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2020年08月29日

ゴットフリート・ベンの“Gehirn”で執筆脳を考える2

2 ゴットフリート・ベンの「脳」のLのストーリー

 レンネ小説群について語るとき、この医師は、適した文体の手段や体験した語りの助けを借りて瞬間に見るものだけをことばで伝えようとした。   
 印象主義者のもとで意識された雰囲気の客観化は、レンネの場合、視覚を通して観察された主観の孤立である。時空の要素が彼の現実の経験には欠けている。視覚の世界は、レンネにとって彼自身の過去同様に理解不能である。相談するとかできるだけ多く書くことは、意図的な思考の中で印象を客観化し結びつける彼の試みである。
 “Gehirn”の冒頭で読者に期待を呼び覚ます。レンネは、若き医師で解剖が任務であった。南ドイツを通って北へ向かい、数か月間何もせずに過ごした。2年間病理学の研究所に勤務し、およそ二千の死体が思慮なく彼の手により消えていった。レンネは、疲れ果てた。同僚たちに自由にやらせ、彼は自分の環境に留まった。衛生技術は、医者の治療を補充する。レンネは、体の一部の面倒を見る一方、病人の個人的な運命は問わなかった。医者と患者の会話の代わりに、連想、イメージが可能な思考世界から出現した。回診の際、レンネは、月並みの質問は控えた。Fackert(1985)によると、レンネの体験は、精神医学者G.ベンの体験でもある。   

花村嘉英(2020)「ゴットフリート・ベンの“Gehirn”の執筆脳について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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