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2018年06月24日
越後屋波多利郎(7)「人事師波多利郎」の後半です!
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
前回の「人事師波多利郎」の後半ですね鞭打たれた美少年、菊丸は一体どうなってしまうのでしょうか。
【人事師波多利郎 前半】
いつもとは違う役どころのパタリロのキャストたち。波多利郎は越後屋ではなく人材派遣業の「人事師」。万古蘭は南町奉行ではなく、「寺社奉行」の邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま)。マライヒは博打打ち、「音根の菊丸」となっております。
人事師の波多利郎が寄せ場(工事現場)に派遣したのは、いかさま博打打ちの美少年「音根の菊丸」でした。高い所が平気な菊丸は「銀次」という男に鳶の仕事を教わることになり、華奢で細っこいのに腕っぷしが強く、愛嬌もある菊丸は、荒くれ者だらけの寄せ場でもすぐに皆に馴れ親しんでいきます。そんな折、見張りの役人がこっそりと酒を飲もうとしているのを見た菊丸と罪人たち。仲間のために菊丸はちょっとした事故をわざと起こし、隙をついてまんまと酒をせしめます。ところが仲間たちで酒を飲んでいるところに監視役の役人に踏み込まれ酒を飲んだことがバレてしまうのでした。菊丸は「自分がひとりで飲んだ」と皆の罪までかぶり名乗り出ます。そしてその罰として菊丸は“百叩きの刑”を受け、最後には失神してしまうのでした…
【人事師波多利郎 後半】
皆の分までひとり罪を背負った菊丸。鞭打たれた背中が痛み、夜もなかなか寝付かれずにいました。そんな菊丸の枕元に銀次が音も立てずやってきてこう問いました。
「痛むか」
起き上がった菊丸に、さらに銀次はこう続けます。
「なぜ、みんなをかばった」
ツンとした美少年、菊丸はそっぽを向きながら言うのです。
「痛い目に会うのは一人で充分だろう」
すると銀次は「おれの名を知ってるか」と続けます。
「銀次さんだろう?」といぶかしげに尋ねる菊丸に銀次は驚くべきことを告げます。
「それは本名だ。裏の世界じゃ“黄金小僧”(こがねこぞう)で通ってる」
菊丸は驚きました。“黄金小僧”といえば名の知れた有名な大泥棒だったからです。しかし“黄金小僧”が捕まったなんて話は聞いたことはありません。いぶかしげに尋ねる菊丸に、銀次は盗みで捕まった訳じゃないと続けます。聞けば、半年前にケンカに巻き込まれて一人を殺めてしまった。島送りは免れたが、この分じゃ一生寄せ場送りだろう…と
「まぁさんざん世間を騒がせた身だからそれもやむをえねぇ。ただ一つ心残りがあってな」
「すげえ金もうけの話があるんだ」
金もうけの話と聞いて菊丸はぴくっとします。
これは自分だけの胸に秘めてだまって地獄へ行くつもりだったが…と続けた銀次の話は思いもよらないものでした。
捕まる一月ほど前に忍び込んだ“紀州公”の屋敷で、紀州が幕府を転覆させようとしている証拠をつかんだというのです。それはご禁制の品である鉄砲をひそかに買い集めているという記録を書き記した巻物でした。
紀州は幕府を相手に戦争を始めようとしている、しかしそれにはまだ時期尚早で、この巻物をもとに紀州公を脅せば五万両、いや十万両にはなると言うのです。
しかし、寄せ場送りになっている自分はその仕事をすることが出来ない、かわりに菊丸にそれをやってほしいという銀次。
「なぜあたしに?」と聞く菊丸。
「おめえは見かけによらず、度胸も男気もある。そしておめえなら俺の頼みを聞いてくれると思ってな…」
銀次の頼みとは、金を手に入れたらその金の半分、いや三分の一でいいから生活に困ってる連中に分けて欲しい…というものでした。
菊丸はハッとします。
「あんたは義賊だったけね…」
「金をあるところからないところに運んでいるだけだ。おめえなら信用できると思って話したんだ、どうだやってくれるか」
そう言う銀次に菊丸は「お金をまずしい人にわけてやるという話気に入った…やるよ!」と快諾します。そして菊丸は銀次と、紀州公を脅し金を奪う作戦を練るのでした。
場面は変わり朝方、どこぞの美少年としっぽりと一夜を過ごした寺社奉行の万古蘭のもとへ、波多利郎がばたばたとやってきます。
「たいへんです!菊丸が逃走しました!」
「逃走したといっても…」身づくろいをした万古蘭は忌々し気に波多利郎に問います。
「菊丸はおまえの部下であろう…」
そうなのです。
“人事師波多利郎”とばくち打ち“音根の菊丸”とは世を忍ぶ仮の姿で、本当は公儀お庭番伊賀組小頭“小銭の波多利郎”とその配下“美女隠れ菊丸”だったのです。
ふたりの本当の目的は紀州公の陰謀の証拠の巻物を手に入れることでした。巻物の在りかを知っている“黄金小僧”に信用されるよう、寄せ場にて一芝居うったのです。
なんとまぁ…
ところが肝心の菊丸が情報を持ってトンズラしてしまったのでした。
なぜ、菊丸がトンズラしたのかわからない二人を残し、菊丸は美しい着物を着てひとり空を見あげています。菊丸は銀次の言葉に心を打たれ、銀次のかわりにまずしい人たちのために義賊になることを決意していたのでした。
まずしい人たちのために頑張るぞ〜と明るくこぶしを振り上げる菊丸とは対照的に、この仕事が終わったら菊丸に一晩相手をさせる約束をしていた万古蘭は、抑えきれないイライラを波多利郎にぶつけるのでした。
「手打ちにしてくれる!」「アギャーン」
面白い!
最後のページで菊丸が美しいバラの柄の着物を着ているのですが、これがまた美しい。可愛らしい!
牢屋のシーンから始まったこの作品ですが、ストーリー展開がとても流れるようで素晴らしいですね。いやあ、すごい。やっぱりパタリロ!は面白いなぁとしみじみ思います。
この「人事師波多利郎」もシリーズ化してほしかったな〜。さぞや色々なお話があったのではないでしょうかね、妄想ですけど
ぜひ、みなさんも読んでみてください!この45巻は一冊まるごと傑作ですから!
