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2015年10月30日

第三章第三節 川島芳子を匿った段連祥

段連祥の経歴から見て、一九三四年五月から一九三五年一月までに、彼が瀋陽虎石台協和学院実習科で日本語を勉強していたのは、彼が十六歳から十七歳のときで、今の我々で言えば高校生に相当する。当時、川島芳子はちょうど満州国安国軍司令であり、威勢良く名声も轟いていた時期であった。段連祥は完全に日本殖民当局の意志で運営された学校で、この名声赫々たる「金璧輝司令」に対し、噂を耳にしただけでなく、彼が臨終の際に張玉に語ったように、川島芳子に対して好奇心と羨望を抱き、川島芳子のファンとなり、一九三七年以後には、天津東興楼へまで追いかけて行って川島芳子と相知ったのである。
段連祥が日本語に精通しており、彼が川島芳子に日本語で手紙を書けたことは、半日本人とでもいえる川島芳子と交流するための重要条件であった。
段連祥は川島芳子より十二歳若く、この年齢差は二〇世紀三〇年代に川島芳子の秘書であった小方八郎の年齢と比較的近く、これも川島芳子が男性の伴侶を選ぶときの心理特性と符合する。
 小方八郎は中年の川島芳子にたいへん忠実であったが、段連祥も老年に入ろうとしている川島芳子にたいへん忠実に仕えた。川島芳子が新立城で生活した三十年の期間中に、《七哥》と于景泰の世話を受けたこともあるが、彼ら二人から世話を受けた期間は短く、どちらも途中で離れてしまった。于景泰は一九六六年《文革》が開始したころ原因不明の死を遂げ、《七哥》秀竹は于景泰の死後まもなく、雲南にいる老母の世話をすると故郷に帰って以来、音信普通になってしまった。しかし、段連祥は川島芳子に対し最後まで仕えた。そのほか、彼と川島芳子は夫婦のように装い、自己を完全に川島芳子に捧げたのである。彼は自分の養女とした段霊雲を川島芳子の養女とし、段霊雲から言えば《方ママ》は彼女の第二の母親であった。段連祥の孫娘張玉からすれば、方おばあさんは彼女の第二のおばあさんであった。段連祥から祖孫三代に渡り川島芳子の余生に付き添い、川島芳子の三十年にわたる孤独と寂寞を慰めたのである。段連祥のあり方は、死中に一生を得て、意気消沈していた川島芳子にとって大きな心の支えになったに違いない。もし日本にいる小方八郎がこのことを知れば、自分が付き添えなかったことを悔いていただろう。
段連祥の臨終の遺言によれば、彼は一九四八年末に川島芳子の救助に参加し長春市郊外新立城へ落ち着かせた。その時から、川島芳子を世話して付き添うことが段連祥の生活において一つの責任となった。段連祥は新中国成立後の一九五〇年、瀋陽鉄路局蘇家屯駅で新たに仕事に参加し、機関車修理溶接工と検車員を務めた。一九五一年には四平鉄車輌場の検車員に転属された。「粛反運動」「三反五反運動」「反右派闘争」など政治運動の中で、段連祥は逃亡変節などの経歴上の問題を組織に知られたが、彼には何の処分もなされなかった。しかし、一九五八年の「大鳴大放」運動において、段連祥は多くの「不満言論」をなした。当時の状況下で、段連祥は経歴と現行の問題により、四平鉄路車輌場の公職を追放され、輝南県杉松岡鎮に送られて労働教育を受け、一九六五年になり労働教育から解かれ、四平の家に戻り、七年にわたり隔絶された川島芳子との連絡を取り戻した。しかし、川島芳子は段連祥が労働教育を受けたときも、彼女の新立城での生活に影響を受けることはなかった。
一九七八年初頭に、川島芳子は病気で逝去した。彼女がこの世に別れを告げたときに、唯一彼女のそばで看取ることができたのは、彼女の親戚ではなく、親戚よりも親しくしていた段連祥であった。こうして段連祥は川島芳子の世話と最期を看取るという責任を果たし終えたのである。
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