2012年02月05日
「パラサイト・ラブ 寄生虫に恋してしまったドクター世界を往く」感想
「パラサイト・ラブ 寄生虫に恋してしまったドクター世界を往く」(内田明彦・著)
パラサイト・イブではありません。パラサイト・ラブです(笑)。
寄生虫や、寄生虫をめぐる研究や旅などについて愛を持って(?)書かれた本。
面白かったです。
数年前、友人と目黒の寄生虫博物館に行ったときに、そこの売店でゲットしました。
閉館間際の博物館の売店で、この本と、有鉤条虫の寄生虫ストラップを購入し、もう表口が閉められていたので、非常階段から帰ったことを思い出します(笑)。
この目黒の寄生虫博物館、なんと、入館料は無料なのざますよ。
博物館自体は、ふっつー(失礼)ビルの中にあって、看板もさほど目立つものでもなくて、展示室も広くはないのですが、展示内容はなかなか濃ゆいです(笑)。
よほどの虫嫌いな方や、グロ過敏症の方でなければ、機会がありましたら、ぜひ行ってみてください。
新たな世界が広がるかも(笑)。
で、この本ですが、ホテルに戻って、流し読みしていたはずが、気づけば本格的に読んでました(笑)。
正直、ところどころ日本語文法がアヤシかったりするのですが、それも気にならないくらいに、むしろこの著者の味だよね!と思うようになるくらいに面白かったです。
パワーに満ちているというか、愛に満ちているというか…。
しっかし、寄生虫の研究も大変なんだなぁ。
寄生虫にも色々あって、宿主が死んでしまうと自分も死んでしまうため、人間との共存を選択するものや、それと反対にマラリアなどのように人間に致命的な害を与えるものまで様々らしいです。
考えようによっては、人間の細胞に存在しているミトコンドリア(酸素からエネルギーをつくりだしてくれる器官)も、人間の細胞に寄生している別生命体みたいなもんだしなあ…。
腸内細菌だって、「私」とは別の生命体のはず。
「細菌」というと、悪いイメージを持ちがちですが、必ずしも人間に害を与えるものばかりではないのでしょう。
人間の肌に存在する常在菌も、人間にとって有害な菌から守ってくれる。
「ばい菌を殺しましょう」と過剰に消毒してしまうと、常在菌も死んでしまうので、結果的に有害菌が繁殖してしまうという、なんか本末転倒なことが起きたりすることもあるらしい。
細菌感染したときに飲む抗生物質も、有害な細菌だけじゃなく、人間にとって有益な細菌もやられちゃうらしい。
「寄生虫=悪」「細菌=悪」といった偏った見方をして、それら全てを駆除しようとすると、バランスが崩れておかしなことになってしまうのかもしれないです。
あるものはあるものにとって「悪」だけど、あるものにとっては「善」かもしれないわけで。
腸内細菌も、同じ腸内細菌でも、悪玉菌と善玉菌、状況において悪にも善にもなる日和見菌といるものなぁ。
バランスよく保たれている状態が、1番いいのだろうと思います。
まあ、そう思いながらも寄生虫感染はちょっと…と思いますが(笑)。
「無理なく痩せられるし、現代の食環境だと人体に影響はないから、サナダムシを体の中に飼ってみないか?」
と言われても、うん、やっぱりちょっと勘弁(笑)。
あ、人体に有害なやつは絶対勘弁です。
寄生虫は、人間だけでなく、自然界の色々なものに寄生します。
キタキツネのエキノコックス、魚介類のアニキサス等々、人間に有害なものもあります。
「自然」というと、さも素晴らしいもののように思えるけど(実際に素晴らしいんだけど)、人間にとって悪いものも善いものも、全て含めて自然なんですよね。
考えてみれば人間も所詮は自然の一部でしかないわけで、
「人間にとって有益なものは残そう。有害なものは滅ぼそう。そして、美しい自然を大切に!」
と言ったところで、そう上手くいかないのでしょう。
生態系を全て含めて「自然」であるのなら、「自然を愛する」ってことは、極論かもしれないけど、寄生虫も細菌も、毒草もおぞましい虫も、獰猛な動物も、全て含めて愛することなのかもしれない。
そんな私は、なかなか自然を愛せずにいます。
いや、だって、コードネーム:Gを愛せよ、とか無理!
運悪く見つけたとき、Gもこちらの気配を察して、物陰に隠れたりするんだけど、まさに「頭隠して尻隠さず」状態で、
「…隠れてないって。バカだな〜、コイツ」
と生暖かい目で見ながら思ったりはするけど、愛するとか無理!
虫も無理!
アイツらの体の構造考えたら、とても無理!
人間じゃないもん!哺乳類でも魚類ですらないもん!
得体の知れないものを気味悪がるのは、人間の本能じゃないか〜!仕方ないって!
と、脱線しました、すみません。
というわけで(どういうわけなんだ)、食べ物を自然のまま、つまり生で食べるということは、寄生虫に感染する可能性があるということなので、お気をつけて、ということと、まあ、なんでもかんでも駆除しればいいというものでもないみたい、ということです。
まあ、でも、この本読むと、
「うわー、マラリア怖ええ、寄生虫いやだ、自然滅びろ!」
と思ってしまったりもしますが(笑)、こんなふうに、むやみやたらに怖がって嫌がったり、逆にそういったもののことを考えずにいたり、何も知らないくせに極端行動に走るのが1番問題なのかな〜…。
難しいですね。
ちなみに、この本の中で1番参考になったのが、「アウトドアで出会う怖い虫」という項目だったりします。
ほんのちょっとですが、ツツガムシやマダニなどに触れられています。
気になってネットで調べたら、いるんですね、けっこう。マダニにやられた方たちが。
去年、弟が趣味の山登りに行った際、たいして高い山でもないしピクニックみたいなもんだ、と軽装備で、あろうことかハーフパンツのような、肌が露出する格好で行ったらしいのです。
しっかり、マダニにくっつかれてきたようで…。
しかも本人、気づいてない。
「草っ原に行ったら、草で足切った。腫れがなかなかひかなかった」
「それ、マダニにやられたんじゃないの?」
私の言葉で、マダニについて調べたらしく、たぶんマダニの可能性が高いとのこと。
山から帰ってきたら、虫が足にくっついていたらしいのですが、洗ってもなかなか落ちなかったらしいです。
…たぶん、それ、マダニの頭が残ってたんだよ(泣)
がんばってピンセットで取ったらしいですが、基本的にマダニを無理矢理引き抜くのはNGらしいので(頭部が残るので)、このブログをご覧の方、マダニにくっつかれたら出来ればそのまま皮膚科に行きましょう。
ちなみに、ツツガムシ病は、風邪みたいな症状が出るそうです。
ハイキングや草むらなどに行った後、風邪の症状が出て、風邪薬を飲んでも一向によくならない場合、ツツガムシ病を疑ってもよいかもです。
まあ、そんなこんなですが、人間って、ひとりだけで、しかも人間だけで生きてるわけじゃないんだな〜、というのが分かる一冊でした。
↓amazonに飛びます。絶版なのか、今日現在、古本で買うしかないのが悲しい…。
目黒寄生虫博物館ホームページ
グッズの販売もしているようです。珍しもの好きな方は要チェック? 寄生虫グッズがあります(笑)
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