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2024年07月27日
Nulkaはぬるかった?
■電波妨害弾1型は角度欺瞞と距離欺瞞を行う
■距離欺瞞を行えるEJは画期的
■将来的にはNulkaのような動力付きEJが主流となるだろう
お暑うございます(^^)
先日、wikipediaの「電波妨害弾1型」の記述を加筆・修正しました。余り分かっていない部分を削除し、新たに分かった部分を加えています。
電波妨害弾1型(wikipedia)
電波妨害弾1型は自艦のレーダーやESMの情報を元に相手のミサイルに対して距離欺瞞を実施します。これによって相手ミサイルのアクティブレーダーのレンジゲート内に偽目標を出現させ、電波妨害弾へ追尾転移させます。
アクティブレーダーのレンジゲートと電波妨害弾の位置
イラスト画像引用元: https://www.ac-illust.com/
簡単な図を作ってみました。対艦ミサイルはアクティブレーダーで目標艦を追尾しますが、その際に目標艦との距離をベースとしてレンジゲート(黄色部分)を設定します。ミサイルから見てこの部分に入っているものを目標として認識し、入っていないものを無視します。
電波妨害弾は妨害波を遅延させて発信することにより、ミサイルから見た距離を目標艦との距離と等しくなるようにして相手のレンジゲートに入ってしまいます。さらに目標艦のエコーよりも強い信号をミサイル側へ指向することによりミサイルを電波妨害弾へ追尾転移させることになります。妨害波は一方通行だけに目標艦の反射波より遥に出力が大きく、また目標艦がもがみ型のようなステルス艦であれば、さらにその違いは大きい訳です。
レンジゲート内に入った偽目標のエコーが目標エコーより大きくなる
画像引用元: 特許情報プラットフォーム 特開平08-200995 電波妨害装置 独立行政法人工業所有権情報・研修館
このように電波妨害弾1型は相手ミサイルに対して距離欺瞞を行うことにより、妨害当初から有効な妨害を行うことになります。これによりリアクションタイムの短縮と妨害持続時間を有効に確保することが期待出来るので、射出型妨害機の弱点である有効時間の短さを補うことが可能です。
なお、距離欺瞞を行わない妨害機はレンジゲートから外れているので、ミサイルは追尾転移を行いませんが、ミサイルが目標艦に接近するとレンジゲートが意味を為さなくなるため、レンジゲートから外れていた妨害機にも追尾転移する可能性が出てきますが、前述のとおりミサイルが相当接近しなくてはならず、貴重な時間を無駄にすることと、J/S比(ジャミング対信号比)が大きく悪化する(妨害が効かなくなる)ことになります。
さて話が長くなりました。以下のビデオをご覧ください。
BAE Systems Nulka - Advance Anti-ship missiles decoy defence system
https://www.youtube.com/watch?v=9j66ZvGGErQ
1:20と2:00付近で発射されたNulkaが発射母艦の進行方向の前方と後方に移動しているのが確認出来ると思います。つまり、相手ミサイル側から見て目標艦と同じ距離を保っている訳です。先ほどのお話を加味すると、Nulkaは相手ミサイルのレンジゲート内で移動していることになります。
発射されたNulka
画像引用元: Di U.S.Navy Naval Research Laboratory - http://www.nrl.navy.mil/pao/pressRelease.php?Y=2003&R=16-03r, Pubblico dominio, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=120106211
アクティブレーダーのレンジゲートとNulkaの位置
つまり、Nulkaでは最初から距離欺瞞を行う必要性が無いことを意味します。これはNulkaが自分自身の動力で自由に移動出来るので可能な芸当でしょう。電波妨害弾1型は Mk36 SRBOC チャフロケットシステムの固定式ランチ ャーから発射されてパラシュートで浮揚するので、このような真似は出来ません。なお、ペンギン先生によると電波妨害弾1型に関してもMk36 SRBOC ではなく、投射型静止式ジャマーランチャー 4連装発射機(FAJ)から発射しようという構想もあったそうです。
投射型静止式ジャマーランチャー 4連装発射機(FAJ)
画像引用元: Yasu osugi - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36555439による
個人的に有効な投棄型電波妨害機はNulkaのような内部動力を持ち、自由に移動できるものが望ましいでしょう。先日、艦載ヘリに妨害装置を搭載するような話も聞きましたが、今後はUAVのようなものに搭載する可能性も高いでしょう。
■距離欺瞞を行えるEJは画期的
■将来的にはNulkaのような動力付きEJが主流となるだろう
