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2020年06月28日

ベルリオーズ 「幻想交響曲」

フランスの作曲家というと、近代以降のドビュッシーやラヴェルを思い浮かべますが、実は古典派からロマン派の時代には大した作曲家が出ていません。バロック期にはラモーやクープランがいたので、この古典派からロマン派の時代がすっぽり抜けているんですが、そこを孤軍奮闘していたのがベルリオーズ。

そのベルリオーズの代表作がこの「幻想交響曲」。ヘンな曲です。まあ、失恋して投薬自殺を企てた若者が見た悪夢を描写した曲とされているので、ヘンな曲なのは当たり前といえば当たり前なんですが。

まず、編成がデカイ。当時の標準的な編成の二管編成だとだいたい50人くらいなんですが、「幻想」の編成は軽く100人を超えます。それに、今では楽器博物館でしかお目にかかれない、オフィクレイドやサックバットといった楽器も編成に入ってます。また、標準的な交響曲は四楽章形式なのに、「幻想」は五楽章形式。独自性がありまくりです。

書法的にもかなり突拍子のないことをやってます。五楽章の冒頭でフルートにグリッサンドダウン指定があるんですが、グリッサンドアップならまだしも(ラプソディインブルーのクラリネットとかあるからね)、管楽器にグリッサンドダウンは無理。どの録音を聴いても、ここのフルートは苦労してます。変ちくりんな伸びるフルートを使った演奏もあるほど。

ヘンな曲はヘンな曲なんですが、素晴らしい曲です。かなり時代を先取っていて、リヒャルト・シュトラウスやワーグナーの曲かと思っちゃうくらい。私は、二楽章のワルツが好きなんですが、四楽章から五楽章にたたみかけていく様は圧巻の一言。終盤の、シンコペーションの連打から突然テーマが戻ってくるところなんかゾクゾクします。

長い曲なので、時間のある時にじっくりお聴きください。

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