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2020年08月29日

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える8

A 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能は@直観である。 
B 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能は@直観である。
C 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能は@直観である。 
D 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能は@直観である。  
E 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、人工知能は@直観である。   
   
結果

 言語の認知の出力「現実の喪失と獲得」が情報の認知の入力となり、まず何かに反応する。次に、その反応が情報の認知で新情報となり、この場面では問題解決に辿り着き、「現実の喪失と獲得」が「直観と平衡」からなる組みと相互に作用する。

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える7

【連想分析2】
表3 情報の認知

A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能1
B 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能1
C 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能1
D 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能1
E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能1

分析例
(1)“Gehirn”執筆時のG.ベンの脳の活動を「直観と平衡」という組からなると考えている。「現実の喪失と獲得」という極性が後の二重生活の中でも金言として二律背反を支えているからである。
(2)情報の認知1(感覚情報) 
感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の反応である。
(3)情報の認知2(記憶と学習)
外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。
(4)情報の認知3(計画、問題解決)  
受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。   
(5)人工知能1 執筆脳を「直観と平衡」としているため、@直観、A平衡、Bその他。

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える6

分析例
(1)病理学の研究所でレネは死体を処理していて、疲れ果てている。
(2)文法1 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
(3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 喜怒哀楽、意味3 振舞い1直示と2隠喩、意味4直観 1あり2なし。  

テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「現実の喪失と獲得」にする。た。 
(2)文法1のテンスとアスペクトや意味2の五感には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「現実の喪失と獲得」を次のように特定する。
 
A異化と人の最小価値=テンスは過去形、視覚、哀、直示、直観なし。   
B異化と人の最小価値=テンスは現在形+過去形、視覚+触覚、哀、直示、直観あり。     
C異化と人の最小価値=テンスは現在形+過去形、視覚、楽、直示、直観あり。
D異化と人の最小価値=テンスは過去形、視覚、楽、直示、直観あり。
E異化と人の最小価値=テンスは過去形、触覚、楽、直示、直観あり。 
 
結果 上記場面は、「現実の喪失と獲得」という購読脳の条件を満たしている。

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える5

【連想分析1】
表2 言語の認知(文法と意味)

A Rönne, ein junger Arzt, der früher viel seziert hatte, fuhr durch Süddeutschland dem Norden zu. Er hatte die letzten Monate tatenlos verbracht; er war zwei Jahre lang an einem pathologischen Institut angestellt gewesen, das bedeutet, es waren ungefähr zweitausend Leichen ohne Besinnen durch seine Hände gegangen, und das hatte ihn in einer merkwürdigen und ungeklärten Weisen erschöpft. 
文法2 2、意味1 1、意味2 3、意味3 2、意味4 1

B Jetzt saß er auf einem Eckplatz und sah in die Fahrt: es geht also durch Weinland, besprach er sich, ziemlich flaches, vorbei an Scharlachfeldern, die rauchen von Mohn. Es ist nicht allzu heiß; ein Blau flutet durch den Himmel, feucht und aufgeweht von Ufern; an Rosen ist jedes Haus gelehnt, und manches ganz versunken.
文法2 1+2、意味1 1+4、意味2 3、意味3 1、意味4 1

C Ich will mir ein Buch kaufen und einen Stift; ich will mir jetzt möglichst vieles aufschreiben, damit nicht alles so herunterfließt. So viele Jahre lebte ich, und alles ist versunken. Als ich anfing, blieb es bei mir? Ich weiß es nicht mehr. 文法2 1+2、意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

D Dann lagen in vielen Tunnel die Augen auf dem Sprung, das Licht wieder aufzufangen; Männer arbeiteten im Heu; Brücken aus Holz, Brücken aus Stein; eine Stadt und ein Wagen über Berg vor ein Haus.
文法2 2、意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

E Veranden, Hallen und Remisen, auf der Höhe eines Gebirges, in einen Wald gebaut - hier wollte Rönne den Chefarzt ein paar Wochen vertreten. Das Leben ist so allmächtig, dachte er, diese Hand wird es nicht unterwühlen können, und sah seine Rechte an. 文法2 2、意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える4

