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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2024年04月10日

待ってました! 「つかこうへい正伝U」 長谷川康夫





「初級革命講座 飛龍伝」を

初めて観たときの衝撃は

未だに覚えてる。

機動隊が元運動家に言う

「頼むからちゃんと挫折してくれ。

じゃないと、お前を弾圧した俺らが浮かばれない」の

セリフに、身体が震えた。

感動と一緒に笑いがこみ上げる、なんて

経験を初めて味わった。



本作はそんな僕にとって待望のパート2だ。

396ページ、読み進めるのが楽しくて

仕方なく、一気に半日で読了。

付箋でいっぱいになったが、ネタバレに

なるのも申し訳ないので、少しだけ引用。



つかこうへいとはどんな人だったのか。

風間杜夫は語る。

「なんせあの人は、どうすれば役者が輝いて

見えるかを見抜く天才だったからね。

僕らとしては、ただ、つかさんを気持ちよく

させて、いい芝居を作ってもらいたいだけ

なんだよな。

結局それが自分に返って来るわけだから」



そんなつかは、芝居について

「誰が誰をどう思ったか、どれだけ愛したか。

どれだけ憎んだか。そしてその両方だったか。

大事なのはそれだけ。芝居なんて、これさえ

あればいいんだ」



いやー、かっこいい。






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2024年04月09日

NHKスペシャル  「Last Days ー坂本龍一最後の日々ー」


亡くなる二日前までの映像が
切なすぎるドキュメンタリー。

当たり前のことだけど
「誰でも絶対に死ぬんだな」と
この頃しみじみそう思う。
番組でも彼が言ってる
「どう逝くかですよね」
うーん、ほんとその通りなんだよね。

大腸がんでのたうち回ってるとき、
少しでも痛くない体勢はないかと
ベッドで何百回と体を動かした。
そのとき、「ああ、人間って
切羽詰まったら、高尚なことなんて
考えないんだ。野生で動くんだ」と思った。

番組では教授の残した日記を軸に
最後の日々までを淡々と描く。
僕とはもちろん雲泥の差で
音楽を、芸術を、人生をきちんと
まっとうしようという意思と
知性が彼にはあふれてる。
でも時折、ストレートに「チクショウ」と
いった声を文字に残していることに
なぜかほっとし、涙が出る。

生きてられることの奇跡。
きちんと噛みしめろ。
指導してきた東北ユースオケの定演を
ベッドの中で指揮する教授を
見て、泣きながら自分に言い聞かせた。




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二度目の読了 「酔いがさめたら、うちに帰ろう」  鴨志田穣



自己責任という言葉が嫌いだ。
大抵の場合、上から目線の奴が弱ってる
人に吐くからだ。
'
著者は漫画家の西原理恵子さんの元夫で
戦場カメラマン。
育った環境、戦場での悲惨な経験などが
トラウマとなり、アル中になった。
本作は闘病記であり、同じように入院した
患者たちの観察記にも
なっている。
'
このラインの名作に、中島らもの
「いつかどこかのバーで」があるが、
比べるとこちらのほうが軽く情けなく、より私小説的だ。
三か月酒を断つ。寿司屋に入る。
我慢してお茶を飲み、寿司でお腹一杯になる。
最後に大将がこれどうぞと小鉢を差し出す。
奈良漬け
だった。好物だったので一気にかじった。
ここからは少し長くなるが本文をひきます。
'
初めて気がついた。
奈良漬けとはなんと酒の香りと味がするのだろうか。
少し怖気づいたものの、すべて平らげてしまった。
頭と体がぼうとしてくるのがわかる。
(中略)勘定を済ませ、外に出ると、足が自然に
コンビニに向かっていた。
気がつくと手にウォッカを持っている。
「うわっ」とびっくりして、あわてて元に戻すも、
「ノンアルコールビールならいいかも」
三本を手に取り、成分表を見ると
“アルコール度〇・五パーセント”と書かれている。
「平気さ、これくらい」
さっそくコンビニの前で一本目を空けた。
「あーあ、始まっちゃった」
'
……バカだねぇ、ほんと。でもなんか憎めない。
著者の文章の魅力はそこにある。
もちろんアル中を擁護しているわけではない。
でも小説はダメな人間を描いているほうがとても響く。
少なくとも僕には。
同じように思ってくれる方は、ぜひご一読ください。
'




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2024年04月05日

情熱大陸  「ウクライナ国立バレエ芸術監督・寺田宜弘」



知らなかった。ウクライナバレエ

団の監督が日本人だったなんて。

寺田さんは少年時代からこの地で

バレエを学びソリストしても活躍していた。

そして日本人で初めて芸術監督になった。



戦時下の今でも週に4回バレエとオペラの

公演をやっている。

ウクライナの人々は現実を忘れるひとときとして

このバレエ団を愛している。



戦禍に揺れる国にあえてとどまり、

バレエの火を灯し続ける団員と寺田さん。

観ているうちに、「頑張れ、頑張れ」と

思わずテレビに向かってつぶやいていた。



芸術の本当の凄さ、大切さを

寺田さんから教えてもらった。

「頑張れ、ウクライナ」





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ネトフリ 「アメリカン・ファクトリー」


秀逸なドキュメンタリー。
閉鎖したアメリカの工場を
中国企業が買う。
多くの雇用が生まれ街は大歓迎
ムードだったが、米中の働き方の
違いで次第にトラブルが。

映画は淡々とお互いの国の労働者の
考え方を、クールに描いていく。
それだけに両者の違いが浮きぼりになる。
同じ日本人同士でも一緒に働くと
なるといろいろあるのに、国が違えば
さらに難しいよね。

