2018年09月15日
「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は症候群」、個々に応じた治療を
臨床ニュース
「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は症候群」、個々に応じた治療を
【第50回日本動脈硬化学会】 他科との連携が重要
MMJ2018年8月27日 (月)配信 消化器疾患内分泌・代謝疾患
第50回日本動脈硬化学会総会・学術集会(会長・山下静也りんくう総合医療センター病院長)が7月12、13日、大阪市内で開かれた。
テーマは「深く識る動脈硬化学〜これまでの半世紀と未来への提言〜」。
12日にはCutting Edge Symposium 3日本消化器病学会合同シンポジウム「NAFLD/NASHと動脈硬化症〜臨床的観点から〜」が開かれ、6人の演者が登壇した。
佐賀大学医学部附属病院肝疾患センターの江口有一郎センター長は「NAFLD/NASHにおける食事運動療法と薬物療法」と題して話した。(MMJ編集長・吉川学)
運動療法とGLP-1薬の効果を検討
最初に、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)には内臓脂肪過多の例が多く、内臓脂肪型肥満を有するNASHの治療としては、生活習慣の改善が基本になると指摘。
適切な食事運動療法による7%以上の減量でNASHの病理学的な改善、
10%以上の減量で肝線維化の改善に有効であることが確認されていると説明した。
しかし、実際の食事運動療法を維持するのは課題が多いとし、関連医療機関で実施している非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)外来パスについて紹介した。
2006年から18年6月まで194人が取り組み、目標は初回体重の5%減。毎月1回、医師による診察、保健師、管理栄養士、理学療法士による個別指導、看護師・検査技師による身体計測を行い、体重管理のツールとしてグラフ化体重日記を使った。
これは有効で減量より体重のコントロールだと指摘した。
この結果、3カ月の継続で肝脂肪化が改善し、6カ月の継続でLDL-C以外が改善したと述べた。
一方、運動療法については、有酸素運動とレジスタンス運動の機序は異なるが、NAFLDの治療に有効であると指摘したうえで、患者はランニングをやる傾向があるが1カ月もすると足が痛いなどと言って継続しなくなる。
スクワットなどの筋トレでも十分な効果があると話した。
薬物療法については現在、NASHに保険適応がある薬剤は存在せず、
合併する糖尿病、脂質異常症、高血圧など状況に応じて適切な治療薬の検討がなされ、
ビタミンE、チアゾリジン誘導体、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬、エゼチミブ、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などが使用されてきたと説明した。
このうち、メトホルミンは肝脂肪化改善などで効果があり、肝細胞がんの発生率の調整リスク比を低下させたとする報告や、
SGLT2阻害薬については、肝機能への影響を評価する多くの試験が行われていることなどを紹介。
トランスアミラーゼは下がっているが、線維化については分からず、7種のうちどれが一番効果を示すかについては不明であると述べた。
また、GLP-1受容体作動薬リラグルチドについて、2型糖尿病患者で肝生検によりNASHと診断されたうち24週間の食事運動療法で改善しなかった症例に48週間投与したところ、体重が減少し、病理学的にも肝臓の脂肪化が改善したと述べた。
さらに脂質改善薬エゼチミブにより、高LDL血症が改善したというデータを示した。
最後に「NAFLD/NASHは背景がたくさんある症候群と考えるべきだろう。
個々の症例に応じたテーラーメード治療が望まれる。
これは消化器内科だけでは実施するのは難しく、他科、多職種の連携が必要である」と訴えた。
「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は症候群」、個々に応じた治療を
【第50回日本動脈硬化学会】 他科との連携が重要
MMJ2018年8月27日 (月)配信 消化器疾患内分泌・代謝疾患
第50回日本動脈硬化学会総会・学術集会(会長・山下静也りんくう総合医療センター病院長)が7月12、13日、大阪市内で開かれた。
テーマは「深く識る動脈硬化学〜これまでの半世紀と未来への提言〜」。
12日にはCutting Edge Symposium 3日本消化器病学会合同シンポジウム「NAFLD/NASHと動脈硬化症〜臨床的観点から〜」が開かれ、6人の演者が登壇した。
佐賀大学医学部附属病院肝疾患センターの江口有一郎センター長は「NAFLD/NASHにおける食事運動療法と薬物療法」と題して話した。(MMJ編集長・吉川学)
運動療法とGLP-1薬の効果を検討
最初に、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)には内臓脂肪過多の例が多く、内臓脂肪型肥満を有するNASHの治療としては、生活習慣の改善が基本になると指摘。
適切な食事運動療法による7%以上の減量でNASHの病理学的な改善、
10%以上の減量で肝線維化の改善に有効であることが確認されていると説明した。
しかし、実際の食事運動療法を維持するのは課題が多いとし、関連医療機関で実施している非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)外来パスについて紹介した。
2006年から18年6月まで194人が取り組み、目標は初回体重の5%減。毎月1回、医師による診察、保健師、管理栄養士、理学療法士による個別指導、看護師・検査技師による身体計測を行い、体重管理のツールとしてグラフ化体重日記を使った。
これは有効で減量より体重のコントロールだと指摘した。
この結果、3カ月の継続で肝脂肪化が改善し、6カ月の継続でLDL-C以外が改善したと述べた。
一方、運動療法については、有酸素運動とレジスタンス運動の機序は異なるが、NAFLDの治療に有効であると指摘したうえで、患者はランニングをやる傾向があるが1カ月もすると足が痛いなどと言って継続しなくなる。
スクワットなどの筋トレでも十分な効果があると話した。
薬物療法については現在、NASHに保険適応がある薬剤は存在せず、
合併する糖尿病、脂質異常症、高血圧など状況に応じて適切な治療薬の検討がなされ、
ビタミンE、チアゾリジン誘導体、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬、エゼチミブ、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などが使用されてきたと説明した。
このうち、メトホルミンは肝脂肪化改善などで効果があり、肝細胞がんの発生率の調整リスク比を低下させたとする報告や、
SGLT2阻害薬については、肝機能への影響を評価する多くの試験が行われていることなどを紹介。
トランスアミラーゼは下がっているが、線維化については分からず、7種のうちどれが一番効果を示すかについては不明であると述べた。
また、GLP-1受容体作動薬リラグルチドについて、2型糖尿病患者で肝生検によりNASHと診断されたうち24週間の食事運動療法で改善しなかった症例に48週間投与したところ、体重が減少し、病理学的にも肝臓の脂肪化が改善したと述べた。
さらに脂質改善薬エゼチミブにより、高LDL血症が改善したというデータを示した。
最後に「NAFLD/NASHは背景がたくさんある症候群と考えるべきだろう。
個々の症例に応じたテーラーメード治療が望まれる。
これは消化器内科だけでは実施するのは難しく、他科、多職種の連携が必要である」と訴えた。
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