2018年09月25日
人手不足時代が来た感じがする
最近、新卒採用は超売り手市場だと聞く。
実際、リクルーティング活動に現場のコンサルタントが投入される時間も増えていると感じる。
日本の人口は減り始めているというし、黒字なのに人手不足倒産という言葉も聞く。
コンサルティング・ファームの売り物の一つには、AIを使った業務効率化が普通にある。
もちろん、社内も常に人手不足を嘆いている。
多分に”安く馬車馬のように働いてくれる都合のよい”人材がいない…という意味を含む気がするけれども。
それでも人手不足感があることには違いない。ということで、今日は人手不足について考えてみた。「人手不足」という状況が、自分の仕事に与える影響で、体感できているのは以下3つのこと。
1. 女性活用がキレイごとではなくなってきた。
特に十年単位での長期政権を維持する経営者にとって、女性がすぐに辞めない会社になるというのは、もはやキレイごとではなく、最優先事項に含まれる経営課題になった。
だって、安い賃金で奴隷のように働いてくれる若い男性を、大量に、継続的に雇う事がもはやできなくなっている。
この大量に、継続的に、というのが、企業の安定には不可欠で、「そんな人周りにいっぱいいる」と思っても、人事の数字にはその感覚が通じなくなってきていると感じる。
人口は減少トレンドが続き、ブラック企業を避けるという意識は高まり、しかし多くの上場企業では社長は売上を拡大することを求められている。
女性、雇うしかない、となっている。本当に、リアルに、会社の存続のために。
コンサルティング・ファームの中だと、プロジェクトの組成で先んじてその潮流を感じる。
先に、コンサルティング・ファームの人事異動は、普通の企業とは少し異なることを記載しておく。
特に日系企業では、人事異動というと年に1回、全社で同時に異動という形を取り、それも人事から数日前にぽんと提示されて、有無を言わさずはい、異動という形だと思う。
コンサルティング・ファームは所属部署はもちろん存在するが、実際、仕事をするのは、契約単位で組成されるプロジェクトの中になる。最近は3カ月が多く、長くて6カ月。短いものだと6週間という色々な意味でギリギリのプロジェクトも無くはない。
プロジェクトには、デリバリーの責任を負うマネージャーが居て、その部下としてコンサルタントや、アナリストと呼ばれる、ジュニアなメンバーが配属される。この配属は、コンサルティング・ファームのトップであるパートナーと人事部が決めるというファームもあれば、マネージャーがスタッフを口説き落として配属するというファームもあるという。どちらの方法にしても、数人で組成されたチームに女性がいないことは、最近はまず、考えられない。女性比率が上がっているから、単純な頭数では女性の方が多いプロジェクトも実際、かなりある。
プロジェクトのメンバーを考える際、「男性しかプロジェクトに入れたくないな…」と考えるマネージャーが仮にいたとしたら……プロジェクトが立ちあげられないーーつまり、ビジネス上で勝負をすることすらできず、不戦敗なんて事態になりかねない。
2. 働き方改革、待った、なし。採用できないから
新卒市場はもちろん、転職エージェントももはやブラック企業に良い人材を紹介してはくれない。
外資系コンサルだと、アクセンチュアが大々的に働き方改革を謳っているが、聞くところによれば、昔、本気で転職エージェントから言われたそうだ。「おたくに人を紹介できません…」と。
コンサルティング・ファームのプロジェクトを組成する際も、働き方には非常に気を遣う。
時短勤務体系の整備はもちろん、習い事等で早く帰りたい曜日はある?等まで、プロジェクトを始める前にチーム内で確認しているはず。
そもそも、今は管理職が全面的に労働時間管理の責任を負っている。昔のように、「試行錯誤して学ぶのもジュニアなメンバーには必要だから」といって、タスクを丸投げして先に帰るような人は支持されない。
