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2020年08月28日

Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察6

2.2.3 ILの意味論

2.2.3.1 意味解釈モデル

 最終的に複合表現が対応づけられる指示対象とは、Designat = REF x意味規則。ここでREF(Referenzpunkt)は、REF = 個体(E)x タイプ(T)x 可能世界x 時点(z)。尚、Löbnerは、個体x タイプをコンテキストとし、REF = K x W x Z(kwz)と書く。但し、時点間には「<」という順序関係がある。

2.2.3.2 意味規則

 ILの統語規則に対応する意味規則とは、次のように規定されている。これらの規則と上述のREFにより最終的に複合表現は、指示対象に対応づけられる。但し、S1→B1、S2→B2である。

B1 定項に関する規則 
 kwz−bed(Cnτ)=k’wz−bed(Cnτ)k’∈Kont

B2 変項に関する規則 
 kwz−bed(Vnτ)=k(n, τ)

 B1、B2は、定項、変項の外延を定める規則であり、B1は、指標<w, z>に依存するが、B2は、依存しない。

B3 挿入規則
 kwz−bed(「S1(S2)」)=kwz−bed(S1)(kwz−bed(S2))
 
B4 等値規則
 kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1=S2」)は真。

B5 論理記号に関する規則
 kwz−bed(S)が偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「〜S」)は真。
 kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も真の時、そしてその時に限り、kwz−bed  (「S1⋀ S2」)は真。
 kwz−bed(S1)もkwz−bed(S2)も偽の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「S1⋁S2」)は偽。
 kwz−bed(S1)が偽かkwz−bed(S2)が真ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1→S2」)は真。
 kwz−bed(S1)=kwz−bed(S2)ならば、その時に限り、kwz−bed(「S1S2」)は真。

B6 普遍、存在限量子に関する規則
 すべてのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∀Vnτ(S)」)は真。但し、k(nx(n)) =df k(m) n≠m。

 少なくとも一つのx∈DESτに対して、k(nτx)wz−bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「∃Vnτ(S)」)は真。

B7 λ演算子に関する規則
 kwz−bed(「λVnτ(S)」)の真偽は、次の関数により決まる。
 f:x→k(nτx)wz−bed(S)。但し、あらゆるx ∈ DESτに対して適応される。

B8 内包、外延演算子に関する規則
 内kwz−bed(「in(S)」)=kwz−bed(S)
 外kwz−bed(「ex(S)」)=kwz−bed(S)(w, z)

B9 様相、時制演算子に関する規則
 すべてのw’、z’に対して、k w’ z’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「□(S)」)は真。
 あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Fut(S)」)は真。
 あるz’> zに対して、kwz’ −bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz−bed(「Perf(S)」)は真。

花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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