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。 

【データベースの作成】
表1 “Gehirn”のデータベースのカラム

文法1 態 能動、受動、使役。
文法2 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法3 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 喜怒哀楽と記事なし。 
意味3 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
意味4 直観 あり、なし
医学情報 G.ベンとの接点 受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「現実の喪失と獲得」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる
記憶 短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化またはその他の反応。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報は、学習につながるためカテゴリー化する。記憶の型として、短期、作業記憶、長期を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 直観と平衡 エキスパートシステム 直観は、証明なしに物事の真相を直ちに感じ知ること、平衡は、つり合いがとれていること。

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より




ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える3

 “Gehirn”の購読脳は、G.ベンにとって唯一の原理といえる極性、即ち「現実の喪失と獲得」にする。個人は、過去を失い、新しいものを獲得して次第に新たな自分を保持していく。 
 大脳皮質と中脳、橋、延髄(これだけであればHirnstamm)さらに間脳、小脳、終脳も含む脳幹(Stammhirn)は、G.ベンのエッセイにしばしば現れる用語である。皮質(Hirn)については、文字通り大脳皮質として考え、感覚、記憶、連想の機能のための機能中枢とした。一方、発生史では古い部分になる脳幹(Stammhirn)と情動、性生活、運動能力が機能の関係になる。そして、こうした生理学の認識は、深層心理と結びつく。
 執筆脳は、「直観と平衡」にする。生きるためにそして現実に勝利するために、G.ベンは嘘を必要とした。ニーチェ同様、嘘は、ベンにとって生活を輝かせ美化し、それをまずまずとする直観以外の何物でもなかった。そこで購読脳と執筆脳を合わせたシナジーのメタファーは、「ゴットフリート・ベンと二律背反」にする。レンネ体験を芸術に置き換えることにより、沼地から自分を引き出す芸術家としてベンの存在は、二律背反になる。 

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える2

2 ゴットフリート・ベンの「脳」のLのストーリー

 レンネ小説群について語るとき、この医師は、適した文体の手段や体験した語りの助けを借りて瞬間に見るものだけをことばで伝えようとした。   
 印象主義者のもとで意識された雰囲気の客観化は、レンネの場合、視覚を通して観察された主観の孤立である。時空の要素が彼の現実の経験には欠けている。視覚の世界は、レンネにとって彼自身の過去同様に理解不能である。相談するとかできるだけ多く書くことは、意図的な思考の中で印象を客観化し結びつける彼の試みである。
 “Gehirn”の冒頭で読者に期待を呼び覚ます。レンネは、若き医師で解剖が任務であった。南ドイツを通って北へ向かい、数か月間何もせずに過ごした。2年間病理学の研究所に勤務し、およそ二千の死体が思慮なく彼の手により消えていった。レンネは、疲れ果てた。同僚たちに自由にやらせ、彼は自分の環境に留まった。衛生技術は、医者の治療を補充する。レンネは、体の一部の面倒を見る一方、病人の個人的な運命は問わなかった。医者と患者の会話の代わりに、連想、イメージが可能な思考世界から出現した。回診の際、レンネは、月並みの質問は控えた。Fackert(1985)によると、レンネの体験は、精神医学者G.ベンの体験でもある。   

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える1

1 はじめに

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。
 執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みとする。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、トーマス・マン、魯迅、森鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に加えておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけLの分析のために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーは、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いのトレーニングをするとよい。
 なお、メゾのデータを束ねてリスクの予測とか何かの観察ができれば、言語分析や翻訳そして検定に基づいたミクロと医学も含めたマクロを含む広義の意味でシナジーのメタファーが作成できる。

