2018年11月24日
ビタミンDサプリメントは高齢者の骨の健康に影響しない?
ビタミンDサプリメントは高齢者の骨の健康に影響しない?
日光浴がなかなかできない,施設に入居している人,
ビタミンD摂取量が足りない人は必要.
ビタミンDは主に紫外線を浴びることで,皮膚で活性化される.
強い骨を維持するには、
まずは運動を行い、
喫煙をしないこと、
痩せすぎないこと
ビタミンDサプリメントの摂取は骨を丈夫にし、
高齢者の骨粗鬆症予防に有効とされている。
しかし、英アバディーン大学のAlison Avenell氏らが実施した新たな研究から、
ビタミンDサプリメントを摂取しても、
こうした効果は認められない可能性があることが分かった。
過去の研究をレビューした結果、
用量にかかわらず、ビタミンDサプリメント摂取が骨折や転倒を予防し、
骨密度の増加につながるとするエビデンスは認められなかったという。
詳細は「The Lancet Diabetes and Endocrinology」10月4日オンライン版に掲載された。
脂溶性ビタミンの一つであるビタミンDを豊富に含む食品は少なく、
ビタミンDは主に紫外線を浴びることによって体内で生成される。
Avenell氏によると、ビタミンDサプリメントは多くの人が摂取している身近なもので、
北米では高齢者の40%が習慣的に摂取しているとの報告もある。
また、ビタミンDサプリメントの摂取は、
ビタミンD欠乏を原因とする小児のくる病や成人の骨軟化症の予防や、
紫外線に当たる機会が少ない介護施設の入所者などのビタミンD欠乏症リスクが高い人に有用なほか、
がんや心疾患を予防するとのエビデンスもあるという。
Avenell氏らは今回、18歳を超える男女を対象に、
ビタミンDサプリメント摂取による骨折や転倒の予防、
骨密度の増加への有効性を未治療群やプラセボ投与群などと
比較検討したランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施。
基準を満たした81件の研究を対象にメタ解析を行った。
対象とした研究には計5万3,537人が参加した。
これらの研究の多くは、
ビタミンD単独投与の有効性を検討したもので、
カルシウムとビタミンD併用による骨折予防効果は、
血中ビタミンD値が極めて低い高齢者を対象とした1件のみで認められた。
また、研究のほとんどは、
1日に800IU(国際単位)を超えるビタミンDを摂取している65歳以上の女性を対象としたものであった。
解析の結果、ビタミンDサプリメント摂取による全ての骨折、
特に大腿骨骨折や転倒の予防効果と骨密度の増加は認められなかった。
また、ビタミンDサプリメントの摂取量が高用量と低用量でこれらの効果に差はみられないことも明らかになった。
強い骨を維持するには、
まずは運動を行い、
喫煙をしないこと、
痩せすぎないこと以外にも骨粗鬆症治療薬を使用するなどの方法がある。
Avenell氏は、今回の結果に基づき、
「骨の健康を保つためにビタミンDサプリメントの摂取を推奨する現行のガイドラインの内容を改定する必要がある」
と指摘している。
専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のMinisha Sood氏は、
今回の結果について、「医師は、ビタミンDサプリメント摂取は健康な骨を維持する役割を担っていない可能性があることを認識すべきだ」
と述べる一方で、
「ビタミンDサプリメントの摂取には丈夫な骨を保つこと以外にもベネフィットがある可能性がある」と指摘する。
同氏によれば、これまでの研究でビタミンDをカルシウムと同時に摂取すると一部のがんを予防できるほかに、
加齢による記憶力の低下を防止できる可能性も示唆されているという。
また、「血中ビタミンD値が低い人では、依然としてビタミンD補充は欠かせない」と同氏は述べている。
[2018年10月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
原著論文はこちら
Bolland MJ, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Oct 4. [Epub ahead of print]
日光浴がなかなかできない,施設に入居している人,
ビタミンD摂取量が足りない人は必要.
ビタミンDは主に紫外線を浴びることで,皮膚で活性化される.
強い骨を維持するには、
まずは運動を行い、
喫煙をしないこと、
痩せすぎないこと
ビタミンDサプリメントの摂取は骨を丈夫にし、
高齢者の骨粗鬆症予防に有効とされている。
しかし、英アバディーン大学のAlison Avenell氏らが実施した新たな研究から、
ビタミンDサプリメントを摂取しても、
こうした効果は認められない可能性があることが分かった。
過去の研究をレビューした結果、
用量にかかわらず、ビタミンDサプリメント摂取が骨折や転倒を予防し、
骨密度の増加につながるとするエビデンスは認められなかったという。
詳細は「The Lancet Diabetes and Endocrinology」10月4日オンライン版に掲載された。
脂溶性ビタミンの一つであるビタミンDを豊富に含む食品は少なく、
ビタミンDは主に紫外線を浴びることによって体内で生成される。
Avenell氏によると、ビタミンDサプリメントは多くの人が摂取している身近なもので、
北米では高齢者の40%が習慣的に摂取しているとの報告もある。
また、ビタミンDサプリメントの摂取は、
ビタミンD欠乏を原因とする小児のくる病や成人の骨軟化症の予防や、
紫外線に当たる機会が少ない介護施設の入所者などのビタミンD欠乏症リスクが高い人に有用なほか、
がんや心疾患を予防するとのエビデンスもあるという。
Avenell氏らは今回、18歳を超える男女を対象に、
ビタミンDサプリメント摂取による骨折や転倒の予防、
骨密度の増加への有効性を未治療群やプラセボ投与群などと
比較検討したランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施。
基準を満たした81件の研究を対象にメタ解析を行った。
対象とした研究には計5万3,537人が参加した。
これらの研究の多くは、
ビタミンD単独投与の有効性を検討したもので、
カルシウムとビタミンD併用による骨折予防効果は、
血中ビタミンD値が極めて低い高齢者を対象とした1件のみで認められた。
また、研究のほとんどは、
1日に800IU(国際単位)を超えるビタミンDを摂取している65歳以上の女性を対象としたものであった。
解析の結果、ビタミンDサプリメント摂取による全ての骨折、
特に大腿骨骨折や転倒の予防効果と骨密度の増加は認められなかった。
また、ビタミンDサプリメントの摂取量が高用量と低用量でこれらの効果に差はみられないことも明らかになった。
強い骨を維持するには、
まずは運動を行い、
喫煙をしないこと、
痩せすぎないこと以外にも骨粗鬆症治療薬を使用するなどの方法がある。
Avenell氏は、今回の結果に基づき、
「骨の健康を保つためにビタミンDサプリメントの摂取を推奨する現行のガイドラインの内容を改定する必要がある」
と指摘している。
専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のMinisha Sood氏は、
今回の結果について、「医師は、ビタミンDサプリメント摂取は健康な骨を維持する役割を担っていない可能性があることを認識すべきだ」
と述べる一方で、
「ビタミンDサプリメントの摂取には丈夫な骨を保つこと以外にもベネフィットがある可能性がある」と指摘する。
同氏によれば、これまでの研究でビタミンDをカルシウムと同時に摂取すると一部のがんを予防できるほかに、
加齢による記憶力の低下を防止できる可能性も示唆されているという。
また、「血中ビタミンD値が低い人では、依然としてビタミンD補充は欠かせない」と同氏は述べている。
[2018年10月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
原著論文はこちら
Bolland MJ, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Oct 4. [Epub ahead of print]
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