ナツノナカノです。
前回の「人事師波多利郎」の後半ですね鞭打たれた美少年、菊丸は一体どうなってしまうのでしょうか。
【人事師波多利郎 前半】
いつもとは違う役どころのパタリロのキャストたち。波多利郎は越後屋ではなく人材派遣業の「人事師」。万古蘭は南町奉行ではなく、「寺社奉行」の邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま)。マライヒは博打打ち、「音根の菊丸」となっております。
人事師の波多利郎が寄せ場(工事現場)に派遣したのは、いかさま博打打ちの美少年「音根の菊丸」でした。高い所が平気な菊丸は「銀次」という男に鳶の仕事を教わることになり、華奢で細っこいのに腕っぷしが強く、愛嬌もある菊丸は、荒くれ者だらけの寄せ場でもすぐに皆に馴れ親しんでいきます。そんな折、見張りの役人がこっそりと酒を飲もうとしているのを見た菊丸と罪人たち。仲間のために菊丸はちょっとした事故をわざと起こし、隙をついてまんまと酒をせしめます。ところが仲間たちで酒を飲んでいるところに監視役の役人に踏み込まれ酒を飲んだことがバレてしまうのでした。菊丸は「自分がひとりで飲んだ」と皆の罪までかぶり名乗り出ます。そしてその罰として菊丸は“百叩きの刑”を受け、最後には失神してしまうのでした…
【人事師波多利郎 後半】
皆の分までひとり罪を背負った菊丸。鞭打たれた背中が痛み、夜もなかなか寝付かれずにいました。そんな菊丸の枕元に銀次が音も立てずやってきてこう問いました。
「痛むか」
起き上がった菊丸に、さらに銀次はこう続けます。
「なぜ、みんなをかばった」
ツンとした美少年、菊丸はそっぽを向きながら言うのです。
「痛い目に会うのは一人で充分だろう」
すると銀次は「おれの名を知ってるか」と続けます。
「銀次さんだろう?」といぶかしげに尋ねる菊丸に銀次は驚くべきことを告げます。
「それは本名だ。裏の世界じゃ“黄金小僧”(こがねこぞう)で通ってる」
菊丸は驚きました。“黄金小僧”といえば名の知れた有名な大泥棒だったからです。しかし“黄金小僧”が捕まったなんて話は聞いたことはありません。いぶかしげに尋ねる菊丸に、銀次は盗みで捕まった訳じゃないと続けます。聞けば、半年前にケンカに巻き込まれて一人を殺めてしまった。島送りは免れたが、この分じゃ一生寄せ場送りだろう…と
「まぁさんざん世間を騒がせた身だからそれもやむをえねぇ。ただ一つ心残りがあってな」
「すげえ金もうけの話があるんだ」
金もうけの話と聞いて菊丸はぴくっとします。
これは自分だけの胸に秘めてだまって地獄へ行くつもりだったが…と続けた銀次の話は思いもよらないものでした。
捕まる一月ほど前に忍び込んだ“紀州公”の屋敷で、紀州が幕府を転覆させようとしている証拠をつかんだというのです。それはご禁制の品である鉄砲をひそかに買い集めているという記録を書き記した巻物でした。
紀州は幕府を相手に戦争を始めようとしている、しかしそれにはまだ時期尚早で、この巻物をもとに紀州公を脅せば五万両、いや十万両にはなると言うのです。
しかし、寄せ場送りになっている自分はその仕事をすることが出来ない、かわりに菊丸にそれをやってほしいという銀次。
「なぜあたしに?」と聞く菊丸。
「おめえは見かけによらず、度胸も男気もある。そしておめえなら俺の頼みを聞いてくれると思ってな…」
銀次の頼みとは、金を手に入れたらその金の半分、いや三分の一でいいから生活に困ってる連中に分けて欲しい…というものでした。
菊丸はハッとします。
「あんたは義賊だったけね…」
「金をあるところからないところに運んでいるだけだ。おめえなら信用できると思って話したんだ、どうだやってくれるか」
そう言う銀次に菊丸は「お金をまずしい人にわけてやるという話気に入った…やるよ!」と快諾します。そして菊丸は銀次と、紀州公を脅し金を奪う作戦を練るのでした。
場面は変わり朝方、どこぞの美少年としっぽりと一夜を過ごした寺社奉行の万古蘭のもとへ、波多利郎がばたばたとやってきます。
「たいへんです!菊丸が逃走しました!」
「逃走したといっても…」身づくろいをした万古蘭は忌々し気に波多利郎に問います。
「菊丸はおまえの部下であろう…」
そうなのです。
“人事師波多利郎”とばくち打ち“音根の菊丸”とは世を忍ぶ仮の姿で、本当は公儀お庭番伊賀組小頭“小銭の波多利郎”とその配下“美女隠れ菊丸”だったのです。
ふたりの本当の目的は紀州公の陰謀の証拠の巻物を手に入れることでした。巻物の在りかを知っている“黄金小僧”に信用されるよう、寄せ場にて一芝居うったのです。
なんとまぁ…
ところが肝心の菊丸が情報を持ってトンズラしてしまったのでした。
なぜ、菊丸がトンズラしたのかわからない二人を残し、菊丸は美しい着物を着てひとり空を見あげています。菊丸は銀次の言葉に心を打たれ、銀次のかわりにまずしい人たちのために義賊になることを決意していたのでした。
まずしい人たちのために頑張るぞ〜と明るくこぶしを振り上げる菊丸とは対照的に、この仕事が終わったら菊丸に一晩相手をさせる約束をしていた万古蘭は、抑えきれないイライラを波多利郎にぶつけるのでした。
「手打ちにしてくれる!」「アギャーン」
面白い!
最後のページで菊丸が美しいバラの柄の着物を着ているのですが、これがまた美しい。可愛らしい!
牢屋のシーンから始まったこの作品ですが、ストーリー展開がとても流れるようで素晴らしいですね。いやあ、すごい。やっぱりパタリロ!は面白いなぁとしみじみ思います。
この「人事師波多利郎」もシリーズ化してほしかったな〜。さぞや色々なお話があったのではないでしょうかね、妄想ですけど
ぜひ、みなさんも読んでみてください!この45巻は一冊まるごと傑作ですから!
2018年06月19日
越後屋波多利郎(6)今回は越後屋ではなく「人事師波多利郎」です!
みなさん、こんにちは。ナツノナカノです。
本日のパタリロ!江戸もの紹介は、コミックス45巻から「人事師波多利郎」です!
選集だと28巻に入っております。
パタリロ! (第45巻) (花とゆめCOMICS)
こうやってぱらぱらと読み返してみると、この45巻も傑作揃いなんですよね。好きな話ばっかり入っている…なぜ「パタ話」の時にご紹介していないのか…
パタリロ!を読んでいるとこういう事ってよくあるんですよね。
何せ、今年は100巻まで到達するという大スペクタクル作品ですからね。私なんぞが一朝一夕にご紹介したところで、到底追いつかないのでございます
【人事師波多利郎】
実は今回の波多利郎の役どころは越後屋さんではありません。『人事師(ひとごとし)』です。人事師というのはこの江戸時代において、服役中の罪人を各地の寄せ場(工事現場)に派遣して強制労働を行わせる特殊な人材派遣業のことらしいです。今回はきちんと「お上から」免許をいただいております。
さて、新しく寄せ場送りになった強面の罪人たちの中に、波多利郎は美少年を見つけます。その名も「音根の菊丸」というばくち打ちです。ばくち場でいかさまがバレて袋叩きになったところを、逆にやくざ者を10人も半殺しの目に合わせたという…美しく華奢で細いのに腕っぷしの強い少年でした。実はこの役、マライヒがやってるんですよ。そりゃ、美しくて強いわけですよねぇ。
ちなみにこの最初のシーンにだけ、ヒューイットが出てきます。ロリコンの…
そしてマライヒ演じる菊丸は、先に寄せ場送りになっている「銀次」という男のもとで鳶の仕事を教えてもらうことになりました。この銀次さんですが、見た目は「水戸黄門」に出てくる『風車の弥七』そっくりです。渋くていい男ですよぶっきらぼうな銀次ですが、寄せ場ではあんまりいきがらない方がいいと菊丸に教えたり、親切な一面もあるようでした。
数日がたち、菊丸もすっかり寄せ場に慣れ、また腕もたつことから他の罪人たちにも一目おかれるようになっていきました。
そこで事件が起こるのです。
お奉行様から、寄せ場の監視役の役人たちに日ごろの労いにと、竹筒に入った酒をこっそりと差し入れられているのを、よだれを垂らしながら(笑)こっそりと見ている罪人たち寄せ場は牢屋と同じなので、酒などはもちろん飲めません。仲間の様子を見て、菊丸はそれを奪おうとわざと事故を起こすのです
事故の混乱に乗じてまんまと酒を奪い、仲間たちと酒を分け合う菊丸。銀次は飲みませんでしたが、皆でこっそりと酒を一口ずつ回し飲みします。しかし!そこへ人数改めと称して役人が入ってくるのです。
あっさりと酒を飲んだことがバレてしまいました…
「酒を飲んだのか!」と役人に責め立てられますが、皆がだんまりを決め込む中、菊丸は「あたしがひとりで飲みました」と名乗り出るのでした
菊丸は酒を飲んだ罪で、竹の棒で背中を打たれる罰を受ける事となります。そして、その背中を打つのは寺社奉行の『邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま』バンコランですよ
今回はみんな役が違うんですね。バンコランは寺社奉行という役どころ。
それにしても、マライヒに鞭打つバンコラン…なかなかない絵面ですよ。ふふふ
万古蘭からの百叩きの刑を受けて、菊丸は解放されたときには失神してしまいました。仲間の罪人たちは、俺たちのためにすまなかったな〜と泣きながら手当てをします
そしてその夜、銀次が動くのです。
銀次が菊丸に語ったこととは…
気になるところですが、ちょっと長くなりましたので続きはまた次回にしたいと思います。
いや、気になりますよね次回は早めに更新します!!
あ〜やっぱりパタリロ!は面白い。
続きはまた次回に!
本日のパタリロ!江戸もの紹介は、コミックス45巻から「人事師波多利郎」です!