ここまで明確に言われているわけではないけれど、バックグラウンドも違えば、スキルの進捗も得意分野もバラバラの部下の、今伸ばすべきスキルを正確に理解して、超綿密にタスクを設計し、部下がスキルを伸ばしながら、しかし残業時間が増えないようにコントロールするのが理想の管理職の仕事、と私は解釈している。
正直、「難易度高いな」って思います。しかし、会社が働き方改革を進めている以上、管理職もやらないといけないわけです。
3. その仕事、お断りします
「プロジェクトを組成できるだけの人が、社内で余っていないので、このプロジェクトはお受けできません」
と、コンサルティング依頼をお断りすることがある。
考えてみれば、 今年の春は引っ越し会社が働き方改革で受注を絞り、「見積もりすら受けられない」と話題になっていたし、クロネコヤマトのAmazon当日配送撤退も記憶に新しい。
女性活用や働き方改革が進んでも、特に日本の場合は人口が減っていくので、「依頼されても、受注しません」というスタンスは、今後増えていくのかな、と思っている。
今、必死で自動化の研究が進められている分野がいくつかある。配送や、小売り業等等。人間を機械で代替することで価格・サービスレベルを維持してくれようとしている。そういう分野はいいけれど、開き直って「人材がすべて」のコンサルティング業界や、その他のプロフェッショナル・サービス(医師、弁護士等等)の業界は、感触的にそこまで自動化に振り切ろうという感じではない。このままでは価格・サービスレベルの維持が難しくなってくるのではないだろうか。
そういう業界はどちらに振り切るのだろう? 価格を思いっきり上げて、顧客を選り好みする殿様商売は許されるだろうか? それともこれから自動化を目指していきすぎて、人間のコンサルタントなんて、AIコンサルタントに駆逐されてしまうだろうか? SFっぽいが、いまはそんなSFっぽいことが普通に起きる時代なのであり得ないとは言い切れない。
女性活用も働き方改革も、仕事の取捨選別も何年か前には全然実感できなかった。
このまま進めば、何年か後にはまた、今までとは全然違う状況になっていると思う。
実際、リクルーティング活動に現場のコンサルタントが投入される時間も増えていると感じる。
日本の人口は減り始めているというし、黒字なのに人手不足倒産という言葉も聞く。
コンサルティング・ファームの売り物の一つには、AIを使った業務効率化が普通にある。
もちろん、社内も常に人手不足を嘆いている。
多分に”安く馬車馬のように働いてくれる都合のよい”人材がいない…という意味を含む気がするけれども。
それでも人手不足感があることには違いない。ということで、今日は人手不足について考えてみた。「人手不足」という状況が、自分の仕事に与える影響で、体感できているのは以下3つのこと。
1. 女性活用がキレイごとではなくなってきた。
特に十年単位での長期政権を維持する経営者にとって、女性がすぐに辞めない会社になるというのは、もはやキレイごとではなく、最優先事項に含まれる経営課題になった。
だって、安い賃金で奴隷のように働いてくれる若い男性を、大量に、継続的に雇う事がもはやできなくなっている。
この大量に、継続的に、というのが、企業の安定には不可欠で、「そんな人周りにいっぱいいる」と思っても、人事の数字にはその感覚が通じなくなってきていると感じる。
人口は減少トレンドが続き、ブラック企業を避けるという意識は高まり、しかし多くの上場企業では社長は売上を拡大することを求められている。
女性、雇うしかない、となっている。本当に、リアルに、会社の存続のために。
コンサルティング・ファームの中だと、プロジェクトの組成で先んじてその潮流を感じる。
先に、コンサルティング・ファームの人事異動は、普通の企業とは少し異なることを記載しておく。
特に日系企業では、人事異動というと年に1回、全社で同時に異動という形を取り、それも人事から数日前にぽんと提示されて、有無を言わさずはい、異動という形だと思う。
コンサルティング・ファームは所属部署はもちろん存在するが、実際、仕事をするのは、契約単位で組成されるプロジェクトの中になる。最近は3カ月が多く、長くて6カ月。短いものだと6週間という色々な意味でギリギリのプロジェクトも無くはない。
