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2020年08月28日
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察13
D 前置詞付きの副詞を取ることはできない。
(6)Ich hoffe darauf, sie wiederzusehen. (6)の形にはならない。(Engelen)
E 補充的なes(expletiv)をとることはない。
(7)例外 Ich vermag es nicht, ihn zu überreden.
F 様相動詞は完了形を作らない。しかし、反例がまま見られることから、特性と言えるかどうか疑わしい。
(8)Er hat spazieren zu gehen gepflegt.
G 様相動詞は受動態を作らない。
H 様相動詞の多くに同音意義の本動詞(Vollverben)がある。
(9)Die Sonne scheint.
(10)Er scheint zu schlafen.
上記特性から、Neugeborn(1976)には、様相動詞群が列挙されている。例えば、brauchen:1必要がある(modal)、2使う(voll)。
(11)Morgen brauchst du nicht kommen.(小学館独和大辞典)
(12)Er braucht immer seine Fäuste. (同上)
上記特性のうち、CとHについて補足説明する。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
(6)Ich hoffe darauf, sie wiederzusehen. (6)の形にはならない。(Engelen)
E 補充的なes(expletiv)をとることはない。
(7)例外 Ich vermag es nicht, ihn zu überreden.
F 様相動詞は完了形を作らない。しかし、反例がまま見られることから、特性と言えるかどうか疑わしい。
(8)Er hat spazieren zu gehen gepflegt.
G 様相動詞は受動態を作らない。
H 様相動詞の多くに同音意義の本動詞(Vollverben)がある。
(9)Die Sonne scheint.
(10)Er scheint zu schlafen.
上記特性から、Neugeborn(1976)には、様相動詞群が列挙されている。例えば、brauchen:1必要がある(modal)、2使う(voll)。
(11)Morgen brauchst du nicht kommen.(小学館独和大辞典)
(12)Er braucht immer seine Fäuste. (同上)
上記特性のうち、CとHについて補足説明する。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
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Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察12
2 zu不定詞句を従える様相動詞
この章では、zu不定詞句を従える様相動詞のうち、anfangen、beginnen、aufhörenには、他と異なる統語論上、意味上論の特性があることを示す。同時に、上記3つの動詞がともなう主格補足後に様相因子が含まれているか否かにより生じる文の曖昧性を指摘する。
2.1 統語論
zu不定詞句を従える様相動詞の統語論上の定義は、とりわけEngelen(1975)、Engel(1976、1977)、Neugeborn(1976)に見られる。それらに基づくならば、この動詞群の統語特性は、次の通りである。
A zu不定詞句を支配する。
B E0(Normativergänzung)は、不定詞に依存し、定動詞には支配されない(Subjektidentisch)。即ち、様相動詞が省略されても。その文構造は変わらない。
(4)Heinrich A pflegt M den Wecker B aufs Klavier C zu stellen V. (Neugeborn)
M → V → A、B、C
(4)’ Heinrich A stellt V den Wecker B aufs Klavier C.
V → A、B、C
C zu不定詞句の照応化も書き換えも不可。
(5)Das Wetter verspricht, schön zu werden.
(5)’ ※Das Wetter verspricht es/das.
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
この章では、zu不定詞句を従える様相動詞のうち、anfangen、beginnen、aufhörenには、他と異なる統語論上、意味上論の特性があることを示す。同時に、上記3つの動詞がともなう主格補足後に様相因子が含まれているか否かにより生じる文の曖昧性を指摘する。
2.1 統語論
zu不定詞句を従える様相動詞の統語論上の定義は、とりわけEngelen(1975)、Engel(1976、1977)、Neugeborn(1976)に見られる。それらに基づくならば、この動詞群の統語特性は、次の通りである。
A zu不定詞句を支配する。
B E0(Normativergänzung)は、不定詞に依存し、定動詞には支配されない(Subjektidentisch)。即ち、様相動詞が省略されても。その文構造は変わらない。
(4)Heinrich A pflegt M den Wecker B aufs Klavier C zu stellen V. (Neugeborn)
M → V → A、B、C
(4)’ Heinrich A stellt V den Wecker B aufs Klavier C.
