収監中の強盗致死実行役を接見取材
「割に合ってないからやめるべき」
闇バイト申し込みから4カ月で人を死なせる
首都圏を中心に頻発する連続強盗事件。
神奈川・横浜市では75歳の男性が殺害され、千葉県では50代の女性が連れ去られました。
共通しているのは、実行犯が“闇バイト”から事件に手を染めたということ。
今回、強盗致死事件で無期懲役の判決を受けた実行犯が、拘置所で記者の接見に初めて応じました。
闇バイトの本当の闇とは?
SNSで記者が“闇バイト”と検索すると、『月100万は余裕』『当日支払い』など甘い言葉が並んでいます。
街でも闇バイトについて聞いてみると、「時給とか金額の数が大きいので、それで目をひきつけるような情報を表に出している感じがした」「1日に何十万も稼げるみたいなのがあったらちょっと気になっちゃう」などと話し、多くの若者が身近なSNSで目にしていました。
そんな闇バイトとみられる強盗事件が関東で多発。
2024年に入ってから関連のあるものも含めて20件以上発生しています。
なぜ多くの若者が闇バイトに手を出し、抜け出すことができなくなるのでしょうか。
2019年、東京・江東区で強盗に入った男3人が80歳の女性を暴行するなどして死亡させた強盗致死事件。
東京拘置所にいる実行役が記者の接見に初めて応じ、闇バイトの実態を明かしました。
酒井佑太被告(28):
知人から“闇バイト”を教えてもらった。金は欲しかったし、興味本位で見てみたのがきっかけ。
「ただの興味本位だった」と話し始めたのは酒井佑太被告。
2018年10月に闇バイトに応募し、最初は特殊詐欺の金を持ち逃げする役だったといいます。
酒井佑太被告(28):
特殊詐欺でだまし取った130万円を持ち逃げして、報酬として15万円もらった。
その後、指示役に「一緒にやらないか?」と持ち掛けられ、すぐに関西で同居を開始。
今度は闇バイトのあっせんへと手を染めていきます。
酒井佑太被告(28):
当時の闇バイトの報酬は、奪った金の3〜5%くらいが普通だったが、10%ほど(最低10万円保証)と言って集めた。あっせんしたのは20人くらい。
それからまもなく、酒井被告は誘ってきた指示役とともに別の事件で逮捕され、示談するため、さらにまとまったお金が必要になり、「闇バイトを通じてたたきで金をつくってもらった」と話しました。
“たたき”とは強盗のこと。
特殊詐欺からさらに凶悪犯罪へと向かっていきました。
そして、闇バイトに応募してわずか4カ月後の2019年2月、自ら強盗に入り、何の罪もない人の命を奪ったのです。
その事件の実行犯の1人が須江拓貴被告(28)。
闇バイトでつながった人物から秘匿性の高いアプリ『テレグラム』で強盗に入る家の詳細な情報が送られてきていました。
須江拓貴被告(28):
住所・ターゲットの名前・家族構成・部屋の間取りが送られてくるので、自分たちで下見に行き、入るか入らないかは現場の判断だった。
人の命を奪う前にどこかで引き返すことはできなかったのでしょうか。
須江被告は指示役から、「捕まったとしても面倒を見てあげるから安心してほしい」と言われたといいますが、逮捕されたあとは「お前がやったことだから知らない…」と突き放されたと話します。
当然、助けてくれるはずもありませんでした。
接見したフジテレビ社会部・小山浩隆記者は、「酒井被告は特殊詐欺絡みの闇バイトに応募してから、わずか4カ月で強盗致死事件を起こした。金欲しさに犯行がどんどんエスカレートしていく。その怖さを感じた」と話しました。
闇バイトに手を出そうと考えている人に伝えたいことを最後に2人に聞いてみました。
酒井佑太被告(28):
情報をしっかり判別して周りに流されないでほしい。
須江拓貴被告(28):
割にあってないからやめるべき。人生きつくてもそこだけは手を出さないでほしい。