2012年02月19日
「コンテイジョン」感想
<あらすじ>
地球規模で発生した正体不明のウイルス感染 だが、ウイルスよりも早く感染したのは、[恐怖]だった──
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?
(公式サイトより)
<感想>
パンデミックもの。
なんかよく分からないですが、「ギャラ少なくてもいいから出たい!」とハリウッド俳優・女優に人気の監督、スティーブン・ソダーバーグ。
今作もマリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットと豪華キャストですが、ネタバレしてしまうと、グウィネス・パルトロウは映画の序盤で亡くなります。
豪華キャスト目当てで観るとかなり肩すかしをくらうと思います。
いや、だって、どの人もこの人も、たいした見せ場みたいなのはないんだもん…。
(メインになったりするころはあるけど)誰が主人公、ということはなく、それぞれがそれぞれの役割を果たし、それぞれの立場の視点で話が進みます。
では、ウィルスパニックみたいな感じで、「アウトブレイク」的かというとそれもまたビミョー。
なんでかと言うと、おそらくこの作品はウィルスパニックを描きたいのではなくて、ウィルスパニックの状況下における人間を描きたかったのだと思うから。
しかも、お涙頂戴のような演出はほとんどなく、淡々と話は進んでいくというありさま。
ジュード・ロウ演じるフリージャーナリストが、いちはやくこのウィルスについて嗅ぎつけており、「政府はワクチンをもう開発しているが、それを隠している!」「政府はウィルスにはレンギョウが効くということを隠している!」とネットで発信します。
それを鵜呑みにした人たちがレンギョウを買い求め、品切れになると暴動を起こして略奪行為を働きます。
実はこのジャーナリスト、投資会社と組んでお金を儲けようとしていたのです。
フリージャーナリストが、ネットで「政府は嘘をついている!自分こそは真実を述べる!」と声高に叫ぶ中、CDC(アメリカ疾病防疫管理センター)は必死にワクチン開発を進めます。
CDCメンバーのひとりも、ウィルスに感染し、志半ばで無念の死を遂げます。感染者なので、葬式も出来ず、かつ死体袋も使い果たしてしまっているため、ビニール袋に入れられての埋葬。
観ているほうは分かるわけです。別に政府は嘘もついていないし、隠ぺいもしていない。
ウィルスに感染してはたまらない、ということで、次々ストライキが始まり、病院も人がいない。
病人の手当をするのは感染覚悟で残ることを決めた医師や看護師、ボランティアなどです。
感染者が触れたものに触ったり、飛沫などから感染するため、感染しないようにしようとすると、外界との接触を避けるしかありません。でも、そんなこと、基本的に無理です。
無人化したストアに食糧を求めて暴動が起こり、ストのせいで街はゴミであふれかえり、ある者は食料を求めて民家に侵入、略奪行為が行われます。
配給される食料にも制限があり、もらえなかった人たちは暴動を起こしたり。
実際、ワクチンが開発されても、人間に有効か、害はないかを確かめないといけないし、それを量産して配るにしても、一度に配ることは不可能で、要人やその家族はともかく、一般人は順番待ちが必要になります。それも、何か月も。
政府は暴動を避けたい。だから不確かな情報を流すわけにはいかない。
それをフリージャーナリストが「真実をさらす」と言いながら実はデマを流している。
恐怖に囚われた人間て、誰か「悪者」を作り出したくなるのかもしれません。
ジャーナリストの信者は増えていく。
ただ、この映画は、誰が悪者と決定づけるでもなく、淡々と進んでいきます。
ほんとうは悪者なんて、いなかったのかも。
みんな、ただ、必死だったのかも。
何が正しい情報なのか、正しくない情報なのか、分かりません。
それに、要人やそれに関わる人たちが優先されるのも、そりゃ、まあ、(いやだけど)分かる。
それを不平等だと叫んだところで、どうしようもないというか。
私だって出来るなら助かりたいけど。見捨てられたくはないけど。
実際、こんなパンデミックが起こったらどうなんだろうなあ。
私は新型インフルエンザ騒ぎのときは、あんまり気にしてなかったですが、実際に死人が出て、爆発的にウィルスが広まったとなったら、話は別だし。
しかも、それが致死率がかなり高いとなったら、ホントに話は別。
出来るだけ家にこもって、自分を含め家族・友人・知人の無事と、感染者がこれ以上増えないこと、顔も知らない感染者の回復を祈りつつ、ただじっと事態が好転するのを待っているのかなあ。
病気にかかってしまったら、回復することを祈りつつ、でも多分ダメだろうなとか思いながら、死ぬのを待ってるのかなあ。苦しいのはいやだなあ。
ウィルスはもちろん怖いけど、それ以上に怖いのは群衆のパニック、という作品でした。
情報にいたずらに踊らされたくはないけど、実際その状況になると、冷静さを保つのって難しいよね。
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posted by みあ at 23:30| 映画・DVD・ブルーレイ