お暑うございます(^^)
先日、wikipediaの「電波妨害弾1型」の記述を加筆・修正しました。余り分かっていない部分を削除し、新たに分かった部分を加えています。
電波妨害弾1型(wikipedia)
電波妨害弾1型は自艦のレーダーやESMの情報を元に相手のミサイルに対して距離欺瞞を実施します。これによって相手ミサイルのアクティブレーダーのレンジゲート内に偽目標を出現させ、電波妨害弾へ追尾転移させます。
アクティブレーダーのレンジゲートと電波妨害弾の位置
イラスト画像引用元: https://www.ac-illust.com/
簡単な図を作ってみました。対艦ミサイルはアクティブレーダーで目標艦を追尾しますが、その際に目標艦との距離をベースとしてレンジゲート(黄色部分)を設定します。ミサイルから見てこの部分に入っているものを目標として認識し、入っていないものを無視します。
電波妨害弾は妨害波を遅延させて発信することにより、ミサイルから見た距離を目標艦との距離と等しくなるようにして相手のレンジゲートに入ってしまいます。さらに目標艦のエコーよりも強い信号をミサイル側へ指向することによりミサイルを電波妨害弾へ追尾転移させることになります。妨害波は一方通行だけに目標艦の反射波より遥に出力が大きく、また目標艦がもがみ型のようなステルス艦であれば、さらにその違いは大きい訳です。
レンジゲート内に入った偽目標のエコーが目標エコーより大きくなる
画像引用元: 特許情報プラットフォーム 特開平08-200995 電波妨害装置 独立行政法人工業所有権情報・研修館
このように電波妨害弾1型は相手ミサイルに対して距離欺瞞を行うことにより、妨害当初から有効な妨害を行うことになります。これによりリアクションタイムの短縮と妨害持続時間を有効に確保することが期待出来るので、射出型妨害機の弱点である有効時間の短さを補うことが可能です。
なお、距離欺瞞を行わない妨害機はレンジゲートから外れているので、ミサイルは追尾転移を行いませんが、ミサイルが目標艦に接近するとレンジゲートが意味を為さなくなるため、レンジゲートから外れていた妨害機にも追尾転移する可能性が出てきますが、前述のとおりミサイルが相当接近しなくてはならず、貴重な時間を無駄にすることと、J/S比(ジャミング対信号比)が大きく悪化する(妨害が効かなくなる)ことになります。
さて話が長くなりました。以下のビデオをご覧ください。
BAE Systems Nulka - Advance Anti-ship missiles decoy defence system
https://www.youtube.com/watch?v=9j66ZvGGErQ
1:20と2:00付近で発射されたNulkaが発射母艦の進行方向の前方と後方に移動しているのが確認出来ると思います。つまり、相手ミサイル側から見て目標艦と同じ距離を保っている訳です。先ほどのお話を加味すると、Nulkaは相手ミサイルのレンジゲート内で移動していることになります。
発射されたNulka
画像引用元: Di U.S.Navy Naval Research Laboratory - http://www.nrl.navy.mil/pao/pressRelease.php?Y=2003&R=16-03r, Pubblico dominio, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=120106211
アクティブレーダーのレンジゲートとNulkaの位置
つまり、Nulkaでは最初から距離欺瞞を行う必要性が無いことを意味します。これはNulkaが自分自身の動力で自由に移動出来るので可能な芸当でしょう。電波妨害弾1型は Mk36 SRBOC チャフロケットシステムの固定式ランチ ャーから発射されてパラシュートで浮揚するので、このような真似は出来ません。なお、ペンギン先生によると電波妨害弾1型に関してもMk36 SRBOC ではなく、投射型静止式ジャマーランチャー 4連装発射機(FAJ)から発射しようという構想もあったそうです。
投射型静止式ジャマーランチャー 4連装発射機(FAJ)
画像引用元: Yasu osugi - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36555439による
個人的に有効な投棄型電波妨害機はNulkaのような内部動力を持ち、自由に移動できるものが望ましいでしょう。先日、艦載ヘリに妨害装置を搭載するような話も聞きましたが、今後はUAVのようなものに搭載する可能性も高いでしょう。
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2024年07月20日
あなたの仕様書見せてください(03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上 編)
