2008年11月05日
産後の精神障害とは?
産後精神障害とは?
出産後に出現する精神障害は、単一で特異的なものではなく、
うつ状態、幻覚妄想、錯乱、せん妄状態など、
多彩であり、また変動し易い。
なかでも、うつ状態が最も高率に出現し、
例えば”マタニティ・ブルー”は、
過剰な情緒や憂うつ感、涙もろさ、気分が変わりやすい、
などの情緒不安定が特徴で、産後数日間、
およそ5日目をピークにして、10−50%程度とかなり、
高頻度に出現する一過性の情動障害である。
一方、産後うつ病は、10−15%程度にみられ、
その大半は産後2〜4週に発症する。
これは、抑うつ気分や不安、精神運動抑制、
倦怠感など定型的な、うつ病症状を主とするが、
悲観的、自責的傾向や強い罪悪感、幻覚妄想など、
非定型精神病像を伴うことがよくある。
時には衝動的な自殺、母子心中などもあるので要注意である。
また、遷延化や重症化、母子関係、
乳幼児の神経発達上への影響などもあるので、
早期の治療が大切である。
その他、産後精神病は、500〜1,000回の分娩に1回程度に、
産後2週間以内に急性に発症して、錯乱や幻覚妄想など、
激しい精神症状がでるもので、産後うつ病からの移行もある。
また、感情障害やパニック障害など、
妊娠前に罹患した精神病の再発や、分娩後の
甲状腺機能異常、脳器質性症候群など、
身体疾患を伴って、精神症状が出る場合もある。
産後精神障害の背景には、
出産前後の神経内分泌学的変化に加えて、
性格や夫婦不和など心理、
社会的要因の関与も誘因と思われる。
一般には、薬物など治療で経過がよい場合が多いが、
再発率も高いので、特に以後の妊娠や出産の時には、
注意が必要である。
夫婦間の不和など、家庭での葛藤状況は、
病状や予後に悪影響をおよぼすので、
その理解や改善に努め、患者が安心し療養できる、
支援体制や環境調整を工夫することが大切である。
また自殺の危険性や、乳幼児の安全については、
いつでも念頭に置く必要がある。
自分が悪くなくても、襲われたり、嫌なことが多い。