選集だと28巻に入っております。
パタリロ! (第45巻) (花とゆめCOMICS)
こうやってぱらぱらと読み返してみると、この45巻も傑作揃いなんですよね。好きな話ばっかり入っている…なぜ「パタ話」の時にご紹介していないのか…
パタリロ!を読んでいるとこういう事ってよくあるんですよね。
何せ、今年は100巻まで到達するという大スペクタクル作品ですからね。私なんぞが一朝一夕にご紹介したところで、到底追いつかないのでございます
【人事師波多利郎】
実は今回の波多利郎の役どころは越後屋さんではありません。『人事師(ひとごとし)』です。人事師というのはこの江戸時代において、服役中の罪人を各地の寄せ場(工事現場)に派遣して強制労働を行わせる特殊な人材派遣業のことらしいです。今回はきちんと「お上から」免許をいただいております。
さて、新しく寄せ場送りになった強面の罪人たちの中に、波多利郎は美少年を見つけます。その名も「音根の菊丸」というばくち打ちです。ばくち場でいかさまがバレて袋叩きになったところを、逆にやくざ者を10人も半殺しの目に合わせたという…美しく華奢で細いのに腕っぷしの強い少年でした。実はこの役、マライヒがやってるんですよ。そりゃ、美しくて強いわけですよねぇ。
ちなみにこの最初のシーンにだけ、ヒューイットが出てきます。ロリコンの…
そしてマライヒ演じる菊丸は、先に寄せ場送りになっている「銀次」という男のもとで鳶の仕事を教えてもらうことになりました。この銀次さんですが、見た目は「水戸黄門」に出てくる『風車の弥七』そっくりです。渋くていい男ですよぶっきらぼうな銀次ですが、寄せ場ではあんまりいきがらない方がいいと菊丸に教えたり、親切な一面もあるようでした。
数日がたち、菊丸もすっかり寄せ場に慣れ、また腕もたつことから他の罪人たちにも一目おかれるようになっていきました。
そこで事件が起こるのです。
お奉行様から、寄せ場の監視役の役人たちに日ごろの労いにと、竹筒に入った酒をこっそりと差し入れられているのを、よだれを垂らしながら(笑)こっそりと見ている罪人たち寄せ場は牢屋と同じなので、酒などはもちろん飲めません。仲間の様子を見て、菊丸はそれを奪おうとわざと事故を起こすのです
事故の混乱に乗じてまんまと酒を奪い、仲間たちと酒を分け合う菊丸。銀次は飲みませんでしたが、皆でこっそりと酒を一口ずつ回し飲みします。しかし!そこへ人数改めと称して役人が入ってくるのです。
あっさりと酒を飲んだことがバレてしまいました…
「酒を飲んだのか!」と役人に責め立てられますが、皆がだんまりを決め込む中、菊丸は「あたしがひとりで飲みました」と名乗り出るのでした
菊丸は酒を飲んだ罪で、竹の棒で背中を打たれる罰を受ける事となります。そして、その背中を打つのは寺社奉行の『邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま』バンコランですよ
今回はみんな役が違うんですね。バンコランは寺社奉行という役どころ。
それにしても、マライヒに鞭打つバンコラン…なかなかない絵面ですよ。ふふふ
万古蘭からの百叩きの刑を受けて、菊丸は解放されたときには失神してしまいました。仲間の罪人たちは、俺たちのためにすまなかったな〜と泣きながら手当てをします
そしてその夜、銀次が動くのです。
銀次が菊丸に語ったこととは…
気になるところですが、ちょっと長くなりましたので続きはまた次回にしたいと思います。
いや、気になりますよね次回は早めに更新します!!
あ〜やっぱりパタリロ!は面白い。
続きはまた次回に!
タグ:人事師
2018年05月29日
越後屋波多利郎(5)雨降小僧
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
前回、「妖怪輪入道」のお話をご紹介いたしました。本日は前回のお話からの続編「雨降小僧」です。老中、田沼意次からの密書を届ける役目を仰せつかった万古蘭と荷物持ちの波多利郎が京都での役目を終え、今度は江戸へと帰る途中でのお話となっております。
【雨降小僧】
雨がしとしとと降る中、万古蘭と波多利郎は江戸への帰途についていました
途中、波多利郎はお地蔵様にお供えしてある饅頭を見つけ、万古蘭に隠れてこっそりとお供えに手を出します。ところが一瞬早く饅頭を手にしたものがいました。それは見知らぬ小さな子供でした。お供えものなのに「ぼくのマンジュウを横取りするな〜」と怒る波多利郎でしたが、子供もペロリと饅頭を平らげ「さぁとれるものならとってみろ」と波多利郎を手玉にとります
東へ向かって一人旅をしているという子供。波多利郎は情けをかけ一緒に連れて行ってやることにしたのですが、まだまだ万古蘭のストライクゾーンに入るには小さすぎる子供です。万古蘭はきっといい顔をしないだろうと、こっそりと連れていくことにしました。
万古蘭のストライクゾーンは15、6歳の美少年なのですが、波多利郎によるとその子供は内角低めに外れすぎているのだとか…(笑)
そして雨はしとしとと降り続けているのですが夕方、雨脚が強くなってきたところで万古蘭と波多利郎は早めに宿をとることにしました。宿でも波多利郎は子供を気にかけ、万古蘭から見えない位置で子供にこっそりご飯を与えますところが箸でつまもうとした里芋の煮っころがしがうっかり転がってしまい、それを急いで追いかけた子供の姿を万古蘭にばっちりと見られてしまいます慌てて言い訳をしようとした波多利郎でしたが、その時、宿の者が部屋の外から声をかけてきました。
雨がすごくて川が氾濫しかかっているというのです。江戸への帰途を急いでいる万古蘭は途方にくれます
その様子を見ていた波多利郎と子供ですが、子供が「雨降小僧のしわざだ」と言い出しました。子供によると雨降小僧はもともと雨の神、雨師様の弟子だったのですが、修業をするうちに相当な降雨技術を身につけ、そのうち師匠よりも自分の方が技術が上だと思いこむようになり、遂には雨師様に破門されてしまった…ということらしいのです。
雨師様に破門されたのちはやりたい放題。雨を降らせることで人助けをする雨師様とは違って雨降小僧は大雨を降らし人々を困らせて喜んでいるのです。
雨降小僧のしわざなのに一般ピープルは雨師様のしわざだと勘違いしてるんだ…と顔をくもらせる子供。そして波多利郎はそれなら雨降小僧を退治してやると安請け合いをするのですが…
ここで雨降小僧が出てくるのですが、小僧なんて可愛い感じでもなく「おっちゃん」に近いです(笑)前回もちょっとお話させていただいた鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」にも出てきます。私たちが生活していて困るような大雨は、実はこの妖怪のしわざだったんですねぇ
もちろん雨降小僧は万古蘭と波多利郎によって無事に退治されます。
その後万古蘭と波多利郎は再び江戸への帰途へつくわけですが、波多利郎が途中でひろったあの子供はいつの間にかいなくなっていました
そして、二人はいつぞやの宿場町を通りかかります。そして前回子供を妖怪に殺されてしまった母親と再会するのです。
母親はすっかり元気な様子でした。それには理由がありました。
子供が殺されてから毎日泣き暮らしていたところ、息子が夢枕に立ったというのです。そして息子はこう話したのです。
死んでから閻魔の庁でお裁きを待っているときに、雨の神様に声をかけられ、お前は見どころがあるから二代目雨師として育ててやろうと言われたのだ…と。一生懸命修業して立派な神様になるからおっ母さんも達者で暮らしておくれ…
息子があの世でも元気でいることがわかったと、嬉し涙を流す母親のそばには子供の絵姿がありました。
そしてそれはもちろん、波多利郎とまんじゅうを取り合ったあの、子供だったのです。
子供を失った母親はそりゃもう、後悔しっぱなしでしょうし、子供の成長をそばで見守れないことに悲しみがあるでしょうが、それでもあの世で元気に神様として修業を積んでいると思えば母としては少しは心が軽くなるのかもしれません。魔夜先生らしい、お互いを思いやる親子の物語だと思います。
そろそろ梅雨に入りますね雨の日にはぜひ読んで頂きたいお話です。
ナツノナカノです。
前回、「妖怪輪入道」のお話をご紹介いたしました。本日は前回のお話からの続編「雨降小僧」です。老中、田沼意次からの密書を届ける役目を仰せつかった万古蘭と荷物持ちの波多利郎が京都での役目を終え、今度は江戸へと帰る途中でのお話となっております。