■03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上の仕様書が大火力リークスで公開された
■仔細に見てみると、従来のSAMに無かった機能が確認できる
■本邦のミサイル開発は変わりつつある
画像引用元: 防衛装備庁 - https://www.mod.go.jp/atla/soubi_system.html, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=113530740による
夏枯れでネタが無いので、毎度おなじみ大火力先生(@Military_Hobbys)のところから最近アップされた仕様書を見させて頂くことにしました。ということで、今回は「03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上」を取り上げることにします。
防衛装備庁試作仕様書 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上
https://drive.google.com/file/d/1KJMML6cp7JcyrCvxdm9304MhurS8yD91/view?usp=sharing
03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上はwikipediaによると令和5年(2023年)度から令和10年(2028年)度にかけて、新型の短距離弾道ミサイル (SRBM) と極超音速滑空体 (HGV) への対処能力を高めた中SAM改のさらなる改善型を開発する事業だそうです。
契約内容は以下の通りです。
品目 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上
契約日 2023/04/07
契約相手方 三菱電機
契約額 59,790,390,000 円
中SAM(改)の能力向上の開発で期間は2023年度から2028年度まで。
しかし、仕様書は全体で200頁以上あります。管理人も仕様書のゴーストライターやったことありますが、さすがにこんなには書けないですね(w
開発は既存の改善弾に適用出来るBlock1と、より性能を向上させたBlock2の2つに分かれています。Block1はASM-2B改善弾のように既存品に対して主にソフトウェア改修や付属品の更新による改善弾みたいなものでしょう。
管理人の仕様書を一読しての面白いなと感じたのは以下です。
@UTDC(Up To Date Command)に拠る近接信管の動作停止機能
A電子戦対処機能を有すること
@についてミサイル側が射撃統制装置から、発射後においてもかなり統制されることです。指令自爆機能を持つのは勿論ですが、目新しいのは以下の機能です。
つまり、発射後にUTDCの指令によって近接信管の機能を殺す(=直撃)モードにすることが出来ることになります。これにより、航空機や巡航ミサイルのような目標には近接信管による起爆で弾片をばらまくことでPK率の向上を諮り、弾道弾のような目標には直撃の運動エネルギーをもって目標を確実に破壊するという2つの方式を選択できるようになります。
イスラエル ラファエル社製Iron Domeの発射シーン
Iron Domeは重要目標へ飛来する目標にはSTS(Shoot To Shoot)射撃で連射を行い、そうでないものは単発で対応するそうです。映像をよく見るとSTSで発射した場合、最初の1発目で目標を破壊した際は既に発射された2発目は指令自爆させているように見えます。
この仕様書の中に従来のミサイルの仕様書で余り見かけない文言が出てきます。
これはSTS射撃の際に、次弾として待機しているミサイルを一旦発射禁止にして、目標指定を解除し新たな目標へ指向させるということでしょう。STS射撃は確実性が高い反面、無駄弾が出る可能性も高いですから、タマの消費を抑えるという意味で有効だと思われます。
Aについては以下の文言が出てきます。
つまり、相手のレーダーや電子妨害波などの電子戦情報を収集して持ち帰れるようにするということです。戦闘機などに搭載されているRWR(radar Warning Receiver)、例えばF-15Jに搭載されているAPR-4はRECモードがあり、パイロットの操作により受信情報をデータとして持ち帰れるようになっています。F-2はRWRと言わず、わざわざESM(electric Support Measure)と呼んでいることから、もっと広範囲な情報を収集できると思われます。意外なのはC-2輸送機で、海外任務に従事する関係上、RWRを装備してそれなりの電子情報収集機能を持っているそうです。
特に地対空ミサイルシステムの場合は、レーダーを備えている訳ですから、レーダー情報と受信した電波情報の双方を持ち帰ることが出来ることから、より精度が高い情報を持ち帰れることになります。
令和6年度調達予定品目(中央調達分)で艦船用としてSAAB社製電波探知装置CRS−NAVAL、電波探知装置SME−150の導入が伝えられましたが、陸海空の各プラットフォームの電波情報収集機能を強化する動きは注目に値するでしょう。
