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2013年05月09日

嵯峨野から激坂のぼり保津峡へ

a.「おはようございます、今、JRの嵯峨嵐山駅前にいる、さっそく今日のお手紙読みます、ここで良いのかな、よいしょ、じゃあ、本日のこころの風景・・・」、

b.ところで、嵯峨嵐山駅前もすっかり綺麗になりましたねえ、

a.むかしの駅舎も古風で味があったけど、屋根に風見鶏ついてたような、

b.がらーんとした木造平屋のそっけない建物でした、もちろんエレベータ、エスカレータもなく、

a.今じゃトロッコ電車ノミクス効果で年々にぎやかになってる、

嵯峨野トロッコ電車

b.昨年か、駅のとなりにデカい鉄道ジオラマも登場、

a.さて、そういうわけで、われわれは地元ならではの土地勘を生かし、抜け道ばかりで念仏寺を目指すことにする、まずはトロッコ電車とは逆方向へ、

b.さっそくクルマが入れない踏切っす、

a.民家が迫ってるから踏切の警告音も目覚まし時計くらいしぼってる、

b.ちっちゃくてかわいい若宮神社の角を曲がって、広い道路は、丸太町通りか、戦後の高度経済成長を代表するような道、

a.向かいのスーパーにはミスタードーナツも併設、「ポンデリングは確かに美味いが、おのれの体脂肪・血糖値とじゅうぶん相談したうえでオーダーすることだな」、

b.と、捨てぜりふを吐きながら、スーパー右手の信号を渡って、そのまま右寄りすか、住宅街、

a.その方が迷いにくい、このあたりは戦後になって急速に家が建ち始めたから、かなり入り組んでるんだ、右寄りにうまくたどると広い車道に出て正面に写真館が見えるはず、

b.これをわたって小川にそって進めば左手に北嵯峨高校の校門、一時期、甲子園によく出場してた、

a.このあたりは歴史的に重要なエリアなんで、校舎の屋根もカッコいい、

b.すらっと優雅な曲線を描いて、儲かりすぎたお寺か美術館みたいっすね、

a.すぐ北は大覚寺と大沢池(オオサワノイケ)、

b.しょっちゅう時代劇に登場する池だ、アニメ「蟲師」にもここと良く似た池が一回登場します、後半の方で、

a.いかにもこの辺、蟲師がしょっちゅう行き交(カ)ってそうやしなあ、

b.で、池を少し離れてぐるっとその周囲を迂回する道か、

a.自転車は気楽に回り道できて良い、

b.ゆるい坂を少し上って、

a.振り返ると、左にうっすら広沢池(ヒロサワノイケ)、

b.すこし高台だから、南に広がる京都の町並みが一望できます、

a.開発が規制されて、田畑も昔ながらの風情、30年まえ京都に引っ越して最初に良いって感じたのが、このあたりのゆるい坂とその先に広がる町の眺めだったけど、これっぽっちも変わってない、

b.で、大覚寺の北にそって、歴史的集落を抜けていけば、

a.右手の小山に五山の送り火で有名な鳥居形のマークが見え隠れして、自然と念仏寺へ向かうことになる、

b.感受性鋭くてどうしても念仏寺ダメってヒトは、

a.広い車道を迂回する手もある、ちょっと余分に坂登るけど、

b.この広い車道はむかし線路が走ってたんすね、

a.ずいぶんむかしにうしろの愛宕山に遊園地やスキー場を作ろうとしたけど、長続きすることなく線路も消えちまった、その名残の道だよ、

b.だからこんな道幅あんのか、

a.というわけで、原付バイクのハンドルが異様にネジ曲がってしまった、大きな赤い鳥居にトウチャコ、

b.しかし、ホントこれから、このきつくて暗い、峠道、行くんすか、

a.ここからは逃げも隠れもできない一本道、延々登り続けるけど、魂がどんどん綺麗になるから、ぜひ行ってみよう、

b.どんな風にタマシイきれいになるんすか、

a.確かにここから保津峡のあたりまでは、人間のいろんな情念が渦巻いてるような気がしなくもないが、JR保津峡駅に架かる赤い橋を過ぎるあたりから、自然の良い気配がしだいに濃厚になってきて、ヒイヒイ坂を上って柚子(ゆず)が有名な水尾の里に着くころは、心もすっかり洗われておるんじゃ、

b.おまけに、名物「柚子湯」で体まで香り高く洗われると、

a.そのとおり、だんだん分かってきたやないか、じゃあ出発するぞ、

b.いきなり暗いし、なんすかこの冷気は、5月というのに、

a.この一角は真夏でもヒンヤリしておる、やはり何か潜んでるのかもしれんなあ、

b.峠のてっぺんまでわずか700メートルしかないのに、80メートルも登るのか、

a.でも傾斜がいちばんきついのはここだけ、保津峡から先はだらだら登るだけなんで大丈夫だ、

b.しかし峠のてっぺんから保津峡へ降りるこの道の曲がりもハンパないっす、

a.トロッコ電車の鉄橋やトロッコ保津峡の駅も下のほうに見える、おっと危ねえなあ、よそ見してると、

b.ものすごい曲がりの激坂カーブを下って保津峡に到着、いきなり橋の向こうに怖そうなトンネルが、



a.夜だと確かに出ない方がおかしいようなトンネル、大丈夫あれ抜けたら楽になるから、

b.楽って、死ぬんすか、たましい抜かれたり、

a.あのなあ、ここ平気でみんな通ってるんやぞ、タクシーやバイクやハイカーや、たまに筋金入りのランナーまで、

b.失礼しました、アニメ「蟲師」を一気見したばかりで、つい、

a.しばらく行くと、トロッコ保津峡駅へかかる吊り橋が見えてくる、

b.なんかドラマに使えそうな雰囲気っすね、

a.むかしは山陰本線の駅だったから、観光という以上にどことなく歴史の重みが伝わってくるな、

b.ホント残しといて良かったすねえ、

a.トロッコ電車走らなきゃ、跡形もなく取り壊されてたろうな、この駅舎もこの吊り橋も、

b.じゃあ明日はこの吊り橋から再開ということで、

a.双子葉、


より大きな地図で JR嵯峨嵐山駅〜トロッコ保津峡駅 を表示


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