プロジェクトには、デリバリーの責任を負うマネージャーが居て、その部下としてコンサルタントや、アナリストと呼ばれる、ジュニアなメンバーが配属される。この配属は、コンサルティング・ファームのトップであるパートナーと人事部が決めるというファームもあれば、マネージャーがスタッフを口説き落として配属するというファームもあるという。どちらの方法にしても、数人で組成されたチームに女性がいないことは、最近はまず、考えられない。女性比率が上がっているから、単純な頭数では女性の方が多いプロジェクトも実際、かなりある。
プロジェクトのメンバーを考える際、「男性しかプロジェクトに入れたくないな…」と考えるマネージャーが仮にいたとしたら……プロジェクトが立ちあげられないーーつまり、ビジネス上で勝負をすることすらできず、不戦敗なんて事態になりかねない。
2. 働き方改革、待った、なし。採用できないから
新卒市場はもちろん、転職エージェントももはやブラック企業に良い人材を紹介してはくれない。
外資系コンサルだと、アクセンチュアが大々的に働き方改革を謳っているが、聞くところによれば、昔、本気で転職エージェントから言われたそうだ。「おたくに人を紹介できません…」と。
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時短勤務体系の整備はもちろん、習い事等で早く帰りたい曜日はある?等まで、プロジェクトを始める前にチーム内で確認しているはず。
そもそも、今は管理職が全面的に労働時間管理の責任を負っている。昔のように、「試行錯誤して学ぶのもジュニアなメンバーには必要だから」といって、タスクを丸投げして先に帰るような人は支持されない。
ここまで明確に言われているわけではないけれど、バックグラウンドも違えば、スキルの進捗も得意分野もバラバラの部下の、今伸ばすべきスキルを正確に理解して、超綿密にタスクを設計し、部下がスキルを伸ばしながら、しかし残業時間が増えないようにコントロールするのが理想の管理職の仕事、と私は解釈している。
正直、「難易度高いな」って思います。しかし、会社が働き方改革を進めている以上、管理職もやらないといけないわけです。
3. その仕事、お断りします
「プロジェクトを組成できるだけの人が、社内で余っていないので、このプロジェクトはお受けできません」
と、コンサルティング依頼をお断りすることがある。
考えてみれば、 今年の春は引っ越し会社が働き方改革で受注を絞り、「見積もりすら受けられない」と話題になっていたし、クロネコヤマトのAmazon当日配送撤退も記憶に新しい。
女性活用や働き方改革が進んでも、特に日本の場合は人口が減っていくので、「依頼されても、受注しません」というスタンスは、今後増えていくのかな、と思っている。
今、必死で自動化の研究が進められている分野がいくつかある。配送や、小売り業等等。人間を機械で代替することで価格・サービスレベルを維持してくれようとしている。そういう分野はいいけれど、開き直って「人材がすべて」のコンサルティング業界や、その他のプロフェッショナル・サービス(医師、弁護士等等)の業界は、感触的にそこまで自動化に振り切ろうという感じではない。このままでは価格・サービスレベルの維持が難しくなってくるのではないだろうか。
そういう業界はどちらに振り切るのだろう? 価格を思いっきり上げて、顧客を選り好みする殿様商売は許されるだろうか? それともこれから自動化を目指していきすぎて、人間のコンサルタントなんて、AIコンサルタントに駆逐されてしまうだろうか? SFっぽいが、いまはそんなSFっぽいことが普通に起きる時代なのであり得ないとは言い切れない。
女性活用も働き方改革も、仕事の取捨選別も何年か前には全然実感できなかった。
このまま進めば、何年か後にはまた、今までとは全然違う状況になっていると思う。
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