■仔細に見てみると、従来のSAMに無かった機能が確認できる
■本邦のミサイル開発は変わりつつある
画像引用元: 防衛装備庁 - https://www.mod.go.jp/atla/soubi_system.html, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=113530740による
夏枯れでネタが無いので、毎度おなじみ大火力先生(@Military_Hobbys)のところから最近アップされた仕様書を見させて頂くことにしました。ということで、今回は「03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上」を取り上げることにします。
防衛装備庁試作仕様書 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上
https://drive.google.com/file/d/1KJMML6cp7JcyrCvxdm9304MhurS8yD91/view?usp=sharing
03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上はwikipediaによると令和5年(2023年)度から令和10年(2028年)度にかけて、新型の短距離弾道ミサイル (SRBM) と極超音速滑空体 (HGV) への対処能力を高めた中SAM改のさらなる改善型を開発する事業だそうです。
契約内容は以下の通りです。
品目 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上
契約日 2023/04/07
契約相手方 三菱電機
契約額 59,790,390,000 円
中SAM(改)の能力向上の開発で期間は2023年度から2028年度まで。
しかし、仕様書は全体で200頁以上あります。管理人も仕様書のゴーストライターやったことありますが、さすがにこんなには書けないですね(w
開発は既存の改善弾に適用出来るBlock1と、より性能を向上させたBlock2の2つに分かれています。Block1はASM-2B改善弾のように既存品に対して主にソフトウェア改修や付属品の更新による改善弾みたいなものでしょう。
管理人の仕様書を一読しての面白いなと感じたのは以下です。
@UTDC(Up To Date Command)に拠る近接信管の動作停止機能
A電子戦対処機能を有すること
@についてミサイル側が射撃統制装置から、発射後においてもかなり統制されることです。指令自爆機能を持つのは勿論ですが、目新しいのは以下の機能です。
附属書4 誘導弾(B 1 o c k 1)
2 .6 機能 ・性能
2. 6. 1 機 能
b) 誘導制御部
ア.、、、なお、ホーミングヘッドは、 射撃統制装置から発射装置を経由して受信する目標の類別結果に基づいて、近接センサに対して弾頭 の起爆を制御する信号を出力できるものとする。
エ .、、、なお、 近接センサは、ホーミングへツドからの指示に基づき、弾頭を起爆させるための信号を出力しない機能も有すること。
引用元: 4−05−2004−582A−AD−0003
防衛装備庁試作仕様書
03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上
つまり、発射後にUTDCの指令によって近接信管の機能を殺す(=直撃)モードにすることが出来ることになります。これにより、航空機や巡航ミサイルのような目標には近接信管による起爆で弾片をばらまくことでPK率の向上を諮り、弾道弾のような目標には直撃の運動エネルギーをもって目標を確実に破壊するという2つの方式を選択できるようになります。
イスラエル ラファエル社製Iron Domeの発射シーン
Iron Domeは重要目標へ飛来する目標にはSTS(Shoot To Shoot)射撃で連射を行い、そうでないものは単発で対応するそうです。映像をよく見るとSTSで発射した場合、最初の1発目で目標を破壊した際は既に発射された2発目は指令自爆させているように見えます。
この仕様書の中に従来のミサイルの仕様書で余り見かけない文言が出てきます。
附属書6 対空戦闘指揮装置(Blockl) 用 ソフトウェア
2.4 機能・性能
2. 4. 1 機能
イ. 目標変換等幾能
(ア )射撃の禁止機能
発射指令を禁 止し て、目標指定を解除できるこ と。
(イ )射撃の控置機能
発射指令を禁止 して、新たな射撃を行わないよう指令できること。
(ウ) 目標変換機能
交戦を打切り、新たな目標へ交戦の指示ができるこ と。
これはSTS射撃の際に、次弾として待機しているミサイルを一旦発射禁止にして、目標指定を解除し新たな目標へ指向させるということでしょう。STS射撃は確実性が高い反面、無駄弾が出る可能性も高いですから、タマの消費を抑えるという意味で有効だと思われます。
