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2022年06月06日

ヤドカリの話

みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです

半年くらい前にポッドキャストのちょっと怖い話をするといってそれっきりだったんですよね。
下書きは書いてあったので、せっかくなんで出しておきますね(笑)いまさら感もありますが。
怖くはありません。すこ〜し不思議な話です

とりあえず長くなるんで今日は最初の話を。

あ〜〜今回はポッドキャスト全く出てきません。

【ヤドカリ】

私はまぁ、在宅ワーカーなんで、家の仕事部屋で一日中PCの前にいて、いろんな仕事をちらほらちらほらやっているわけです。ちっちゃい仕事を毎日ちらほら。

それは3年くらい前のことだったと思います。

夏が終わり秋が深まる頃でしたね。

私の仕事部屋は南西向きのベランダに面した6畳間なんです。

昔リビングで使っていたダイニングテーブルを机にして、その上にPCと仕事の資料と、まぁ色々置いて広々使っていたわけです。

ところがある日、うちの旦那さんがヤドカリの飼育ケースを置いていったんですよ。
私の机の隣に。箪笥の上です。私の机とほぼ同じ高さの箪笥です。

オカヤドカリを飼ってたんですよね。うちの旦那さんが。

で、秋になって寒くなってきたので、日当たりのいい私の仕事部屋に置いてくれないか、と。

暖かいからと。

ヤドカリを置いた箪笥の目の前は南向きの大きな窓があって、なるほどたしかに暖かいのです。

まぁ、ヤドカリくらいなら…とOKしたんですが。

ところがね、うるさいんですよ。ヤドカリが。

夜行性らしく、夜になると小さな飼育ケースの中をうろうろうろうろw

ヤドカリなんで、硬い殻を背負っているんですね。

それが、ウロウロするたびにプラスチックケースの壁に当たり、

カツーン

カツーン

と。

飼育ケースの中には、プラスチック製の小さなヤシの木が置いてあったんです。

そしてどうやら、ヤドカリは夜になると登るのです。

ヤシの木を。

夜になるとヤドカリは、飼育ケースの中をウロウロし、

プラスチックのヤシの木に登る。

そして、そのヤシの木のてっぺんの葉っぱの先端まで歩いていき、その重さで葉っぱがしなっと垂れてしまうのです。

そしてそのしなっとなった先に狭いケースの壁があり、ヤドカリの殻がケースに当たり、

カツーン

と、なるわけですよ。
そしてヤドカリは重力で葉っぱから滑り落ちて砂の上に落ちるのです。

ですがヤドカリはめげずにまた昇るのです。ヤシの木に。

そして一晩中繰り返されるのです。

プラスチックのヤシの木に昇る、葉っぱがしなる。

殻がプラスチックに当たり、

カツーン。

葉っぱから落ちる。



…一晩中ですよ。



私は夜中にはそんなに仕事しないタイプなんで、
いつも12時くらいには仕事を切り上げて、寝ているのですが。

ある日のこと。
私の仕事部屋にヤドカリがきてから、2週間くらい経ったころでしょうか。


ちょっと仕事の納期が迫っていて、連日朝から深夜まで仕事していたんです。

私も仕事が煮詰まっていて、まぁイライラしてたんですが。

毎夜繰り返される。

カツーン。

カツーン。

これに、まぁ相当イラっとくるわけです。

さらにその日は今までよりも

カツーーン。

がひときわ大きくって。

夜中ですよ。午前3時くらいです。

あ〜〜〜もう。勘弁してくださいよ。

と、思ったわけです。

で、翌朝です。

起きてきた旦那さんに、ヤドカリを自分の部屋に連れて行ってくれないか、と

言ったわけですよ。

暖かい電球を入れてやれば、いいじゃないかと。

ところが旦那さんは

「ヤドカリは一昨日死んだよ」

そう、言うのです。

おととい?

いや、いや、いや、そんな馬鹿な。

だって昨夜、深夜3時頃

いつにもましてうるさかったんですよ。

カツーン。

カツーンと。

私は確かに昨夜、ヤドカリの殻がケースに当たる音を聞いたのです。

…多分。

私は二階の仕事部屋に駆け上がり、ヤドカリのケースをのぞきました。

ヤドカリはそこにいましたが、指でつついても、動くことはありませんでした。

旦那さんが二階にあがってきて言うのです。

一昨日、ヤドカリが死んでしまったから、今日庭に埋めてやろうと思っていた、と。

昨日は仕事だったから、今日それをやろうと思っていたと。


え?

じゃあ、私が昨夜聞いたヤドカリの音は?

私は今でもあの情景をはっきり覚えているのです。

夜中、私は仕事をしていて、スタンドライトが暖かく灯り、
少しだけ開けたベランダのガラス戸。

小さな音量で流している、深夜ラジオの笑い声。

仕事に集中しつつ、

私は耳の端っこで確かに聞いていたのです。

カツーン。
カツーーン。

ヤドカリの殻の音を。

そしてそれはうるさいくらいに、私に主張していたのです。



この話を友人にすると、皆一様に、真剣に話を聞いてくれて、
そして最後には

「う〜〜ん。ヤドカリか…ヤドカリの幽霊ね…」

っていう、微妙な反応なわけですよ。

そらま、そうでしょうね!

ヤドカリの幽霊って全く共感出来ないでしょうよ!
ちっちゃいしさ!
だけどさ。だけどもさ……。

という、なんとも不思議な話でした。


この話はこれで終わるのですが、
ですが、ポッドキャストにつながる不思議な一連のシリーズがあるので、それをまた次回に。

ヤドカリの話.png

タグ:ヤドカリ
posted by ナツノナカノ at 14:36 | TrackBack(0) | 雑記帳

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