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2014年06月17日

山あり谷ありびわ湖から(5)「闇穴を抜けて見渡す棚田かな」

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b.しかし、ここまで登って引き返すわけにも、

a.当然や、じゃあともかく足、踏み入れてみよう、暗黒のその闇の中へ、

b.たぶん少し歩いていけば、出口側が見えてくるし、そうしたら歩く方向も分かるんじゃ、

a.けれども、なんやこの冷気は、冷たい水の中に全身つかってるみたいや、

b.あきまへん、いきなり寒くて心臓止まりそうです、

a.見えない地面はでも、なめらかやな、

b.だけど、これだけ真っ暗やと、どんな落とし穴があっても分かりません、

a.っていうか、進行方向もわからへんし、左手で壁を触りながら進もう、

b.ああ、ここで死ぬんかもしれませんね、俺たち、

a.あれ、クルマの音ちゃうか、

b.ああ、ありがたい、早くそのヘッドライトでわれわれをまぶしく照らしてくんしゃい、

a.ああ、やっと見えてきた、出口の明かりも、

b.これでなんとか生き延びられそうです、

a.なんと出口の空気はやわらかく暖かいことやろう、

b.明るく暖かく、オマケにこの見晴らし、

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a.あれが日本棚田100選のひとつ、畑(ハタ)の棚田でござる、

b.遠く右奥にもチラッと集落が、

a.あすこまでずっと下って、集落ぞいに右へ登っていくと、本日最後の峠道、コレを越えたら琵琶湖に出られるし、オレらを乗せて帰るありがたいJRもあるでよ、

b.しかし、わざわざそんな事せんでも、このまま出発地点の近江高島駅までゆるやかに下って行けるんじゃ、

a.それもそうやけど、やっぱり峠はドラマがあるしなあ、今度はいつ来られるかも分からんし、

b.まあ確かに、この峠からの見晴らしも、映画のワンシーンみたいやけど、

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a.それにしても、登ってきて良かったなあ、怖いトンネルやったけど、

b.親方、YouTubeにもありやしたぜ、素晴らしい棚田の動画、



a.ほんまや、静止画動かしてんのか思たら、畑仕事のお婆ちゃん動いてんで、どんだけ静かな村なんや、

b.じゃあ、ずんずん降りて行きましょうか、

a.もう少しこの見晴らしのまま走りたいけど、これだけは何ともならへんしなあ、もったいないけど降りようか、

b.シカやイノシシやサルが畑を荒らすから、この道から棚田へは防護フェンスで、直接入れませんね、一回降りてからやないと、

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a.そりゃ残念やなあ、もっと間近で見たかったけど、登り返す元気はないしなあ、

b.じゃあ、この辺でひと休みしますか、

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a.朽ちた木からまた新緑が芽吹いてる、ってことは朽ちて無いんか、見かけほど、

「朽ちたかと 思えば芽吹く 木のチカラ」、

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b.さあ、とりあえずこの橋で下るだけ下ってしまいました、あとはじわじわ登るだけ、

a.最初は集落内走行か、けっこうな登り坂やけど、お寺もあるし、歴史を感じるなあ、

b.今度の峠はどれほど登るんすか、

a.登りはじめとなる鹿ヶ瀬橋のバス停が標高224m、峠のピークが549m、で、下った先、びわ湖ぞいを進む国道161号線が88m、

b.じゃあずいぶん下り多目でお得やなあ、こりゃありがたい、

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a.集落を抜けていよいよ林道へ突入、と思ったら今度はがけ崩れかい、

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b.今回は巻き起こりますねえ、なにかと、

a.最近の雨は降り方エグいしなあ、計算外のことが起こるんやなあ、

b.でもギリギリすり抜けられて良かった、もう何もないことを祈るばかりっす、

a.アジサイのお寺から、こいで登って20分、今度は遠くに畑(ハタ)の棚田が見えるはず、

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b.こうやして眺めて初めて分かったけど、今登ってきた手前の集落もけっこう棚田やったんすね、

a.見るのは良いけど、暮らすのは大変そうやなあ、高齢化もそうとう進んでるし、

「老いるほど ひときわえぐい 棚田かな」、



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