【雨降小僧】
雨がしとしとと降る中、万古蘭と波多利郎は江戸への帰途についていました
途中、波多利郎はお地蔵様にお供えしてある饅頭を見つけ、万古蘭に隠れてこっそりとお供えに手を出します。ところが一瞬早く饅頭を手にしたものがいました。それは見知らぬ小さな子供でした。お供えものなのに「ぼくのマンジュウを横取りするな〜」と怒る波多利郎でしたが、子供もペロリと饅頭を平らげ「さぁとれるものならとってみろ」と波多利郎を手玉にとります
東へ向かって一人旅をしているという子供。波多利郎は情けをかけ一緒に連れて行ってやることにしたのですが、まだまだ万古蘭のストライクゾーンに入るには小さすぎる子供です。万古蘭はきっといい顔をしないだろうと、こっそりと連れていくことにしました。
万古蘭のストライクゾーンは15、6歳の美少年なのですが、波多利郎によるとその子供は内角低めに外れすぎているのだとか…(笑)
そして雨はしとしとと降り続けているのですが夕方、雨脚が強くなってきたところで万古蘭と波多利郎は早めに宿をとることにしました。宿でも波多利郎は子供を気にかけ、万古蘭から見えない位置で子供にこっそりご飯を与えますところが箸でつまもうとした里芋の煮っころがしがうっかり転がってしまい、それを急いで追いかけた子供の姿を万古蘭にばっちりと見られてしまいます慌てて言い訳をしようとした波多利郎でしたが、その時、宿の者が部屋の外から声をかけてきました。
雨がすごくて川が氾濫しかかっているというのです。江戸への帰途を急いでいる万古蘭は途方にくれます
その様子を見ていた波多利郎と子供ですが、子供が「雨降小僧のしわざだ」と言い出しました。子供によると雨降小僧はもともと雨の神、雨師様の弟子だったのですが、修業をするうちに相当な降雨技術を身につけ、そのうち師匠よりも自分の方が技術が上だと思いこむようになり、遂には雨師様に破門されてしまった…ということらしいのです。
雨師様に破門されたのちはやりたい放題。雨を降らせることで人助けをする雨師様とは違って雨降小僧は大雨を降らし人々を困らせて喜んでいるのです。
雨降小僧のしわざなのに一般ピープルは雨師様のしわざだと勘違いしてるんだ…と顔をくもらせる子供。そして波多利郎はそれなら雨降小僧を退治してやると安請け合いをするのですが…
ここで雨降小僧が出てくるのですが、小僧なんて可愛い感じでもなく「おっちゃん」に近いです(笑)前回もちょっとお話させていただいた鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」にも出てきます。私たちが生活していて困るような大雨は、実はこの妖怪のしわざだったんですねぇ
もちろん雨降小僧は万古蘭と波多利郎によって無事に退治されます。
その後万古蘭と波多利郎は再び江戸への帰途へつくわけですが、波多利郎が途中でひろったあの子供はいつの間にかいなくなっていました
そして、二人はいつぞやの宿場町を通りかかります。そして前回子供を妖怪に殺されてしまった母親と再会するのです。
母親はすっかり元気な様子でした。それには理由がありました。
子供が殺されてから毎日泣き暮らしていたところ、息子が夢枕に立ったというのです。そして息子はこう話したのです。
死んでから閻魔の庁でお裁きを待っているときに、雨の神様に声をかけられ、お前は見どころがあるから二代目雨師として育ててやろうと言われたのだ…と。一生懸命修業して立派な神様になるからおっ母さんも達者で暮らしておくれ…
息子があの世でも元気でいることがわかったと、嬉し涙を流す母親のそばには子供の絵姿がありました。
そしてそれはもちろん、波多利郎とまんじゅうを取り合ったあの、子供だったのです。
子供を失った母親はそりゃもう、後悔しっぱなしでしょうし、子供の成長をそばで見守れないことに悲しみがあるでしょうが、それでもあの世で元気に神様として修業を積んでいると思えば母としては少しは心が軽くなるのかもしれません。魔夜先生らしい、お互いを思いやる親子の物語だと思います。
そろそろ梅雨に入りますね雨の日にはぜひ読んで頂きたいお話です。
タグ:雨降小僧
2018年05月17日
越後屋波多利郎(4)妖怪輪入道
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
暑くなってきましたね〜。5月も半ばでございます。
先日は母の日でしたしね。母心の江戸ものというところで今日は72巻の「妖怪輪入道」をご紹介いたします。
パタリロ! (第72巻) (花とゆめCOMICS (2242))
「妖怪輪入道」
江戸南町奉行の邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)と呉服問屋越後屋の主人である波多利郎が京都に向かって旅をしているところから始まります。
老中、田沼意次からの密書を届けるという役目を仰せつかった万古蘭が、波多利郎に荷物持ちの役目を言いつけたのです。しかし二人で旅に出るなんてなかなかないシチュエーションですね。
そして二人は途中で道に迷ってしまうのですが、林の中で今から首をつろうとしている女性と出くわします。もちろん二人で自殺を止めるのですが、その女性は泣きながら「わたくしのせいでぼうやが殺されてしまったのです…」と泣き崩れるのでした
その女性の家はすぐ近くの宿場町のはずれにありました。
身分を明かした万古蘭と波多利郎に女性はぽつりぽつりと理由を語るのでした。
女性が住む小さな宿場町は近年、どんどんさびれていったそうです。それは妖怪が出没するようになったからだというのです。
その妖怪は夜になると荷車のような大きな音をさせて路上に現れ、外出したものや、夜にたどりついた旅人などを怪音とともに食い殺しているのでした
ある日の夜、子供を寝かしつけた女性の耳に怪音が聞こえてきたのです。女性は怖いと思いながらも好奇心に負け、戸を少しだけ開けて妖怪の姿を見ようと覗いてしまったのでした。
すると、燃えている大きな車輪に顔がついた恐ろしい妖怪が目の前に!しかも口には血のしたたる足を咥えていました。そして妖怪はこう言ったのです。
「おまえが覗いたから大切な人間が死んだのだ」と
驚いた女性が慌てて子供の様子を見に行くと、子供は妖怪に足を食いちぎられ亡くなっていたのです…。
「わたくしのせいで…わたくしが覗いたばっかりに…」と泣き叫ぶ半狂乱の女性。女性だってこうなる事がわかっていたら絶対に覗いたりしなかったでしょうに…本当にお気の毒です
しかし万古蘭は矛盾に気づきます。覗いた時にすでに足を咥えていたというのは理屈に合わないのです。女性が覗くことを前もって知ることは不可能…だからこれは不可能犯罪だというのですよ。
波多利郎は知恵をしぼって意見を言います。その妖怪はテレパシーを使って、覗こうとした精神波をキャッチして先回りして殺したのでは…とか
しかし万古蘭に、もしどたんばでやめたらどうする?最後の瞬間まで本当に覗くかどうかは誰にもわからんのだ、いかに妖怪といえども「多分のぞくだろう」で人殺しはすまい…と言われてしまいます。万古蘭は結局、妖怪の持つ超自然的能力としか思えんな…と結論づけるのですが…。
この話の面白いところは、万古蘭ことバンコランが超自然的なものをあっさりと受け入れてしまっているところですね。通常のバンコランだとありえないことなんですよ。「パタリロ!」にも妖怪やら幽霊やら、悪魔から天使まで出てきますけど、バンコランがガチガチの現実主義者なので一切不可思議なものは信じないんです。昔可愛がった後輩が悪魔の姿で出てきたり、パタリロの首がちょん切れてまたズルズルとつながって再生したのを見ても!です。催眠術ですませちゃう。江戸が舞台だと万古蘭も妖怪に相対することが、ままあるんですが、普通に受け入れて退治しております。
さて、このあとは波多利郎が囮になり、妖怪のトリックを見破り事件は解決となるのですが、妖怪は退治されても、殺されてしまったぼうやは帰ってこないのです。
「とりあえず子供の仇をうつことは出来たな…」と旅路を急ぐ二人の背中がなんとも寂しい終わり方になっております。
「妖怪輪入道」は江戸時代の絵師“鳥山石燕”が『今昔画図続百鬼』で描いているくらいに昔からおなじみの妖怪らしいのですが、覗いた時点で足を咥えているというのはおかしいじゃないか!とそのトリックを見破り妖怪を退治して終わるというのはやはり魔夜先生ならではの、親心の解釈ではないかと思います
さて、このお話には続編があります。それはまた次回に!
