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2020年06月28日

バッハ 「ロ短調ミサ」

中学校の音楽の時間に習う「音楽の父」のイメージの強いバッハ。音楽室に飾ってある肖像画を見ても、後の時代のモーツァルトやベートーヴェンに「おまーら、そこにいられるのはワシのおかげやぞ、コラ」とか言ってにらみをきかせてるようです。

で、そんなにバッハがでかい顔できるのかというと、実はそうでもなかったりします。

時代的には、バッハは後期バロックになるんですが、他の作曲家と一線を画していました。というか、バッハみたいなことをやってる人がいなかったんですね。他の作曲家が、華やかだったり軽やかだったり、いわゆる宮廷音楽として貴族にウケる曲を書いてたのに、バッハだけはしかめっ面して、対位法だのフーガだのの技法を追求していました。

そのうちに、バッハの技法はどんどん厳格なものになっていきましたが、それはそれは窮屈なものでした。娯楽だったはずのパズルが、パズルのためのパズルになってっちゃって面白くなくなっていくみたいな。要するにやりすぎちゃったわけですね。

バッハのせいでどん詰まり状態になっちゃったバロックに先は無いと、なんとかせんといかんとハイドンが古典派をぶち上げました。これが後のモーツァルト、ベートーヴェンに受け継がれて、そのままロマン派になだれ込みます。そういう意味では、「音楽の父」ってハイドンなんじゃね?と思いますね。

そんな音楽殺しのA級戦犯のバッハですが、バッハの前にバッハ無しバッハの後にバッハ無しで、一人でどうしてここまでできちゃうの?というくらい独自の音楽を構築しています。孤高の天才ですね。

この「ロ短調ミサ」は、バッハの集大成です。バッハの会得したあらゆる技法が使われています。そりゃ、こんなもん見せられたら作曲なんてやる気なくすわなあ、って感じ。バッハの怨念さえ感じられる曲です。

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