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2024年08月09日

新しい扉を開く@短編小説





田舎の小さな町、そこに暮らす32歳のサラリーマン、友永真一は今日も会社に出勤した。毎日同じような日課を繰り返す平凡な日々だった。

「前を向いて、前に進もう。過去は変えられないけれど、未来は自分で切り開いていける」

真一は通勤電車の中で繰り返し自分に言い聞かせていた。数年前、会社での昇進をめぐる競争に敗れ、大きな挫折を味わった。以来、前に進もうとしても、あの経験が心の奥底に引っかかり、なかなか前に踏み出せずにいた。

会社に到着すると、同僚たちが賑やかに集まっていた。昇進の話題で盛り上がっている様子だ。真一はそっと近づき、話に加わった。

「おお、真一! 君も昇進狙っているのか?」
「ええ、ぜひチャレンジしてみたいと思っています」

真一は言葉を濁しながら答えた。しかし内心では、またあの失敗を繰り返したくないという不安感が募っていた。

帰宅後、真一はひとりソファに座りこんでいた。テレビのニュースを聞きながら、自分の人生を振り返る。あの挫折以来、安全な道を歩み続けてきた。でも本当に幸せだったのだろうか。

「前を向いて、前に進もう。過去は変えられないけれど、未来は自分で切り開いていける」

もう一度、その言葉を心に刻む。そうだ、ここで立ち止まっていても何も始まらない。新しい扉を開く勇気を持たなければ。

真一は立ち上がり、書斎に向かった。そして、上司への昇進の申請書を書き始めた。この一歩を踏み出すことが、新しい人生への扉を開くきっかけになるはずだ。

翌日、真一は上司を訪ね、申請書を提出した。上司は真一の決意に驚きつつ、快く受け入れてくれた。

「よくぞ決心したな。この数年の頑張りを評価している。期待しているぞ」

上司の言葉に後押しされ、真一は前に進む決意を新たにした。

その後の数か月、真一は昇進に向けて全力で取り組んだ。長時間労働や厳しい上司との折り合いなど、困難な状況も多かった。しかし、もはや過去の失敗を引きずることはなかった。

「前を向いて、前に進もう。未来は自分で切り開くことができる」

その言葉が、真一の行動を後押ししていた。

そして、ついに真一の努力が実を結び、見事に昇進を勝ち取ったのである。

新しい役職を手に入れた喜びと達成感に包まれながら、真一は自分自身を励ます。

「これからが本当の始まりだ。新しい扉を開く勇気を持ち続けよう」

そう決意した真一は、胸を張って前に進んでいった。
posted by こーら at 07:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説
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