ナツノナカノです。
暑くなってきましたね〜。5月も半ばでございます。
先日は母の日でしたしね。母心の江戸ものというところで今日は72巻の「妖怪輪入道」をご紹介いたします。
パタリロ! (第72巻) (花とゆめCOMICS (2242))
「妖怪輪入道」
江戸南町奉行の邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)と呉服問屋越後屋の主人である波多利郎が京都に向かって旅をしているところから始まります。
老中、田沼意次からの密書を届けるという役目を仰せつかった万古蘭が、波多利郎に荷物持ちの役目を言いつけたのです。しかし二人で旅に出るなんてなかなかないシチュエーションですね。
そして二人は途中で道に迷ってしまうのですが、林の中で今から首をつろうとしている女性と出くわします。もちろん二人で自殺を止めるのですが、その女性は泣きながら「わたくしのせいでぼうやが殺されてしまったのです…」と泣き崩れるのでした
その女性の家はすぐ近くの宿場町のはずれにありました。
身分を明かした万古蘭と波多利郎に女性はぽつりぽつりと理由を語るのでした。
女性が住む小さな宿場町は近年、どんどんさびれていったそうです。それは妖怪が出没するようになったからだというのです。
その妖怪は夜になると荷車のような大きな音をさせて路上に現れ、外出したものや、夜にたどりついた旅人などを怪音とともに食い殺しているのでした
ある日の夜、子供を寝かしつけた女性の耳に怪音が聞こえてきたのです。女性は怖いと思いながらも好奇心に負け、戸を少しだけ開けて妖怪の姿を見ようと覗いてしまったのでした。
すると、燃えている大きな車輪に顔がついた恐ろしい妖怪が目の前に!しかも口には血のしたたる足を咥えていました。そして妖怪はこう言ったのです。
「おまえが覗いたから大切な人間が死んだのだ」と
驚いた女性が慌てて子供の様子を見に行くと、子供は妖怪に足を食いちぎられ亡くなっていたのです…。
「わたくしのせいで…わたくしが覗いたばっかりに…」と泣き叫ぶ半狂乱の女性。女性だってこうなる事がわかっていたら絶対に覗いたりしなかったでしょうに…本当にお気の毒です
しかし万古蘭は矛盾に気づきます。覗いた時にすでに足を咥えていたというのは理屈に合わないのです。女性が覗くことを前もって知ることは不可能…だからこれは不可能犯罪だというのですよ。
波多利郎は知恵をしぼって意見を言います。その妖怪はテレパシーを使って、覗こうとした精神波をキャッチして先回りして殺したのでは…とか
しかし万古蘭に、もしどたんばでやめたらどうする?最後の瞬間まで本当に覗くかどうかは誰にもわからんのだ、いかに妖怪といえども「多分のぞくだろう」で人殺しはすまい…と言われてしまいます。万古蘭は結局、妖怪の持つ超自然的能力としか思えんな…と結論づけるのですが…。
この話の面白いところは、万古蘭ことバンコランが超自然的なものをあっさりと受け入れてしまっているところですね。通常のバンコランだとありえないことなんですよ。「パタリロ!」にも妖怪やら幽霊やら、悪魔から天使まで出てきますけど、バンコランがガチガチの現実主義者なので一切不可思議なものは信じないんです。昔可愛がった後輩が悪魔の姿で出てきたり、パタリロの首がちょん切れてまたズルズルとつながって再生したのを見ても!です。催眠術ですませちゃう。江戸が舞台だと万古蘭も妖怪に相対することが、ままあるんですが、普通に受け入れて退治しております。
さて、このあとは波多利郎が囮になり、妖怪のトリックを見破り事件は解決となるのですが、妖怪は退治されても、殺されてしまったぼうやは帰ってこないのです。
「とりあえず子供の仇をうつことは出来たな…」と旅路を急ぐ二人の背中がなんとも寂しい終わり方になっております。
「妖怪輪入道」は江戸時代の絵師“鳥山石燕”が『今昔画図続百鬼』で描いているくらいに昔からおなじみの妖怪らしいのですが、覗いた時点で足を咥えているというのはおかしいじゃないか!とそのトリックを見破り妖怪を退治して終わるというのはやはり魔夜先生ならではの、親心の解釈ではないかと思います
さて、このお話には続編があります。それはまた次回に!
2018年04月09日
越後屋波多利郎(3)闇の料理人
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
さて、舞台パタリロ!をまだまだ引きずっていながらも、今回から江戸ものパタリロのご紹介に戻ります
しかし迷いますね。江戸ものパタリロは義理人情に厚い話が多いので名作揃いなんです。で、その話を読み返しているとその巻の他の話も読み返し…一冊まるまる名作じゃん!!ってなる訳ですよ。そしてパタリロコミックスをめくる手がとまらなくなるという…
パタリロ! (78) (花とゆめCOMICS)
というわけで今回はコミックス78巻をご紹介いたします。78巻は以前にもちらりと書きましたが、名作揃いの巻ですね。
78巻には江戸ものとして、「八百比丘尼」「おいてけ掘り」「新選組異聞」「商いの天才」「闇の料理人」が掲載されています。その中から今日は「闇の料理人」を…選集だと46巻に掲載されています。
【闇の料理人】
越後屋波多利郎はお金儲けのために、本業である呉服問屋の他にもいろいろと副業をやっているんです。その中のひとつが“口入れ業”。
仕事を探している人に奉公先を紹介して、両方からあっせん料をもらうという商売です。ところが波多利郎は身元の確認もせず、それどころか身元を捏造して奉公先に送りこむといういい加減な商売をしているので、数ある副業の中でも一番儲けているのでした
そんなある日、波多利郎のもとにバンコランがやってきます。この時、タマネギ扮する番頭が波多利郎に「美少年の敵が来ました」と取りつぐんですよ。そして波多利郎は「おお、変態色魔下半身無節操男が」…と。パタリロではおなじみのバンコランに対する陰口なんですが、こういうちょっとした毒舌がいい。こういうのがすごくいいですww
バンコランの役どころは江戸ものでは大抵、南町奉行のお奉行様です。ちなみに邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)といいます(笑)
万古蘭が今回波多利郎のもとを訪れたのは、関西で一家皆殺しの極悪事件を6回も起こした凶悪犯を捕らえるためでした。料理人として大きな料理屋に住み込み、家族奉公人を殺害し金を奪う手口です。そしてその凶悪犯が関西から逃れ現在は江戸に潜伏しているらしいという事でした
その凶悪犯を捕らえようと奉行所でも内偵をすすめると、どうやらその凶悪犯はすでにもぐりの周旋屋を通して目当ての料理屋へ潜んでいるらしい…という事が判明したというのです。そしてそのもぐりの周旋屋とは、波多利郎が副業で営んでいる口入れ屋だったのです…
身元の確認なんてろくにしてないですからね…
「もしも犯行が起きて一人でも被害者が出たら、おまえも同罪とみなして打ち首獄門だからそう思え!」と、万古蘭にこっぴどく怒られる波多利郎。ま、仕方ないですねぇ。
そして波多利郎と万古蘭は波多利郎の帳簿から、怪しげな男三人をピックアップして越後屋に呼び出しました。
凶悪な人相の男、長吉。凡庸な風体の男、与作。男前の優男、淀五郎。
長吉は農業を営んでいたと言っていましたが、南町奉行邪鬼遊稚児之丞万古蘭の目はきらりと光ります。長吉の手には農業とは無縁の、サイコロダコがあったのです。万古蘭にそれを指摘されると長吉は元はバクチ打ちであったこと、そのいざこざで一人を殺め、寄せ場送りになっていたこと。しかし寄せ場で料理を習い、心を入れ替えて料理で身を立てようと思った事などを告白します。
3人とも身元に嘘をつかなくてはいけない境遇にありました。
犯人を絞り込むために、波多利郎は男たちに料理をさせてみることにします。
長吉が作ったのは「さわらの蒸し煮」与作は「ふろふき大根」淀五郎は「八寸とワカメとミョウガの酢の物にきゅうりの小口切りを散らしたもの」
そうして、犯人が判明したのです。さて、誰でしょうか。
淀五郎ですね。
江戸の料理人はキュウリを小口切りにしないのが常識なのです。なぜなら切り口が徳川家の葵のご紋に似ているからです。関西で凶悪事件を起こし、江戸に出てきた淀五郎はその料理人としてあまりに当たり前のことを知らなかったのです…
とっさに刀に手をかけた万古蘭の目に淀五郎は毒を投げつけ逃げようとしますしかし、凶悪な人相の男、長吉が淀五郎にタックルしてくらいつきます。「てめえ、毒で何十人も殺ったって!とんでもねぇ野郎め!」そう叫びながら腰のあたりを抑え込んだ長吉に、淀五郎は小刀で背中をざっくりと刺しますがそれでも長吉は「離すもんか〜〜」としがみつくのです
そうして無事、淀五郎は万古蘭にお縄になり、長吉の見事な働きに万古蘭は「この先、身元引受人は私が引き受けよう。安心して料理修行に励むがよい」と情け深い言葉をかけるのです。
はぁ〜見事な一件落着
このお話はページ数でいうと10ページです。たった10ページで波多利郎の口入れ業のあらましから、事件の説明、犯人あぶり出し、事件解決までを追っているんですよ。すごい!すごいスピード感。そして一件落着した時の大団円の安堵感!ほんとに魔夜先生は稀代のストーリーテラーだなぁと思う回ですね
この78巻は以前にも書きましたが、ギャグあり、ミステリーあり、怪奇あり、アスタロト様あり、源氏物語ありの色とりどりの宝石箱のような構成になっています。
ぜひぜひみな様も読んでみてください!