V → A、B、C
C zu不定詞句の照応化も書き換えも不可。
(5)Das Wetter verspricht, schön zu werden.
(5)’ ※Das Wetter verspricht es/das.
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察11
R15、R16 時制に関する規則
それぞれの統語操作は、σ3(x)=「Perf(x)」、σ4(x)=「Fut(x)」である。
R15:Satz → Satz
ÜR15:Perf(s)=Perf(s)
R16:Satz → Satz
ÜR16:Fut(s)=Fut(s)
R17 関係節に関する規則
統語操作は、σ5, n(x, y)=「(x, so daß n y)」
R17:Subst oder N, Satz → Subst
ÜR17:(S1, so daß n S2)={x|x ∈ S1 ⋀ x ∈ [xn|S2] }S1 ∈Subst, N S2 ∈Satz
R18、R19、R20 量化に関する規則
対応する統語操作は、σ6, n(x, y)= 「(x)(er n: y)」
R18は、従属文の人称代名詞と主文の人称代名詞の関係(Satz、N → Satz)を、R19は、非指示的な動詞のde-re読み(V、N → V)を、R20は、関係節をともなう名詞句の量化(Subst、N → V)を規定する。
ÜR18:(S1)(er n:S2)=[xn|S1] ∈S2、S1 ∈ Satz、S2 ∈ N
ÜR19:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈V、S2 ∈ N
ÜR20:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈Subst、S2 ∈ N
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
それぞれの統語操作は、σ3(x)=「Perf(x)」、σ4(x)=「Fut(x)」である。
R15:Satz → Satz
ÜR15:Perf(s)=Perf(s)
R16:Satz → Satz
ÜR16:Fut(s)=Fut(s)
R17 関係節に関する規則
統語操作は、σ5, n(x, y)=「(x, so daß n y)」
R17:Subst oder N, Satz → Subst
ÜR17:(S1, so daß n S2)={x|x ∈ S1 ⋀ x ∈ [xn|S2] }S1 ∈Subst, N S2 ∈Satz
R18、R19、R20 量化に関する規則
対応する統語操作は、σ6, n(x, y)= 「(x)(er n: y)」
R18は、従属文の人称代名詞と主文の人称代名詞の関係(Satz、N → Satz)を、R19は、非指示的な動詞のde-re読み(V、N → V)を、R20は、関係節をともなう名詞句の量化(Subst、N → V)を規定する。
ÜR18:(S1)(er n:S2)=[xn|S1] ∈S2、S1 ∈ Satz、S2 ∈ N
ÜR19:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈V、S2 ∈ N
ÜR20:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈Subst、S2 ∈ N
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察10
R6、R8 副詞に関する規則
R6は述語(Adv, V → V)を、R8は文(AdSatz, Satz →Satz)を修飾する副詞の規則である。
ÜR6 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Adv、S2 ∈ V
ÜR8 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ AdvSatz、S2 ∈Satz
尚、「nicht」、「notwendig」は、それらが論理的構造を示すことから、ÜR3として次のように規定されている。
ÜR3 nicht ={P|〜ex(p)}
notwendig ={P|□ex(p)}
R7 前置詞に関する規則
ÜR7 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Präp、S2 ∈ N
R9、R10、R11 連言に関する規則
連言規則に対応する統語操作は、σ1(x,y)= df「(x=y)」である。R9は文(Satz、Satz → Satz)、R10は動詞(句)(V、V → V)、R11は名詞(句)(N、N → N)を接続する規則である。
ÜR9(S1 und S2)= (S1 ⋀ S2)S1、S2 ∈ Satz
ÜR10(S1 und S2)={x|x ∈S1 ⋀ x ∈S2}S1、S2 ∈ V
ÜR11(S1 und S2)={p|p ∈S1 ⋀ p ∈S2}S1、S2 ∈ N oder Subst
R12、R13、R14 選言に関する規則
選言規則に対応する統語操作は、次の通りである。σ2(x、y)=「(x oder y)」
