「白鷺」という言葉が使われていることが多い。戦前の姫路市内の尋常小学校で歌われていた『姫路市郷土唱歌』の歌詞にも「白鷺城」や「池田輝政(三左衛門)」などが使われている。
はの門。天守へ至る「上道」途中に建つ櫓門
世界遺産登録・文化財指定
世界遺産
日本の世界遺産条約締約は1992年(平成4年)のことであり、姫路城はその年の10月1日に正式推薦された。世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) は推薦に先立つ同年9月と、推薦後の1993年(平成5年)4月と8月に現地調査を行なった(なお、これとは別に後述するオーセンティシティの評価のため、ICOMOS事務総長が同年5月に視察した)。その結果を踏まえ、同年10月に「登録」が勧告された。そこで評価されたのは、
木造建築物として、白漆喰の城壁を持つ優れた美と実用的機能を兼ね備えていること。
明治以前の封建制度の象徴であること。
日本の木造城郭建造物として最高のものであること。
といった点であった。そして、同年12月の第17回世界遺産委員会(カルタヘナ)で、「法隆寺地域の仏教建造物」とともに日本初の世界文化遺産として正式登録された。
資産としての登録地域は、中曲輪より内側となっており、その範囲は特別史跡指定地域と重なっている[63]。さらにその周囲が緩衝地域(バッファーゾーン)に指定されている。従来、緩衝地域の規制は緩やかなものであったが、1993年に中壕通り都市景観形成地区(都市景観条例による)が指定され、2008年には資産部分を含め、姫路城周辺風景形成地域の指定が行われた。2012年の第36回世界遺産委員会に際して、登録範囲の明確化が行われた。
桜の季節の姫路城
国宝
以下の5件8棟が1951年(昭和26年)6月9日に文化財保護法に基づき国宝に指定されている。
大天守(だいてんしゅ)
東小天守(ひがしこてんしゅ)
西小天守(にしこてんしゅ)
乾小天守(いぬいこてんしゅ)
イ・ロ・ハ・ニの渡櫓 4棟(附指定:台所1棟)
上記の天守と渡櫓計8棟は、1931年(昭和6年)1月19日、国宝保存法に基づき、当時の国宝(旧国宝、文化財保護法における「重要文化財」に相当)に指定され、同12月14日には渡櫓、門、塀等74棟も国宝(旧国宝)に指定された。その後、1950年(昭和25年)8月29日の文化財保護法施行に伴い「旧国宝」は「重要文化財」とみなされることとなった(文化財保護法附則第3条)。1951年(昭和26年)6月9日付けで、文化財保護法および国宝及び重要文化財指定基準(昭和26年5月10日文化財保護委員会告示第2号)に基づき、上記の大天守以下の5件(8棟)が改めて国宝(新国宝)に指定された。
現地情報
姫路城の運営業務の経費節減、来城者のおもてなしを強化することを目的として、観光客への案内や改札業務等は民間企業に委託されている。2017年から乃村工藝社が請け負っており、2018年3月以降は近畿日本ツーリスト(KNT)関西が受託者となっている。
所在地 - 姫路市本町68番地
ライトアップ - 毎日、日没から午前0時まで点灯している。季節や様々なイベントにより色が変わることもある。
スタンプ - 日本100名城のスタンプは管理事務所横の見学室に設置している。
御城印 - 有料区域内の売店で販売している。
交通アクセス
西日本旅客鉄道(JR西日本):山陽新幹線・山陽本線・姫新線・播但線 姫路駅 姫路城口 (北口) より徒歩約20分。
山陽電気鉄道:本線 山陽姫路駅より徒歩約15分。
神姫バス「姫路城大手門前」下車すぐ。12 - 2月は土日・祝祭日、3 - 11月は毎日、平日は30分に1本、土日・祝祭日は15分に1本神姫バスにより「姫路城ループバス」も運転される。
有料公営駐車場が城周辺に5箇所合わせて約1,600台分、駅周辺に5箇所合わせて約1,100台分、有料公営駐輪場が駅から城の区域に3箇所合わせて自転車約2,900台分、単車約600台分ある。
開城時間・料金
開城時間
通常:9時 - 16時(17時閉城)、夏季:9時 - 17時(18時閉城)※コロナ対策として2020年以降の開城時間は変更されている。
休城日:12月29日、12月30日
料金
大人:1,000円、子供(小学生から高校生):300円、団体(30人以上):一律2割引。
播磨地域8市8町在住の4歳から中学3年生に配布されるどんぐりカード、姫路市に住民票がある65歳以上に配布される高齢者福祉優待カードを提示すれば無料となる。
障害者手帳所持者は、本人と介助者1名が無料となる。車いす利用の場合は、本人と介助者3名までが無料となる。ミライロIDも利用可能。
平成の修理完了後の2015年3月27日から入城料が改定された。改定前は大人600円、子供(5歳から中学生)200円だった、団体は30人以上1割引、100人以上2割引、300人以上3割引だった。平成の修理工事期間中(2010年4月12日から2015年3月末)は大人400円、小人100円に減額され、修理見学施設に入るには大人200円・子供100円の追加料金が必要であった。
2015年7月の1か月間、平成の修理が完成したことを祝って、姫路市民は運転免許証や健康保険証など住所と名前が確認できるものを提示することで入城料が無料となった。
割引共通券(姫路城と好古園)も販売されている。
2016年(平成28年)2月1日からクレジットカードでの入城券購入が可能となった。対応するのはVisaとマスターカード。2020年2月からは、券売機が6か国語(日本語、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、フランス語)対応となり(音声ガイダンス付き)、2020年8月からは、各種電子マネーも利用可能。
2022年10月13日
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