Aについては以下の文言が出てきます。
附属書7 射撃統制装置(Blockl) 用ソフトウェア
2,4 機能・性 能
2. 4. 1 機能
f)情報収集機能
オ 電子戦対処能
(ア) ES情報及び電子妨害機情報を収集できるこ と。
用語及び定義
32 ES Electronic Supportの略
敵の電子的情報(電波)を分析し、電波諸元等を分析することにより、敵に対する妨害(ECM :Electronic Counter Measure) 又は対妨害(EP)の手段選択の支援のための機能
つまり、相手のレーダーや電子妨害波などの電子戦情報を収集して持ち帰れるようにするということです。戦闘機などに搭載されているRWR(radar Warning Receiver)、例えばF-15Jに搭載されているAPR-4はRECモードがあり、パイロットの操作により受信情報をデータとして持ち帰れるようになっています。F-2はRWRと言わず、わざわざESM(electric Support Measure)と呼んでいることから、もっと広範囲な情報を収集できると思われます。意外なのはC-2輸送機で、海外任務に従事する関係上、RWRを装備してそれなりの電子情報収集機能を持っているそうです。
特に地対空ミサイルシステムの場合は、レーダーを備えている訳ですから、レーダー情報と受信した電波情報の双方を持ち帰ることが出来ることから、より精度が高い情報を持ち帰れることになります。
令和6年度調達予定品目(中央調達分)で艦船用としてSAAB社製電波探知装置CRS−NAVAL、電波探知装置SME−150の導入が伝えられましたが、陸海空の各プラットフォームの電波情報収集機能を強化する動きは注目に値するでしょう。
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2024年07月06日
【祝】新型無人標的機Bansee Jet 80導入
■第101無人標的機隊 へ無人標的機Bansee Jet 80が導入された
■Banseeは小型無人標的機の世界標準たる存在
■最低飛行高度5mで巡航ミサイルも模擬できるBanseeは訓練の高度化をもたらすだろう
先日、Xにて第101無人標的機隊 がBanseeの飛行訓練を実施していることが公開されました。
https://x.com/NA_1AAB_PR/status/1809040720403312693
写真を見ると、この機体はBanshee Jet 80又はその発展型であるJet80+のように見えます。後部から見るとジェットエンジンのノズルらしきものが2つ確認できるので、双発であるBanshee Jet 80シリーズなのは間違いないと思いますが、+か無印かどうかは外観では余り分かりませんでした。+の方は静止推力が無印の40kg x2から、45kg x2へパワーアップされていて速度や航続時間も向上しています。
Banshee Jet 80+(写真はBanshee Jet 80)
https://www.qinetiq.com/en/what-we-do/services-and-products/banshee-jet-80-plus
画像引用元: By MKFI - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60041234
管理人のような古い人間はBanseeは各種えい航標的でおなじみのMeggitt社の製品だと思っていたのですが、Meggitt社は2016年に無人標的機部門( Meggitt Target Systems)を英国QinetiQ 社へ売却しており、現在は QinetiQ社の製品のようです。
浅学のため、QinetiQ社という会社は存じ上げなかったのですが、、英国ハンプシャー州ファーンバラに本社を置く多国籍防衛技術企業なんだそうです。まぁ、民間軍事会社みたいなものですかね。
QinetiQ社
https://www.qinetiq.com/en/
管理人はBansheeとは若干の係わりがあり、本邦へ導入されないものかなぁと常々思っておりました。何しろ、この機体はその優秀さから英国本国のみならず世界各国で採用されていますし、値段もCHUKARIII(BQM-74E)なんかと比べてもかなり安いんじゃないでしょうか。
そんな中、第101無人標的機隊がBansheeしかも最新型のBanshee Jet 80を導入したのを知って驚いたと共に、このBansheeはどういう位置づけ何だろうと考える訳です。というのは、第101無人標的機隊は短SAM等ミサイル射撃時用の高速標的機として既に2つの機種を運用しています。
一つはお馴染みの高速標的機 CHUKAR-V
画像引用元: 第1高射特科団 https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/katudou/1aab/butai_syoukai/equipment.html