R12、R13、R14及びそれぞれの翻訳規則は、連言に関する規則と平行に考えられている。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
R6は述語(Adv, V → V)を、R8は文(AdSatz, Satz →Satz)を修飾する副詞の規則である。
ÜR6 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Adv、S2 ∈ V
ÜR8 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ AdvSatz、S2 ∈Satz
尚、「nicht」、「notwendig」は、それらが論理的構造を示すことから、ÜR3として次のように規定されている。
ÜR3 nicht ={P|〜ex(p)}
notwendig ={P|□ex(p)}
R7 前置詞に関する規則
ÜR7 S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Präp、S2 ∈ N
R9、R10、R11 連言に関する規則
連言規則に対応する統語操作は、σ1(x,y)= df「(x=y)」である。R9は文(Satz、Satz → Satz)、R10は動詞(句)(V、V → V)、R11は名詞(句)(N、N → N)を接続する規則である。
ÜR9(S1 und S2)= (S1 ⋀ S2)S1、S2 ∈ Satz
ÜR10(S1 und S2)={x|x ∈S1 ⋀ x ∈S2}S1、S2 ∈ V
ÜR11(S1 und S2)={p|p ∈S1 ⋀ p ∈S2}S1、S2 ∈ N oder Subst
R12、R13、R14 選言に関する規則
選言規則に対応する統語操作は、次の通りである。σ2(x、y)=「(x oder y)」
R12、R13、R14及びそれぞれの翻訳規則は、連言に関する規則と平行に考えられている。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察9
R3、R4、R5 他動詞に関する規則
R3は名詞(TrVn, N od. Subst → V)を、R4はdaß文(TrVSatz, Satz → V)を、R5はzu不定詞句(TrVv, V → V)を従える規則である。
(3) Heinrich findet eine Hexe. 1
△
Heinrich finden eine Hexe 3
△
finden eine Hexe 2
△
ein Hexe
ÜR3 S1(S2)= S1(in(S2))、S1 ∈ TrVn、S2 ∈ N, Subst
翻訳
1 in(finden(ein(Hexe)))∈ Heinrich ÜB1
2 in(finden(ein(Hexe)))∈ {P|in (Heinrich) ∈ P} ÜB1
3 in(Heinrich)∈ finden (in (ein (Hexe))) ÜB3
4 in(Heinrich)∈ finden (in (PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q))(Hexe)ÜB4
尚、能動と受容(werden)の間に意味上の際が生じない他動詞に対して(変わるもの、例、erwarten)、次の定義が設けられている。
D1 ∀x∀P(x ∈ T(P) [y|x ∈ T([[y]]) ∈ P)
5 ∃x(x ∈ Heinrich ⋀ in(Heinrich)∈ finden([[y]])
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
R3は名詞(TrVn, N od. Subst → V)を、R4はdaß文(TrVSatz, Satz → V)を、R5はzu不定詞句(TrVv, V → V)を従える規則である。
(3) Heinrich findet eine Hexe. 1
△
Heinrich finden eine Hexe 3
△
finden eine Hexe 2
△
ein Hexe
ÜR3 S1(S2)= S1(in(S2))、S1 ∈ TrVn、S2 ∈ N, Subst
翻訳
1 in(finden(ein(Hexe)))∈ Heinrich ÜB1
2 in(finden(ein(Hexe)))∈ {P|in (Heinrich) ∈ P} ÜB1
3 in(Heinrich)∈ finden (in (ein (Hexe))) ÜB3
4 in(Heinrich)∈ finden (in (PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q))(Hexe)ÜB4
尚、能動と受容(werden)の間に意味上の際が生じない他動詞に対して(変わるもの、例、erwarten)、次の定義が設けられている。
D1 ∀x∀P(x ∈ T(P) [y|x ∈ T([[y]]) ∈ P)
5 ∃x(x ∈ Heinrich ⋀ in(Heinrich)∈ finden([[y]])
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンターギュ文法による形式意味論からの考察8
