現役総合臨床科，産業医の健康情報

アスピリン３題小話からの学習ー”病気の１次予防に低用量アスピリンはない”



低用量アスピリン（バイアスピリン、小児用バファリン、バファリン81など）は、
心筋梗塞、狭心症および脳梗塞の２次予防として、使用される薬です
（２次予防とは、同じ病気を再発させない、１次予防とは、その病気自体を起こさせないことです）

アスピリン３題小話は，
何も病気を持ってない人に，
アスピリンという抗血小板薬（血をサラサラにする薬）は，
メリットより，デメリットの方が大きかった．
という真実でした．

現在の日本人は、
1/3が、がん（癌、肉腫を含めた悪性新生物という意味です）で、
1/3が脳卒中や心筋梗塞など血管の病気で、
1/3が肺炎、自殺、交通事故、老衰などで亡くなっています

血管が詰まらないようにしてくれる低用量アスピリンが、
寿命を延長してくれると期待されて行われた前向き無作為試験で、
逆に『出血』が原因で亡くなったひとが多かった

アスピリンに発がん抑制あるいはがん増殖抑制効果が無ければ、
がんからの出血を助長することになるので、当然の結果だった、ようです

２人に１人が、がんにかかり、３人に１人が、がんで亡くなる、
欧米に比べて、心筋梗塞で亡くなるひとが少ない、
栄養状態がよくなり、医薬品、医療技術が進歩した、
さらに国民皆保険制度が充実している日本では、

諸外国より、がんを抱えている人の割合が多く、
同様な大規模試験を行った場合、もっと悪い成績が出そうです

１次予防に関しては、最終的には、”生活習慣”に尽きるのですが、
これさえあれば、健康長寿という、ひとつのものは無いよう、です