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2020年08月29日

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える3

 “Gehirn”の購読脳は、G.ベンにとって唯一の原理といえる極性、即ち「現実の喪失と獲得」にする。個人は、過去を失い、新しいものを獲得して次第に新たな自分を保持していく。 
 大脳皮質と中脳、橋、延髄(これだけであればHirnstamm)さらに間脳、小脳、終脳も含む脳幹(Stammhirn)は、G.ベンのエッセイにしばしば現れる用語である。皮質(Hirn)については、文字通り大脳皮質として考え、感覚、記憶、連想の機能のための機能中枢とした。一方、発生史では古い部分になる脳幹(Stammhirn)と情動、性生活、運動能力が機能の関係になる。そして、こうした生理学の認識は、深層心理と結びつく。
 執筆脳は、「直観と平衡」にする。生きるためにそして現実に勝利するために、G.ベンは嘘を必要とした。ニーチェ同様、嘘は、ベンにとって生活を輝かせ美化し、それをまずまずとする直観以外の何物でもなかった。そこで購読脳と執筆脳を合わせたシナジーのメタファーは、「ゴットフリート・ベンと二律背反」にする。レンネ体験を芸術に置き換えることにより、沼地から自分を引き出す芸術家としてベンの存在は、二律背反になる。 

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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