R1 主語と述語(N, V→Satz)に関する規則
(1) Heinrich lächelt. (1)を翻訳する際、必要な規則はÜ R1とÜB1である。
ÜR1 S1(S2)= df S1(in(S2))= in(S2)∈S1、S1∈N、S2∈V
ÜB1 固有名詞、代名詞に関する規則
Heinrich= df{p|in (Heinrich)∈ P}={[in(Hainrich)]}
Er(n)= df{p|x(n) ∈ P}
翻訳
1 in(lächeln)∈ Heinrich ÜR1
2 in(lächeln)∈{p|in(Heinrich)∈P} ÜR1
3 in(Heinrich)∈ in(lächeln)挿入規則
4 in(Heinrich)∈ lächeln 上下打消し(内包と外延の関係から)
R2 冠詞(Art、Subst → N)に関する規則
(2) Jede Hexe seufzt. (2)はの翻訳には、ÜR2、ÜB4が必要となる。
ÜR2 S1(S2)= S1(in(S2))、S1∈Art、S2∈Subst
ÜB1 jeder ={PQ|∀x(x ∈ P → x ∈ Q)}
ein = PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q)}
kein ={PQ|〜∃x(x ∈ P⋀ x ∈ Q)}
der ={PQ|∃x(ex(P)={x}⋀ x ∈ Q}
翻訳
1 in(seufzen)∈ jeder(Hexe)ÜR1
2 in(seufzen)∈ jeder(in(Hexe))ÜR2
3 in(seufzen)∈{PQ|∀x(x ∈P→x ∈ Q)}ÜB4
4 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ in(Hexe)→x ∈ P)}挿入規則
5 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ Hexe → x ∈ P)}上下打消し
6 ∀x(x ∈ Hexe → x ∈ seufzen)挿入規則、上下打消し
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
(1) Heinrich lächelt. (1)を翻訳する際、必要な規則はÜ R1とÜB1である。
ÜR1 S1(S2)= df S1(in(S2))= in(S2)∈S1、S1∈N、S2∈V
ÜB1 固有名詞、代名詞に関する規則
Heinrich= df{p|in (Heinrich)∈ P}={[in(Hainrich)]}
Er(n)= df{p|x(n) ∈ P}
翻訳
1 in(lächeln)∈ Heinrich ÜR1
2 in(lächeln)∈{p|in(Heinrich)∈P} ÜR1
3 in(Heinrich)∈ in(lächeln)挿入規則
4 in(Heinrich)∈ lächeln 上下打消し(内包と外延の関係から)
R2 冠詞(Art、Subst → N)に関する規則
(2) Jede Hexe seufzt. (2)はの翻訳には、ÜR2、ÜB4が必要となる。
ÜR2 S1(S2)= S1(in(S2))、S1∈Art、S2∈Subst
ÜB1 jeder ={PQ|∀x(x ∈ P → x ∈ Q)}
ein = PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q)}
kein ={PQ|〜∃x(x ∈ P⋀ x ∈ Q)}
der ={PQ|∃x(ex(P)={x}⋀ x ∈ Q}
翻訳
1 in(seufzen)∈ jeder(Hexe)ÜR1
2 in(seufzen)∈ jeder(in(Hexe))ÜR2
3 in(seufzen)∈{PQ|∀x(x ∈P→x ∈ Q)}ÜB4
4 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ in(Hexe)→x ∈ P)}挿入規則
5 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ Hexe → x ∈ P)}上下打消し
6 ∀x(x ∈ Hexe → x ∈ seufzen)挿入規則、上下打消し
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンターギュ文法による形式意味論からの考察7
2.3 ドイツ語の統語規則及び翻訳規則
Löbner(1976)は、20通りの統語規則を提示している。PTQにおけるS1(語彙装入規則)を削除する代わりに、論理的な分析が可能な語彙には、基本翻訳規則(Basisübersetzung:以下ÜBと略記)が設定されている。尚、統語規則(R)と翻訳規則(ÜR)とを便宜上並行して示す。しかし、必要に応じて用いる例文は、上記基本表現から構成されたものである。本稿の性質からして、例文は、動詞の範疇(VTr、VnTr、Vsatz、TrVv)に関連している。
また、その派生過程を示す分析樹は、分析樹の代わりに派生過程の連鎖がカッコで表示されている(Löbner 1976)。例えば、Heinrich(sagen(Melanie(erwarten(kein(Geld)))))。これは、従来の句構造標識(P−marker)とは異なり、自然言語(即ち表層)に見られる構造上、意味上の曖昧性を取り去る働きをする。