もう一つは新高速標的機(FB型) 航空事業部のJ/AQM-2の陸上発射版です。
画像引用元: 第1高射特科団 https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/katudou/1aab/butai_syoukai/equipment.html
つまり、既に高速標的機が2つも存在しているのに新たに高速標的機を導入しようというのです。
こちらの写真を見ると、翼端に赤外線バーナーのようなものが見えます。ということは、こちらの標的は主に短SAMやMANPADSの標的となるようです。
画像引用元: X 第1高射特科団【公式】@NA_1AAB_PR
さて、新たな高速標的機を導入する理由ですが、以下ではないかと考えています。
●米陸軍がJet 80+を MQM-185Bとして導入している
これが影響した可能性はあるでしょう。(訓練などで相互に融通できる)
QinetiQ to deliver unique Banshee Jet 80+ target system to US Army
https://www.qinetiq.com/en-gb/news/qinetiq-to-deliver-unique-banshee-jet-80
●巡航ミサイルを模擬できる
Banshee Jet 80+の最低飛行高度は5 metres (16ft) ASLであり、また統合GPS、自律航法ポイント・ナビゲーション、デジタル・テレメトリーシステムを搭載している。現状の本邦の無人標的機で巡航ミサイルを模擬できるのはASM-2から派生した巡航ミサイル模擬標的位じゃないでしょうか。
今後、本邦の高射特科には11式短SAMや現在開発中の新近SAMなど、見通し線外射撃能力を持つミサイルが主力となっていくので、超低空で飛行して巡航ミサイルを模擬できるBanshee Jet 80+のような無人標的機は重宝されるでしょう。
また、製品カタログでは以下のように謳われています。
陸海空の数多くのタマの訓練に対応できる多用途ぶりです。無人標的機の機種を統一して大量に調達すればコストも下がるでしょう。序に運用は民間へ委託しても良いかもしれません。
最後に気になったのは巨大なラウンチカタパルトです。
画像引用元: X 第1高射特科団【公式】@NA_1AAB_PR
こちらはRobonic Ltd Oy というフィンランドの会社の製品のようです。
ROBONIC KONTIO (MC2555LLR) PNEUMATIC UAV LAUNCHER
https://www.robonic.fi/wp-content/uploads/2012/10/MC2555LLR_RGB.pdf
■Banseeは小型無人標的機の世界標準たる存在
■最低飛行高度5mで巡航ミサイルも模擬できるBanseeは訓練の高度化をもたらすだろう
先日、Xにて第101無人標的機隊 がBanseeの飛行訓練を実施していることが公開されました。
https://x.com/NA_1AAB_PR/status/1809040720403312693
写真を見ると、この機体はBanshee Jet 80又はその発展型であるJet80+のように見えます。後部から見るとジェットエンジンのノズルらしきものが2つ確認できるので、双発であるBanshee Jet 80シリーズなのは間違いないと思いますが、+か無印かどうかは外観では余り分かりませんでした。+の方は静止推力が無印の40kg x2から、45kg x2へパワーアップされていて速度や航続時間も向上しています。
Banshee Jet 80+(写真はBanshee Jet 80)
https://www.qinetiq.com/en/what-we-do/services-and-products/banshee-jet-80-plus
画像引用元: By MKFI - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60041234
管理人のような古い人間はBanseeは各種えい航標的でおなじみのMeggitt社の製品だと思っていたのですが、Meggitt社は2016年に無人標的機部門( Meggitt Target Systems)を英国QinetiQ 社へ売却しており、現在は QinetiQ社の製品のようです。
浅学のため、QinetiQ社という会社は存じ上げなかったのですが、、英国ハンプシャー州ファーンバラに本社を置く多国籍防衛技術企業なんだそうです。まぁ、民間軍事会社みたいなものですかね。
QinetiQ社
https://www.qinetiq.com/en/
管理人はBansheeとは若干の係わりがあり、本邦へ導入されないものかなぁと常々思っておりました。何しろ、この機体はその優秀さから英国本国のみならず世界各国で採用されていますし、値段もCHUKARIII(BQM-74E)なんかと比べてもかなり安いんじゃないでしょうか。