次回も江戸ものです!
ナツノナカノです。
さて、舞台パタリロ!をまだまだ引きずっていながらも、今回から江戸ものパタリロのご紹介に戻ります
しかし迷いますね。江戸ものパタリロは義理人情に厚い話が多いので名作揃いなんです。で、その話を読み返しているとその巻の他の話も読み返し…一冊まるまる名作じゃん!!ってなる訳ですよ。そしてパタリロコミックスをめくる手がとまらなくなるという…
パタリロ! (78) (花とゆめCOMICS)
というわけで今回はコミックス78巻をご紹介いたします。78巻は以前にもちらりと書きましたが、名作揃いの巻ですね。
78巻には江戸ものとして、「八百比丘尼」「おいてけ掘り」「新選組異聞」「商いの天才」「闇の料理人」が掲載されています。その中から今日は「闇の料理人」を…選集だと46巻に掲載されています。
【闇の料理人】
越後屋波多利郎はお金儲けのために、本業である呉服問屋の他にもいろいろと副業をやっているんです。その中のひとつが“口入れ業”。
仕事を探している人に奉公先を紹介して、両方からあっせん料をもらうという商売です。ところが波多利郎は身元の確認もせず、それどころか身元を捏造して奉公先に送りこむといういい加減な商売をしているので、数ある副業の中でも一番儲けているのでした
そんなある日、波多利郎のもとにバンコランがやってきます。この時、タマネギ扮する番頭が波多利郎に「美少年の敵が来ました」と取りつぐんですよ。そして波多利郎は「おお、変態色魔下半身無節操男が」…と。パタリロではおなじみのバンコランに対する陰口なんですが、こういうちょっとした毒舌がいい。こういうのがすごくいいですww
バンコランの役どころは江戸ものでは大抵、南町奉行のお奉行様です。ちなみに邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)といいます(笑)
万古蘭が今回波多利郎のもとを訪れたのは、関西で一家皆殺しの極悪事件を6回も起こした凶悪犯を捕らえるためでした。料理人として大きな料理屋に住み込み、家族奉公人を殺害し金を奪う手口です。そしてその凶悪犯が関西から逃れ現在は江戸に潜伏しているらしいという事でした
その凶悪犯を捕らえようと奉行所でも内偵をすすめると、どうやらその凶悪犯はすでにもぐりの周旋屋を通して目当ての料理屋へ潜んでいるらしい…という事が判明したというのです。そしてそのもぐりの周旋屋とは、波多利郎が副業で営んでいる口入れ屋だったのです…
身元の確認なんてろくにしてないですからね…
「もしも犯行が起きて一人でも被害者が出たら、おまえも同罪とみなして打ち首獄門だからそう思え!」と、万古蘭にこっぴどく怒られる波多利郎。ま、仕方ないですねぇ。
そして波多利郎と万古蘭は波多利郎の帳簿から、怪しげな男三人をピックアップして越後屋に呼び出しました。
凶悪な人相の男、長吉。凡庸な風体の男、与作。男前の優男、淀五郎。
長吉は農業を営んでいたと言っていましたが、南町奉行邪鬼遊稚児之丞万古蘭の目はきらりと光ります。長吉の手には農業とは無縁の、サイコロダコがあったのです。万古蘭にそれを指摘されると長吉は元はバクチ打ちであったこと、そのいざこざで一人を殺め、寄せ場送りになっていたこと。しかし寄せ場で料理を習い、心を入れ替えて料理で身を立てようと思った事などを告白します。
3人とも身元に嘘をつかなくてはいけない境遇にありました。
犯人を絞り込むために、波多利郎は男たちに料理をさせてみることにします。
長吉が作ったのは「さわらの蒸し煮」与作は「ふろふき大根」淀五郎は「八寸とワカメとミョウガの酢の物にきゅうりの小口切りを散らしたもの」
そうして、犯人が判明したのです。さて、誰でしょうか。
淀五郎ですね。
江戸の料理人はキュウリを小口切りにしないのが常識なのです。なぜなら切り口が徳川家の葵のご紋に似ているからです。関西で凶悪事件を起こし、江戸に出てきた淀五郎はその料理人としてあまりに当たり前のことを知らなかったのです…
とっさに刀に手をかけた万古蘭の目に淀五郎は毒を投げつけ逃げようとしますしかし、凶悪な人相の男、長吉が淀五郎にタックルしてくらいつきます。「てめえ、毒で何十人も殺ったって!とんでもねぇ野郎め!」そう叫びながら腰のあたりを抑え込んだ長吉に、淀五郎は小刀で背中をざっくりと刺しますがそれでも長吉は「離すもんか〜〜」としがみつくのです
そうして無事、淀五郎は万古蘭にお縄になり、長吉の見事な働きに万古蘭は「この先、身元引受人は私が引き受けよう。安心して料理修行に励むがよい」と情け深い言葉をかけるのです。
はぁ〜見事な一件落着
このお話はページ数でいうと10ページです。たった10ページで波多利郎の口入れ業のあらましから、事件の説明、犯人あぶり出し、事件解決までを追っているんですよ。すごい!すごいスピード感。そして一件落着した時の大団円の安堵感!ほんとに魔夜先生は稀代のストーリーテラーだなぁと思う回ですね
この78巻は以前にも書きましたが、ギャグあり、ミステリーあり、怪奇あり、アスタロト様あり、源氏物語ありの色とりどりの宝石箱のような構成になっています。
ぜひぜひみな様も読んでみてください!
次回も江戸ものです!
2018年03月05日
越後屋波多利郎(2)怪盗からす小僧
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
昨日から始まっている「パタリロ!」の中の江戸もの紹介です
本日はコミックス53巻掲載の「怪盗からす小僧」です。文庫版だと選集28巻に掲載してますね。
この「怪盗からす小僧」が私は江戸ものの中では一番好きなエピソードです。ギャグもあり、テンポよくてほろりとします。これぞパタリロ!という感がいたします
パタリロ! (第53巻) (花とゆめCOMICS (1284))
町に最近出没する盗賊からす小僧。
大名や大店の商人の家から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与える、江戸で大評判の義賊です。うわさ好きの町人たちもからす小僧の話で持ち切りです。最近の話題はもっぱらからす小僧が二人いるのではないか…という事でした。
そんなある日、越後屋の番頭と手代が仕事をさぼって蕎麦屋にいました。
外では瓦版売りが昨夜もからす小僧が出たと声高に叫んでいます。
番頭は手代に気になることを話します。
最近、主の波多利郎が夜に外出をすると、決まってからす小僧が出没するというのです。
「まさか…?」
しかしからす小僧の目撃談では怪盗はスラっと長身だそうで、波多利郎はスラっとチビデブだからそんな事はあるわけないよ〜と失礼な事を言って二人は笑っています
そんな二人の話をこっそり聞いている美青年がいました。
彼は店員を呼び止め気をそらした隙に、番頭と手代が注文したかけそばにそっと薬を混ぜ込みます。
その蕎麦を食べて急に苦しみだす番頭。
「どうしました?」
青年はすぐに駆け寄り、番頭を介抱しながら越後屋までやってきました。
そして番頭が倒れ人手が足りないのなら、自分を雇ってくれないか…と切り出します。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいない、越後屋。助かります!とすぐにその青年、「梅吉」を雇う事になりました。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいないんですが、実は越後屋には紅毛人が置いて行った南蛮渡来の電卓があるんです(笑)ちなみにラジオもあるようです
場所は変わり、江戸の町の平和を守る奉行所では、やはりからす小僧は二人いる!という判断を下していました。片方を1番、もう片方を2番とするならその盗みの手口が明らかに違うからです。1番の怪盗は盗みのプロフェッショナルで、錠前をきれいに開けて盗みだしそして鍵を閉めて帰っていく。2番は錠前もかんぬきも力任せに引きちぎり、捕り物に追われても当たるをさいわいと投げ飛ばして逃げていく。
奉行所ではさっそく2番専門の捕り物班を組織することになりました。
さらに数日後、越後屋にて。
皆が寝静まった夜中に、こっそりと母屋を出る波多利郎の後ろを梅吉がそっとついていきます。
波多利郎が土蔵を開けるとそこにはヒト型のからくり人形がありました。驚く梅吉
そのからくり人形は黒装束で、からす小僧にそっくりのいでたちだったのです。