UGの規定に従えば、分析樹の表示は、L=<DL、R>におけるDLに対応している。ここで、Lは自然言語、DLは曖昧性のない言語、Rは両者を取り持つ関数である。そのため、統語規則の番号が付与されている。
統語規則R1からR8に対応する統語操作は、σ0(x, y)=df「x(y)」である。こうして翻訳される有意表現が、ILの意味規則により解釈され、その指示対象を得る。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Löbner(1976)は、20通りの統語規則を提示している。PTQにおけるS1(語彙装入規則)を削除する代わりに、論理的な分析が可能な語彙には、基本翻訳規則(Basisübersetzung:以下ÜBと略記)が設定されている。尚、統語規則(R)と翻訳規則(ÜR)とを便宜上並行して示す。しかし、必要に応じて用いる例文は、上記基本表現から構成されたものである。本稿の性質からして、例文は、動詞の範疇(VTr、VnTr、Vsatz、TrVv)に関連している。
また、その派生過程を示す分析樹は、分析樹の代わりに派生過程の連鎖がカッコで表示されている(Löbner 1976)。例えば、Heinrich(sagen(Melanie(erwarten(kein(Geld)))))。これは、従来の句構造標識(P−marker)とは異なり、自然言語(即ち表層)に見られる構造上、意味上の曖昧性を取り去る働きをする。
UGの規定に従えば、分析樹の表示は、L=<DL、R>におけるDLに対応している。ここで、Lは自然言語、DLは曖昧性のない言語、Rは両者を取り持つ関数である。そのため、統語規則の番号が付与されている。
統語規則R1からR8に対応する統語操作は、σ0(x, y)=df「x(y)」である。こうして翻訳される有意表現が、ILの意味規則により解釈され、その指示対象を得る。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察6
2.2.3 ILの意味論
2.2.3.1 意味解釈モデル
最終的に複合表現が対応づけられる指示対象とは、Designat = REF x意味規則。ここでREF(Referenzpunkt)は、REF = 個体(E)x タイプ(T)x 可能世界x 時点(z)。尚、Löbnerは、個体x タイプをコンテキストとし、REF = K x W x Z(kwz)と書く。但し、時点間には「<」という順序関係がある。
2.2.3.2 意味規則
ILの統語規則に対応する意味規則とは、次のように規定されている。これらの規則と上述のREFにより最終的に複合表現は、指示対象に対応づけられる。但し、S1→B1、S2→B2である。
B1 定項に関する規則
kwz−bed(Cnτ)=k’wz−bed(Cnτ)k’∈Kont
B2 変項に関する規則
kwz−bed(Vnτ)=k(n, τ)
B1、B2は、定項、変項の外延を定める規則であり、B1は、指標<w, z>に依存するが、B2は、依存しない。
B3 挿入規則
kwz−bed(「S1(S2)」)=kwz−bed(S1)(kwz−bed(S2))
B4 等値規則
kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1=S2」)は真。
B5 論理記号に関する規則
kwz−bed(S)が偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「〜S」)は真。
kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も真の時、そしてその時に限り、kwz−bed (「S1⋀ S2」)は真。
kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1⋁S2」)は偽。
kwz−bed(S1)が偽かkwz−bed(S2)が真ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1→S2」)は真。
kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1S2」)は真。
B6 普遍、存在限量子に関する規則
すべてのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∀Vnτ(S)」)は真。但し、k(nx(n)) =df k(m) n≠m。
少なくとも一つのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∃Vnτ(S)」)は真。
B7 λ演算子に関する規則
kwz−bed(「λVnτ(S)」)の真偽は、次の関数により決まる。
f:x→k(nτx)wz−bed(S)。但し、あらゆるx ∈ DESτに対して適応される。
B8 内包、外延演算子に関する規則
内kwz−bed(「in(S)」)=kwz−bed(S)
外kwz−bed(「ex(S)」)=kwz−bed(S)(w, z)