そんな中、第101無人標的機隊がBansheeしかも最新型のBanshee Jet 80を導入したのを知って驚いたと共に、このBansheeはどういう位置づけ何だろうと考える訳です。というのは、第101無人標的機隊は短SAM等ミサイル射撃時用の高速標的機として既に2つの機種を運用しています。
一つはお馴染みの高速標的機 CHUKAR-V
画像引用元: 第1高射特科団 https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/katudou/1aab/butai_syoukai/equipment.html
もう一つは新高速標的機(FB型) 航空事業部のJ/AQM-2の陸上発射版です。
画像引用元: 第1高射特科団 https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/katudou/1aab/butai_syoukai/equipment.html
つまり、既に高速標的機が2つも存在しているのに新たに高速標的機を導入しようというのです。
こちらの写真を見ると、翼端に赤外線バーナーのようなものが見えます。ということは、こちらの標的は主に短SAMやMANPADSの標的となるようです。
画像引用元: X 第1高射特科団【公式】@NA_1AAB_PR
さて、新たな高速標的機を導入する理由ですが、以下ではないかと考えています。
●米陸軍がJet 80+を MQM-185Bとして導入している
これが影響した可能性はあるでしょう。(訓練などで相互に融通できる)
QinetiQ to deliver unique Banshee Jet 80+ target system to US Army
https://www.qinetiq.com/en-gb/news/qinetiq-to-deliver-unique-banshee-jet-80
●巡航ミサイルを模擬できる
Banshee Jet 80+の最低飛行高度は5 metres (16ft) ASLであり、また統合GPS、自律航法ポイント・ナビゲーション、デジタル・テレメトリーシステムを搭載している。現状の本邦の無人標的機で巡航ミサイルを模擬できるのはASM-2から派生した巡航ミサイル模擬標的位じゃないでしょうか。
今後、本邦の高射特科には11式短SAMや現在開発中の新近SAMなど、見通し線外射撃能力を持つミサイルが主力となっていくので、超低空で飛行して巡航ミサイルを模擬できるBanshee Jet 80+のような無人標的機は重宝されるでしょう。
また、製品カタログでは以下のように謳われています。
Banshee have been used by customers to test the
effectiveness and operational readiness of weapon systems including:
-Air-to-Air Missiles: Meteor, AMRAAM, Aim-7 Sparrow, Aim-9 Sidewinder, IRIS-T, MICA, Aspide, and R550 Magic Missile
– Ground/MANPAD/Surface-to-Air Missiles: Stinger, AKASH, Sea Wolf, Mistral, Sadral, Rapier/Jernas, HVM,
Simbad, Crotale, Blowpipe, Javelin, Starburst, Starstreak, Sea Sparrow, ESSM, SPYDER, NASAMS, SM1, SM2 Hawk,and Patriot
– Guns/Cannon Systems: Phalanx, Sea Zenith, Seaguard, AHEAD, Goalkeeper, plus a range of large/medium cal naval guns and cannon systems (20mm-155mm)
引用元: Banshee Jet 80+ Product Sheet
陸海空の数多くのタマの訓練に対応できる多用途ぶりです。無人標的機の機種を統一して大量に調達すればコストも下がるでしょう。序に運用は民間へ委託しても良いかもしれません。
最後に気になったのは巨大なラウンチカタパルトです。
画像引用元: X 第1高射特科団【公式】@NA_1AAB_PR
こちらはRobonic Ltd Oy というフィンランドの会社の製品のようです。
ROBONIC KONTIO (MC2555LLR) PNEUMATIC UAV LAUNCHER
https://www.robonic.fi/wp-content/uploads/2012/10/MC2555LLR_RGB.pdf
ハセガワ 1/48 UF-104 スターファイター(J型) 航空自衛隊 硫黄島無人機運用隊 07527スタ-フアイタ-イオウジマムジンキ [07527スタ-フアイタ-イオウジマムジンキ] 価格:3140円 |