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空き巣に入った泥棒を捕まえる過程で泥棒を殴ったことを、正当防衛ではなく暴行罪にあたるという韓国の裁判所の判決がいま、韓国で話題になっています。いったい、どんな事件なのか、そして韓国で正当防衛と認められる行為の範囲とは？

2014年3月8日、韓国で発生した事件です。

21歳のAさんは夜中の3時に家に帰りました。すると、家には空き巣に入った泥棒がいました。祖母・母と暮らしているAさんは激闘の末、55歳の泥棒を捕まえ、警察に通報しました。
しかし、それからが問題。泥棒は脳死状態に陥り、Aさんは暴行容疑で起訴されました。

泥棒は事件後7ヶ月目の今も意識不明の状態で、裁判では、泥棒に暴行を加えたとしてAさんに懲役1年6カ月の実刑判決が下されました。



Aさんの行為が正当防衛ではないと判断されたからです。

Aさんが泥棒を捕まえるときにしたことをまとめると以下のようになります。
　１）泥棒の頭を足で蹴る
　２）リビングにあったアルミの洗濯物干しで殴る
　３）泥棒の意識がなくなるまで暴行を加える


韓国では、正当防衛が成立する条件を法律で厳しく定めています。法律的な言葉ではいまいち実感がわかないので、韓国の検察庁の広報資料を参考にしてまとめてみました。

１）防御行為でなければならない。
　　- 加害者より大きな暴力を使ってはいけない
　　- 相手の傷害の程度が自分よりひどくてはいけない
２）相手より先に暴力を振るってはいけない
　　- 相手の威嚇・挑発に対し、先手を打っては正当防衛になりません。
３）相手が暴力行使をやめた後、相手に暴力を使ってはいけない。
４）相手が凶器を持っていない限り、凶器又は危険な物で対応してはいけない。

Aさんは20代、泥棒は50代。泥棒は凶器を持っていなかったのに対し、Aさんはアルミの洗濯物干しを使った点などから、Aさんの行為は正当防衛ではないと判断されたそうです。




韓国国内の反応は、裁判所の判決とは反対の意見が絶対多数を占めています。そのうち人々の共感を得ている代表的なものを以下にまとめました。

　１）裁判長の家に泥棒が入っても同じ判決を下すのだろうか。
　２）泥棒が何歳で凶器を持っているかどうかを確認しながら自分の家を守らなければいけないのか。
　３）泥棒に入られたら何もできないんだ。今から戸締り確認しに行くわ。
　４）アメリカでは私有地に無断で侵入した人に所有者が銃で発砲しても正当防衛と認められるそうだ。


この事件の判決についてはいろいろと意見が分かれそうですが、韓国内では「正当防衛」の基準が厳しすぎるとの意見が多数派のようです。アメリカでは正当防衛とみなす行為の解釈が甘すぎだと言われているらしいですが、韓国では正当防衛の基準が厳しすぎだと話題になっています。

Aさんの使ったという「アルミの洗濯物干し」のことですが、韓国では一般家庭でよく使われているものですね。アルミの細いパイプで作られていて、とても凶器と言えるものではないと思います。洗濯物がちょっと多かったりしたら折れ曲がることもあるもろいものですから。

だとしても、人を意識不明の脳死状態にまでしてしまっては、理由はともかく罪を逃れにくい「別件」の話として扱われるかもしれません。今回の判決は1審の判決だそうです。今後どうなるのでしょうか。