第92回アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞。





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2024年04月01日

うーん、これは無理があるなぁ 「オッペンハイマー」


ノーラン監督の作品はこれまで
なぜか食指が動かず本作が初。
感想を一言でいえば、寅さんの名台詞
「てめぇさしずめインテリだな」

わかりにくさは予習を相当したので
クリア。
映画は、天才科学者の光と闇にスポットを当て
時代が変われば世間の評価がガラリと
変わること、核の虚しさ、無意味さ、
「一人を殺せば殺人だが、百万人を殺せば
英雄である」の怖ろしさを描こうと
しているのだと思う。

だからゆえ、なるべく社会や政治的背景を
省き、オッペンハイマーに寄せたのも
理解はできる。
後半は、サリエリとモーツァルトを彷彿と
させる対比も有りだろう。

けれどことは原子爆弾だ。
政治的駆け引きの中ですべて行われた大惨事、愚行を
天才の内省だけで追いかけるのは、やはり片落ち
だろう。



せめてパート1,2と分けてもっと歴史も含め
綿密に描いて欲しかったなぁ。






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2024年03月30日

フードフォトグラファー 石丸直人(46歳)にWOW


情熱大陸で初めて知ったけど、
素晴らしかった。
助手もつけずひとり最低限の
機材で現場へ向かう。

食材をこの子たちと呼び
彼らの声を聞く。
石丸さんが変わったのは、
あるパティシエから、スィーツを撮ったとき
「キレイだけど美味しそうじゃない」と
言われたのがきっかけ。

最初は意味がわからなかったが、
フレンチのシェフ、ピエールガニェールの
写真集を見て開眼。
その本を手本に石丸流を構築していく。
以来、ゴディバ、マクドナルド、ドミノピザや
レディーボーデンなどを始め多くのクライアントが
彼にオーダーをするように。

石丸の作品は、「音が聴こえる」
「食べ物が動いて見える」「舌触りを感じる」という、
"美味しい"評価を受けている。

これ以上は写真を見てもらうのが一番なので
彼のHPアドレスを載っけまーす。




2024年03月26日

50年振りのありがとう!


15歳だった。
初めて訪れた彼のねぐらは
倉庫みたいでコンクリート
打ちっぱなしだった。

名前はジュンちゃん。
板金工をやってた。
彼は言った。
「お前、映画好きらしいけど、田中登監督の
人妻集団暴行致死事件って見たか」
「いえ」
「じゃあ、(秘)色情めす市場は?」
「それってポルノ映画でしょ。そんなの
見ないっすよ」
「バーカ、お前はわかってないな。
ポルノにもいい映画はあるんだよ」

早速観に行った。
凄い作品で衝撃を受けた。
カルチャーは、もっと幅広いって教えてくれた。
「去年ジュンちゃんが君に会いたいって言ってたよ」
伝えてくれたのは、今日一緒に飲んでた同級生のFさん。
昔のシーンが蘇った。

すぐにタクシー飛ばして会いに行った。 
玄関入った途端、彼は思い出してくれた。
僕は言った。
「ジュンちゃんがポルノの良さを教えてくれた。
あれが映画を作る原点になった」
彼は返した。
「マジで?……泣くよ」

僕は静かに頭を下げたあと、気づいた。
あれから50年経ってた。
あはは。呆れるね。






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2024年03月20日

憧れのひと 「ショーケン 天才と狂気」 大下英治


萩原健一さんにオファーをしかけた

ことがある。

企画していた映画の主役に

お願いしようと思ったのだ。

けれどキャスティングの責任者から

「彼が出るのは自分は降りる。トラブルのは

目に見えてるので」と断られ、諦めた。



現場で突然切れる、自分の演技アイデアを

押し付ける、監督以上の演出を他の俳優たちに

行う、などそのときにもいろんな話を聞いたが、

この本を読んで、同じような場面がいくつも

出てくるので納得した。



ドラマ「傷だらけの天使」とLP「熱狂雷舞」が

今の僕の3割ぐらいを作っているので、

ショーケンは彼がどんな人であれ、憧れの

存在だ。

誰よりもナイーブで尊大で、小心で大胆で

綿密で杜撰で、無愛想で人たらしで、と

ありとあらゆる矛盾を抱えたスターは

僕にとって唯一無二。



でも読後つくづく思う。

企画した映画は頓挫してしまったので、

もしショーケンの出演が決まっていたら……。

あー、考えただけで足が震える。






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2024年03月16日

三國清三シェフに乾杯!

NHK最後の講義。
貧しい漁村で生まれ中卒で
米問屋の丁稚になった少年が
世界の料理人になるまでの
道のりを明るく語るシェフ。

三國さんの本はこれまで読んで
きたので、その半生は知ってましたが、
受講生に料理を振る舞う姿を
見て、改めてかっこいいなと感激。

「志を高く持ち、やるべきことを
コツコツとやっていく」

母の教えを70になった今でも心に刻み、
カウンター8席ほどの店を作り
自分ひとりで即興の料理を振る舞うことが
新たな夢だそうだ。

オレもまだまだ64。
のんびりやるには、まだ早いね。






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