波多利郎はそのからくり人形に乗り込むとすぐにどこかへ出かけていきました。もちろん、梅吉も敏捷な身のこなしで波多利郎の後を追います。
2番のからす小僧はやはり波多利郎だったのです
波多利郎のからす小僧は目当ての屋敷に到着すると土蔵の鍵を引きちぎります。
しかしそこには奉行所の捕り物班が待ち構えていました。
鎖であっという間にぐるぐる巻きにされる波多利郎。しかしその鎖も引きちぎり、捕り物班と死守攻防の戦いが繰り広げられます。しかしその最中、捕り物班の灯りの火が屋敷に燃え移ってしまいます。
江戸の火事は一大事です。捕り物班は賊はさておき、消火にとりかかります。
その混乱に乗じて梅吉は波多利郎を手助け、逃げ道を確保。ふたりは離れた場所へと避難しました。
なぜからす小僧のマネを?と問う梅吉に波多利郎は事情を話しました。
いつもの紅毛人がからくり人形を置いて行ったときに、このからくり人形に黒装束を着せ盗みを働けば、からす小僧のせいにしてこずかい稼ぎが出来ると思いついた事。
しかし盗んだ金をすべて自分のものにするには気が引けて、少しは貧しい人に分けてやろうと貧乏長屋をのぞいてみたら
「本当に貧しいひとが多いのに気がついたんだ…」
病気になっても医者にもかかれない、それどころか今日の食事にもことかく人たちのなんと多いことか…そこで本物のからす小僧を見ならって義賊に徹しようとしたが、今夜火事を出してしまいかえって迷惑をかけることになった…と波多利郎にしてはめずらしく肩を落とします。
そんな波多利郎に梅吉は、人ごとではない…とつぶやきます。
義賊だなんだと正義の味方を気取ってみても盗みを続けていけば、いつかは罪のない人に大変な迷惑をかけるかもしれない…そろそろ年貢の納め時か…。
梅吉は、色々とお世話になりました…と波多利郎に深々と頭を下げ風と共に去っていきました
翌朝、奉行所から出てきたお奉行様の前に梅吉はいました。
「人呼んでからす小僧梅吉、お縄をちょうだいにあがりました」
もう一人はどうした?と問うお奉行様に
「後にも先にもからす小僧は私ひとりでございます」そう告げるのです
このお話では波多利郎がめずらしく(笑)貧しい人にお金を分け与える義賊になるんですよ。普段は「りんしょくの悪魔」とか呼ばれていますからケチでせこくてつぶれ肉まん、そんな波多利郎がこっそり人のために動く、そして梅吉の潔さが胸に染み入る珠玉のお話になっております
このお話はコミックス53巻に載っているのですが、この巻には以前このブログでも取り上げた、名作「果てなき旅路」も掲載されています。素晴らしい巻ですね。ぜひみなさんも読んでみてください!
パタリロ!傑作選?など決められない話(4)果てなき旅路
あぁやっぱりパタリロ!は面白い!
次回も越後屋波多利郎です
ナツノナカノです。
昨日から始まっている「パタリロ!」の中の江戸もの紹介です
本日はコミックス53巻掲載の「怪盗からす小僧」です。文庫版だと選集28巻に掲載してますね。
この「怪盗からす小僧」が私は江戸ものの中では一番好きなエピソードです。ギャグもあり、テンポよくてほろりとします。これぞパタリロ!という感がいたします
パタリロ! (第53巻) (花とゆめCOMICS (1284))
怪盗からす小僧
町に最近出没する盗賊からす小僧。
大名や大店の商人の家から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与える、江戸で大評判の義賊です。うわさ好きの町人たちもからす小僧の話で持ち切りです。最近の話題はもっぱらからす小僧が二人いるのではないか…という事でした。
そんなある日、越後屋の番頭と手代が仕事をさぼって蕎麦屋にいました。
外では瓦版売りが昨夜もからす小僧が出たと声高に叫んでいます。
番頭は手代に気になることを話します。
最近、主の波多利郎が夜に外出をすると、決まってからす小僧が出没するというのです。
「まさか…?」
しかしからす小僧の目撃談では怪盗はスラっと長身だそうで、波多利郎はスラっとチビデブだからそんな事はあるわけないよ〜と失礼な事を言って二人は笑っています
そんな二人の話をこっそり聞いている美青年がいました。
彼は店員を呼び止め気をそらした隙に、番頭と手代が注文したかけそばにそっと薬を混ぜ込みます。
その蕎麦を食べて急に苦しみだす番頭。
「どうしました?」
青年はすぐに駆け寄り、番頭を介抱しながら越後屋までやってきました。
そして番頭が倒れ人手が足りないのなら、自分を雇ってくれないか…と切り出します。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいない、越後屋。助かります!とすぐにその青年、「梅吉」を雇う事になりました。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいないんですが、実は越後屋には紅毛人が置いて行った南蛮渡来の電卓があるんです(笑)ちなみにラジオもあるようです
場所は変わり、江戸の町の平和を守る奉行所では、やはりからす小僧は二人いる!という判断を下していました。片方を1番、もう片方を2番とするならその盗みの手口が明らかに違うからです。1番の怪盗は盗みのプロフェッショナルで、錠前をきれいに開けて盗みだしそして鍵を閉めて帰っていく。2番は錠前もかんぬきも力任せに引きちぎり、捕り物に追われても当たるをさいわいと投げ飛ばして逃げていく。
奉行所ではさっそく2番専門の捕り物班を組織することになりました。
さらに数日後、越後屋にて。
皆が寝静まった夜中に、こっそりと母屋を出る波多利郎の後ろを梅吉がそっとついていきます。
波多利郎が土蔵を開けるとそこにはヒト型のからくり人形がありました。驚く梅吉
そのからくり人形は黒装束で、からす小僧にそっくりのいでたちだったのです。
波多利郎はそのからくり人形に乗り込むとすぐにどこかへ出かけていきました。もちろん、梅吉も敏捷な身のこなしで波多利郎の後を追います。
2番のからす小僧はやはり波多利郎だったのです
波多利郎のからす小僧は目当ての屋敷に到着すると土蔵の鍵を引きちぎります。
しかしそこには奉行所の捕り物班が待ち構えていました。
鎖であっという間にぐるぐる巻きにされる波多利郎。しかしその鎖も引きちぎり、捕り物班と死守攻防の戦いが繰り広げられます。しかしその最中、捕り物班の灯りの火が屋敷に燃え移ってしまいます。
江戸の火事は一大事です。捕り物班は賊はさておき、消火にとりかかります。
その混乱に乗じて梅吉は波多利郎を手助け、逃げ道を確保。ふたりは離れた場所へと避難しました。
なぜからす小僧のマネを?と問う梅吉に波多利郎は事情を話しました。
いつもの紅毛人がからくり人形を置いて行ったときに、このからくり人形に黒装束を着せ盗みを働けば、からす小僧のせいにしてこずかい稼ぎが出来ると思いついた事。
しかし盗んだ金をすべて自分のものにするには気が引けて、少しは貧しい人に分けてやろうと貧乏長屋をのぞいてみたら
「本当に貧しいひとが多いのに気がついたんだ…」
病気になっても医者にもかかれない、それどころか今日の食事にもことかく人たちのなんと多いことか…そこで本物のからす小僧を見ならって義賊に徹しようとしたが、今夜火事を出してしまいかえって迷惑をかけることになった…と波多利郎にしてはめずらしく肩を落とします。
そんな波多利郎に梅吉は、人ごとではない…とつぶやきます。
義賊だなんだと正義の味方を気取ってみても盗みを続けていけば、いつかは罪のない人に大変な迷惑をかけるかもしれない…そろそろ年貢の納め時か…。
梅吉は、色々とお世話になりました…と波多利郎に深々と頭を下げ風と共に去っていきました
翌朝、奉行所から出てきたお奉行様の前に梅吉はいました。
「人呼んでからす小僧梅吉、お縄をちょうだいにあがりました」
もう一人はどうした?と問うお奉行様に
「後にも先にもからす小僧は私ひとりでございます」そう告げるのです
このお話では波多利郎がめずらしく(笑)貧しい人にお金を分け与える義賊になるんですよ。普段は「りんしょくの悪魔」とか呼ばれていますからケチでせこくてつぶれ肉まん、そんな波多利郎がこっそり人のために動く、そして梅吉の潔さが胸に染み入る珠玉のお話になっております
このお話はコミックス53巻に載っているのですが、この巻には以前このブログでも取り上げた、名作「果てなき旅路」も掲載されています。素晴らしい巻ですね。ぜひみなさんも読んでみてください!
パタリロ!傑作選?など決められない話(4)果てなき旅路
あぁやっぱりパタリロ!は面白い!