B9 様相、時制演算子に関する規則
すべてのw’、z’に対して、k w’ z’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「□(S)」)は真。
あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Fut(S)」)は真。
あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Perf(S)」)は真。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
2.2.3.1 意味解釈モデル
最終的に複合表現が対応づけられる指示対象とは、Designat = REF x意味規則。ここでREF(Referenzpunkt)は、REF = 個体(E)x タイプ(T)x 可能世界x 時点(z)。尚、Löbnerは、個体x タイプをコンテキストとし、REF = K x W x Z(kwz)と書く。但し、時点間には「<」という順序関係がある。
2.2.3.2 意味規則
ILの統語規則に対応する意味規則とは、次のように規定されている。これらの規則と上述のREFにより最終的に複合表現は、指示対象に対応づけられる。但し、S1→B1、S2→B2である。
B1 定項に関する規則
kwz−bed(Cnτ)=k’wz−bed(Cnτ)k’∈Kont
B2 変項に関する規則
kwz−bed(Vnτ)=k(n, τ)
B1、B2は、定項、変項の外延を定める規則であり、B1は、指標<w, z>に依存するが、B2は、依存しない。
B3 挿入規則
kwz−bed(「S1(S2)」)=kwz−bed(S1)(kwz−bed(S2))
B4 等値規則
kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1=S2」)は真。
B5 論理記号に関する規則
kwz−bed(S)が偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「〜S」)は真。
kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も真の時、そしてその時に限り、kwz−bed (「S1⋀ S2」)は真。
kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1⋁S2」)は偽。
kwz−bed(S1)が偽かkwz−bed(S2)が真ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1→S2」)は真。
kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1S2」)は真。
B6 普遍、存在限量子に関する規則
すべてのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∀Vnτ(S)」)は真。但し、k(nx(n)) =df k(m) n≠m。
少なくとも一つのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∃Vnτ(S)」)は真。
B7 λ演算子に関する規則
kwz−bed(「λVnτ(S)」)の真偽は、次の関数により決まる。
f:x→k(nτx)wz−bed(S)。但し、あらゆるx ∈ DESτに対して適応される。
B8 内包、外延演算子に関する規則
内kwz−bed(「in(S)」)=kwz−bed(S)
外kwz−bed(「ex(S)」)=kwz−bed(S)(w, z)
B9 様相、時制演算子に関する規則
すべてのw’、z’に対して、k w’ z’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「□(S)」)は真。
あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Fut(S)」)は真。
あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Perf(S)」)は真。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察5
2.2.2 ILの統語規則
ILのそれぞれのタイプの基本記号から構成された有意表現を生成する統語規則とは、次のように規定されている。
S1 それぞれのタイプτに対して抵抗は無限に存在する。
C0τ, C1τ, C2τ,・・・∈Katτ
S2 それぞれのタイプτに対して変更は無限に存在する。
V0τ, V1τ, V2τ,・・・∈Katτ
S1とS2は、定項、変項の導入規則、Katは、Hauptkategorie。
S3 挿入規則
σ0(x,y)=df「x(y)」 Katτ1τ2Katτ1→Katτ2
S4 等値規則
σ1(x,y)= df「(x=y)」 Katτ, Katτ
S5 論理記号に関する規則
σ2(x)=df「(〜x)」 Kat t→Kat t
σ3(x, y)=df「(x ⋀ y)」
σ4(x, y)=df「(x ⋁ y)」
σ5(x, y)=df「x → y)」