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より

2020年08月28日

Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察25

参考文献

Allwood, J et al Logic in Linguistics, 1977(日常言語の論理学 産業図書 1979)
Benett, M A variation and extension of a Montague fragement of English, in Partee (ed), Montague Grammar, 119-163, 1976
Chomsky, N On the generative enterprise, 1982, 生成文法の企て「言語」1984.9−1985.9
Cooper, R and Parsons, T Montague Grammar, generative semantics and interpretive semantics, in Partee (ed), Montague Grammar, 311-362, 1976
Engel, U und Schumacher, H Kleines Valenz lexikon deutscher Verben, 1976
Engel, U Syntax der deutschen Gegenwartsprache, 1977
Engelen, B Untersuchung zu Satzbauplan und Wortfeld in der geschriebenen deutschen Sprache der Gegenwart, 1975
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ 推論といえるのか? 新風舎. 2005
花村嘉英 計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る ブイツーソリューション. 2022
Helbig, G und Schenkel, W Wörterbuch zur Valenz und Distribution deutscher Verben, 1969
池谷彰モンタギュー文法.英語青年6. P.8-10. 1982.
井口省吾, 山科正明, 白井賢一郎, 角道正佳, 西田豊明, 風斗 博之 モンタギュー意味論入門, 三修社, 1987(Dowty, Wall and Peters (1981)からの翻訳).
金子亨 法・様相などについて ドイツ文学74, 1−10 1985
Lewis, D General Semantics, in Partee (ed), Montague Grammar, 1-50, 1976
Löbner, S einführung in die Montague Grammatik, Gunter Narr, 1976
------- Intensionale Verben und Funktionalbegriffe, 1976
Martin, R,M Why I am not a Montague Grammarian, Theoretical Linguistics, 2, 147-157, 1975
Montague, R Universal Grammar, in Thomason (ed.), Formal Philosophy, 222-246, 1974
------- The proper treatment of quantification in ordinary English, in Thomason (ed.), Formal Philosophy, 1974, 247-270
Motsch, W et al Grundzügeeiner deutschen Grammatik, 1981
長尾真、淵一博 論理と意味 岩波書店 1983
Neugeborn, W Zur Analyse von Sätzen mit finiter Verbform + Infinitiv, in Schumacher (Hrsg.), Untersuchungen zur Verbvalenz, 1976, 66-75
野本和幸 フレーゲの言語哲学 勁草書房 1986
Partee, B Montague Grammar and Transformational grammar, in Linguistic Inquiry 6, 203-300 , 1975
------- Some transformational extension of Montague Grammar, in Partee (ed), Montague Grammar, 1976, 51-76
Reinwein, J Modlverb Syntax, in Studien zur deutschen Grammatik 6, 1977
論理文法研究会編 様相論理学 上智大学 1989
坂井秀寿 日本語の文法と論理 勁草書房 1985
白井賢一郎 形式意味論入門 産業図書 1985
Thomason, R  Introductions, in Thomason(ed.), Formal Philosophy, 1-69, 1974
------ Some Extensions of Montague Grammar, in Partee (ed), Montague Grammar, 77-118, 1976
内田種臣 様相と論理 早稲田大出版会 1979

花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察24

 (20)、(24)、(25)のもう一つの読み、即ち「あるプロセスの始まり、終了」を規定する樹系図及びILへの翻訳式は、モンタギューのオリジナルの理論から規則づけることはできない。
 この結果は、予期されたものである。なぜならば、様相因子が主語内的、主語外的とは、生成意味論的な手法を改案し、表層統語レベルでの根拠づけを果たすために設けられた分析手段であり、表層に現れた言語現象に見られる曖昧性を取り、真理値の必要十分条件を定めるために設定されたモンタギューの内包論理に基づく意味解釈とは、本質的に異なるからである。
 しかし、この問題を解決する上で見込みがないわけではない。例えば、Cooper(1976)には、生成意味論とモンタギューの文法理論との折衷安が示されており、例として、文に現れる複数の読み(意図性、プロセスの変化)は、統語的に曖昧と考えず、つまり、単一の統語分析を考え、あくまで意味解釈の過程で厳密に分析されるべき問題となっている。
 この論文は、モンタギューの文法理論に対して決して否定的な立場にあるわけではない。言語学の目的の一つに、「ことばの意味に対する説明上妥当な記述を施すこと」というものがある限り、モンタギュー流の厳密な手法に基づく意味解釈の規定とは、それなりに意義があるからである。

花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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