次回も越後屋波多利郎です
2018年03月04日
今日から越後屋波多利郎シリーズ始めました!@「玉鱗(ぎょくりん)」
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
さて、今日からしばらく「パタリロ!」の江戸もの紹介を始めていきたいと思います
とりあえずざっくりと江戸ものが載っている巻に付箋を貼ってみました。
けっこうありますね〜。この中から私が好きな回をちらちら一日1話ずつご紹介していきたいと思っております。しばしお付き合いくださいませ。
パタリロ!の中の江戸ものは1巻のパタリロ!番外編に「猫間天狗」から始まっております。これは越後屋波多利郎ではなく、京都所司代の息子「波多利郎」として出てきます。池田屋襲撃に関するお話で、バンコランは新選組局長「近藤勇」役ですね。間者猫もここから出てくるんですね。番外編なのでちょっとしたスピンオフ作品という感じです
そして今日は49巻に載っている「波多利郎怪異談 玉鱗」のお話をしたいと思います。
「波多利郎怪異談 玉鱗」
江戸、波多利郎が主の呉服問屋「越後屋」に新しい奉公人がやってきます。
新吉という少年は実家が鎌倉で1番の絹問屋であったのにも関わらず、三か月前の大火事で店は全焼、両親も亡くした悲しい身の上でした
新吉はいつかお店を再興する日を夢見て一生懸命に働きます。
そんな折、番頭のタマネギが波多利郎に不思議な話をします。
庭の一部分だけいつも湿っているというのです。
ひょっとしたら地下水がわき出ているのかもしれないと、番頭にそこを掘らせてみると大きな石が出てきました。どうやら石から水がにじみ出ているのです。割ってみようと、波多利郎が大槌を振り上げたその時、新吉が止めに入ります。
もしかしたらその石は「水鱗石すいりんせき」かもしれないと言うのです
「水鱗石」とは自ら命の水を吐き出しながら何千年も生き続ける霊魚が閉じ込められている不思議な石の事でした。「水鱗石」を少しずつ削っていって中の霊魚が透けて見えるくらい薄く磨き上げたものを「玉鱗ぎょくりん」と呼び、その石をそばに置いて眺めるだけで不老長寿が得られ、外国の王侯貴族がこぞって欲しがるという大変貴重な宝玉だというのです。
金に目がくらんだ波多利郎はすぐに磨いてみろ!と叫びます
新吉はすかさず、自分に磨かせて欲しい、そしてそれを売ったお金を半分欲しいと言いだします。
その金で店を再興するつもりなんですね。新吉の必死な様子を見て、波多利郎は新吉にその役をやらせることにしました。
新吉は店をやり直したい一心で、寝る間も惜しんで石を磨くようになりました。
ところがしばらくして、越後屋の中で体調の悪い者が続出します。そして家の天井や壁にカビが生えるようになりました。
そこで波多利郎が「玉鱗」について調べてみると、とんでもない事がわかりました。
「水鱗石」は心清らかな処女が磨かなければいけないのです。もしも自分の欲のために磨き続けると、玉の中に劣情がこもってしまって霊魚は恐るべき怪魚に変身してしまい、家や人に災いをなす瘴気を放つというのです
新吉は家の再興という目的とはいえ、お金のために磨いているわけですから、中の霊魚が怪魚になってしまったんですね
波多利郎たちは新吉を止めようしますが、すでに新吉は瘴気にやられおかしくなっていました。
波多利郎は玉を大槌で割ります。その瞬間、中の怪魚は巨大化し大暴れ!しかし波多利郎は怪魚ですら大槌でなぐりたおします。
その時の波多利郎のセリフですが
「こいつめ おまえのせいでぼろ儲けの夢がパーだ!!」
すごい、さすが波多利郎です(笑)
あんな怪物を一撃で倒した〜〜と番頭たちはどよめきますが、魚なんで水から出たら生きられなかったという事らしいです
そして新吉はまた心を入れ替えて地道に働き、あの怪魚は波多利郎がごはんのおかずとして美味しく食べてしまったのでした。
面白いですね〜。
江戸ものはこういう怪異がらみの人情話が多いですね。越後屋波多利郎と番頭、手代たちの活躍はまだまだ続きます。
ちなみにこの49巻には他に「美術館にて」「サプーの秘密」が載っているのですが、これがまたすごく面白いんですよ。みなさんもぜひ読んでみてください。
あぁやっぱりパタリロは面白い!
次回も越後屋波多利郎!
ナツノナカノです。
さて、今日からしばらく「パタリロ!」の江戸もの紹介を始めていきたいと思います
とりあえずざっくりと江戸ものが載っている巻に付箋を貼ってみました。
けっこうありますね〜。この中から私が好きな回をちらちら一日1話ずつご紹介していきたいと思っております。しばしお付き合いくださいませ。
パタリロ!の中の江戸ものは1巻のパタリロ!番外編に「猫間天狗」から始まっております。これは越後屋波多利郎ではなく、京都所司代の息子「波多利郎」として出てきます。池田屋襲撃に関するお話で、バンコランは新選組局長「近藤勇」役ですね。間者猫もここから出てくるんですね。番外編なのでちょっとしたスピンオフ作品という感じです
そして今日は49巻に載っている「波多利郎怪異談 玉鱗」のお話をしたいと思います。
「波多利郎怪異談 玉鱗」
江戸、波多利郎が主の呉服問屋「越後屋」に新しい奉公人がやってきます。
新吉という少年は実家が鎌倉で1番の絹問屋であったのにも関わらず、三か月前の大火事で店は全焼、両親も亡くした悲しい身の上でした
新吉はいつかお店を再興する日を夢見て一生懸命に働きます。
そんな折、番頭のタマネギが波多利郎に不思議な話をします。
庭の一部分だけいつも湿っているというのです。
ひょっとしたら地下水がわき出ているのかもしれないと、番頭にそこを掘らせてみると大きな石が出てきました。どうやら石から水がにじみ出ているのです。割ってみようと、波多利郎が大槌を振り上げたその時、新吉が止めに入ります。
もしかしたらその石は「水鱗石すいりんせき」かもしれないと言うのです
「水鱗石」とは自ら命の水を吐き出しながら何千年も生き続ける霊魚が閉じ込められている不思議な石の事でした。「水鱗石」を少しずつ削っていって中の霊魚が透けて見えるくらい薄く磨き上げたものを「玉鱗ぎょくりん」と呼び、その石をそばに置いて眺めるだけで不老長寿が得られ、外国の王侯貴族がこぞって欲しがるという大変貴重な宝玉だというのです。
金に目がくらんだ波多利郎はすぐに磨いてみろ!と叫びます
新吉はすかさず、自分に磨かせて欲しい、そしてそれを売ったお金を半分欲しいと言いだします。
その金で店を再興するつもりなんですね。新吉の必死な様子を見て、波多利郎は新吉にその役をやらせることにしました。
新吉は店をやり直したい一心で、寝る間も惜しんで石を磨くようになりました。
ところがしばらくして、越後屋の中で体調の悪い者が続出します。そして家の天井や壁にカビが生えるようになりました。
そこで波多利郎が「玉鱗」について調べてみると、とんでもない事がわかりました。
「水鱗石」は心清らかな処女が磨かなければいけないのです。もしも自分の欲のために磨き続けると、玉の中に劣情がこもってしまって霊魚は恐るべき怪魚に変身してしまい、家や人に災いをなす瘴気を放つというのです
新吉は家の再興という目的とはいえ、お金のために磨いているわけですから、中の霊魚が怪魚になってしまったんですね
波多利郎たちは新吉を止めようしますが、すでに新吉は瘴気にやられおかしくなっていました。
波多利郎は玉を大槌で割ります。その瞬間、中の怪魚は巨大化し大暴れ!しかし波多利郎は怪魚ですら大槌でなぐりたおします。
その時の波多利郎のセリフですが
「こいつめ おまえのせいでぼろ儲けの夢がパーだ!!」
すごい、さすが波多利郎です(笑)
あんな怪物を一撃で倒した〜〜と番頭たちはどよめきますが、魚なんで水から出たら生きられなかったという事らしいです
そして新吉はまた心を入れ替えて地道に働き、あの怪魚は波多利郎がごはんのおかずとして美味しく食べてしまったのでした。
面白いですね〜。
江戸ものはこういう怪異がらみの人情話が多いですね。越後屋波多利郎と番頭、手代たちの活躍はまだまだ続きます。
ちなみにこの49巻には他に「美術館にて」「サプーの秘密」が載っているのですが、これがまたすごく面白いんですよ。みなさんもぜひ読んでみてください。
あぁやっぱりパタリロは面白い!
次回も越後屋波多利郎!