σ6(x, y)=df「x y)」 以上Kat t, Kat t→Kat t
S6 普遍、存在限量子に関する規則
σ7(x, y)=df「∀x(y)」
σ8(x, y)=df「∃x(y)」 以上Varτ, Kat t→Kat t
S7 λ演算子に関する規則
σ9(x, y)=df「λx(y)」 Varτ1, Katτ2→Katτ1τ2
S8 内包、外延の演算子に関する規則
σ10(x, y)=df「in(x)」 Katτ→Kat sτ
σ11(x, y)=df「ex(x)」 Kat sτ→Katτ
S9 様相、時制演算子に関する規則
σ12(x, y)=df「□(x)」
σ13(x, y)=df「Fut(x)」
σ14(x, y)=df「Perf(x)」 以上 Kat t→Kat t
これらのILにおける統語規則には、それぞれに対応する形で意味規則が設けられている。ILにおける意味論とは、複合表現をこのような意味規則により解釈し、最終的にモデル理論に基づく指示対象(外延:Des = REF x 意味規則)に対応づける操作を施す。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
ILのそれぞれのタイプの基本記号から構成された有意表現を生成する統語規則とは、次のように規定されている。
S1 それぞれのタイプτに対して抵抗は無限に存在する。
C0τ, C1τ, C2τ,・・・∈Katτ
S2 それぞれのタイプτに対して変更は無限に存在する。
V0τ, V1τ, V2τ,・・・∈Katτ
S1とS2は、定項、変項の導入規則、Katは、Hauptkategorie。
S3 挿入規則
σ0(x,y)=df「x(y)」 Katτ1τ2Katτ1→Katτ2
S4 等値規則
σ1(x,y)= df「(x=y)」 Katτ, Katτ
S5 論理記号に関する規則
σ2(x)=df「(〜x)」 Kat t→Kat t
σ3(x, y)=df「(x ⋀ y)」
σ4(x, y)=df「(x ⋁ y)」
σ5(x, y)=df「x → y)」
σ6(x, y)=df「x y)」 以上Kat t, Kat t→Kat t
S6 普遍、存在限量子に関する規則
σ7(x, y)=df「∀x(y)」
σ8(x, y)=df「∃x(y)」 以上Varτ, Kat t→Kat t
S7 λ演算子に関する規則
σ9(x, y)=df「λx(y)」 Varτ1, Katτ2→Katτ1τ2
S8 内包、外延の演算子に関する規則
σ10(x, y)=df「in(x)」 Katτ→Kat sτ
σ11(x, y)=df「ex(x)」 Kat sτ→Katτ
S9 様相、時制演算子に関する規則
σ12(x, y)=df「□(x)」
σ13(x, y)=df「Fut(x)」
σ14(x, y)=df「Perf(x)」 以上 Kat t→Kat t
これらのILにおける統語規則には、それぞれに対応する形で意味規則が設けられている。ILにおける意味論とは、複合表現をこのような意味規則により解釈し、最終的にモデル理論に基づく指示対象(外延:Des = REF x 意味規則)に対応づける操作を施す。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察4
2.2 内包論理(IL)
モンタギューのILの基本的な特性は、高階の対象を扱うためにタイプ理論を導入し、これを様相論理と掛け合わせたものといえる。様相論理は、命題論理や述語論理に比べて、自然言語の表現に対する適用範囲が多少広げられた論理系で、必然性、可能性という話法の導入が見られる。
1.2.1 タイプと基本表現
範疇とタイプの対応は、次のように規定される関数fによる。
1 f(e)=e
2 f(t)=t
3 f(e)t)=s]e]]t
1は、e範疇がeタイプ(個体)に、2は、t範疇がtタイプ(真理値)に適応し、3は、「s(指標、可能世界wと時点zの対)からeへの関数の集合」から真理値への関数を表す。ILの基本表現とは、これらのタイプを含む定項と変項から構成されている。それぞれVar n,τ、Con n,τと記号化され、ILのτタイプのn番目の変項、定項を表している。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
モンタギューのILの基本的な特性は、高階の対象を扱うためにタイプ理論を導入し、これを様相論理と掛け合わせたものといえる。様相論理は、命題論理や述語論理に比べて、自然言語の表現に対する適用範囲が多少広げられた論理系で、必然性、可能性という話法の導入が見られる。
1.2.1 タイプと基本表現
範疇とタイプの対応は、次のように規定される関数fによる。
1 f(e)=e
2 f(t)=t
3 f(e)t)=s]e]]t
1は、e範疇がeタイプ(個体)に、2は、t範疇がtタイプ(真理値)に適応し、3は、「s(指標、可能世界wと時点zの対)からeへの関数の集合」から真理値への関数を表す。ILの基本表現とは、これらのタイプを含む定項と変項から構成されている。それぞれVar n,τ、Con n,τと記号化され、ILのτタイプのn番目の変項、定項を表している。
花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より