2017年11月12日
ある日私は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という作品に、出会った…
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
さて秋が深まりつつある日曜日。本の話の続きをすこし。
【前回のお話】アンチ新井素子でした!
中学生時代の読書を彩った少女小説やら青春小説やらでしたが、ある日唐突に終わりを迎えます。いえ、自分の中での終わりです。コバルト文庫は今なお続く素晴らしいレーベルですからね。
正確にいうと、一区切りついたんですよね。それまでの読書人生とそれからの読書人生をはっきりと分けることになったのが、本屋さんで何気なく手に取った一冊の本との出会いでした。
それが村上春樹先生の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」新潮文庫版です。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
【上下巻にわかれた文庫版は今はないようです…残念】
この本を買った時のことは今でもはっきりと覚えています。学校が早く終わって、なぜか私は制服のままふらふらと本屋に新刊チェックに行ったんですよ。いつもの本屋さんの文庫の棚に平積みされていたその本を、表紙に惹かれて手に取りました。表紙をめくると黒い地図がついていて、次に目次に目をやったのですがその時に「えっ?」と驚いたんです。
上巻の目次はこんなふうになっていました。
1ハードボイルド・ワンダーランド(エレベーター・無音・肥満)
2世界の終わり(金色の獣)
3ハードボイルド・ワンダーランド(雨合羽・やみくろ・洗い出し)
4世界の終わり(図書館)
…さらに21まで続いていきます。
…というふうに「ハードボイルド・ワンダーランド」と「世界の終わり」が繰り返し並んでいるのです。私はてっきりショート・ショートの本だと思ったんですよ。初めて買う作家の本は短編小説を買って好みかどうかを確認するという本の選び方をしていたので、へぇ村上春樹って言うんだ…とりあえず買ってみようかな…くらいな感じでひとまず上巻を購入して帰りました。
そうして家に帰り、なぜか私は制服を着替えもせず、しかもそのままコタツに入ってその本を読み始めたのです。
その時に買った本です。大切にしていますが、すり減ってます。
それにしても”想像力と数百円”というコピーはすばらしいですね。
2時間くらいで上巻を読み終わったと思います。面白ければ面白いほど先を急いで読む傾向があるので、私は多分すごく急いで読んだんじゃないかと思います。そして上巻を読み終わるとおもむろにコタツから抜け出し、制服のまま自転車に飛び乗り急いで下巻を買いに行ったのです。
自転車をこぐ私の頭の中では、先程読んだ上巻のシーンが次々と浮かんでは流れていきました。私は私の妄想の中で、主人公の僕になり、私になり、計算士になり、記号士になり、太った娘になり、図書館の女の子になり、夢読みになりました。
もう、それはめくるめく妄想の始まりというか、完全にその“村上春樹の本”にシンクロしていたんだと思います。
多分あんな事はあれきりだったような気もします。もちろん、のめり込んで読む本は沢山あったし、その後もありましたが、あれほどの一体感を感じたのは私はあの本だけだったと思うのです。それはもしかしたら中学生という多感な時期にちょうど、あの小説のアクションとファンタジーが融合したような世界観にぴったり自分がマッチしていたのかもしれません。計算士に記号士、夢読み、影…それらが私には当然の事のようにすっと理解することが出来ました。
そして急いで買ってきた下巻でしたが、私はわざと半分くらいまで読んでエンディングは次の日に持ち越しました。そして次の日に最後まで読んだあと、もう一度上巻のはじめからゆっくりと吟味しながら読んだのです。そうしてそれからは一日一回、上巻から読み返すという作業が日課になったのです(笑)
それが私の村上春樹作品との初めての出会いでした。案の定私は、村上作品を読み漁るようになったのですが…(笑)それはまた来週にしたいと思います。
ナツノナカノです。
さて秋が深まりつつある日曜日。本の話の続きをすこし。
【前回のお話】アンチ新井素子でした!
中学生時代の読書を彩った少女小説やら青春小説やらでしたが、ある日唐突に終わりを迎えます。いえ、自分の中での終わりです。コバルト文庫は今なお続く素晴らしいレーベルですからね。
正確にいうと、一区切りついたんですよね。それまでの読書人生とそれからの読書人生をはっきりと分けることになったのが、本屋さんで何気なく手に取った一冊の本との出会いでした。
それが村上春樹先生の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」新潮文庫版です。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
【上下巻にわかれた文庫版は今はないようです…残念】
この本を買った時のことは今でもはっきりと覚えています。学校が早く終わって、なぜか私は制服のままふらふらと本屋に新刊チェックに行ったんですよ。いつもの本屋さんの文庫の棚に平積みされていたその本を、表紙に惹かれて手に取りました。表紙をめくると黒い地図がついていて、次に目次に目をやったのですがその時に「えっ?」と驚いたんです。
上巻の目次はこんなふうになっていました。
1ハードボイルド・ワンダーランド(エレベーター・無音・肥満)
2世界の終わり(金色の獣)
3ハードボイルド・ワンダーランド(雨合羽・やみくろ・洗い出し)
4世界の終わり(図書館)
…さらに21まで続いていきます。
…というふうに「ハードボイルド・ワンダーランド」と「世界の終わり」が繰り返し並んでいるのです。私はてっきりショート・ショートの本だと思ったんですよ。初めて買う作家の本は短編小説を買って好みかどうかを確認するという本の選び方をしていたので、へぇ村上春樹って言うんだ…とりあえず買ってみようかな…くらいな感じでひとまず上巻を購入して帰りました。
そうして家に帰り、なぜか私は制服を着替えもせず、しかもそのままコタツに入ってその本を読み始めたのです。
その時に買った本です。大切にしていますが、すり減ってます。
それにしても”想像力と数百円”というコピーはすばらしいですね。
2時間くらいで上巻を読み終わったと思います。面白ければ面白いほど先を急いで読む傾向があるので、私は多分すごく急いで読んだんじゃないかと思います。そして上巻を読み終わるとおもむろにコタツから抜け出し、制服のまま自転車に飛び乗り急いで下巻を買いに行ったのです。
自転車をこぐ私の頭の中では、先程読んだ上巻のシーンが次々と浮かんでは流れていきました。私は私の妄想の中で、主人公の僕になり、私になり、計算士になり、記号士になり、太った娘になり、図書館の女の子になり、夢読みになりました。
もう、それはめくるめく妄想の始まりというか、完全にその“村上春樹の本”にシンクロしていたんだと思います。
多分あんな事はあれきりだったような気もします。もちろん、のめり込んで読む本は沢山あったし、その後もありましたが、あれほどの一体感を感じたのは私はあの本だけだったと思うのです。それはもしかしたら中学生という多感な時期にちょうど、あの小説のアクションとファンタジーが融合したような世界観にぴったり自分がマッチしていたのかもしれません。計算士に記号士、夢読み、影…それらが私には当然の事のようにすっと理解することが出来ました。
そして急いで買ってきた下巻でしたが、私はわざと半分くらいまで読んでエンディングは次の日に持ち越しました。そして次の日に最後まで読んだあと、もう一度上巻のはじめからゆっくりと吟味しながら読んだのです。そうしてそれからは一日一回、上巻から読み返すという作業が日課になったのです(笑)
それが私の村上春樹作品との初めての出会いでした。案の定私は、村上作品を読み漁るようになったのですが…(笑)それはまた来週にしたいと思います。
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