2014年04月17日
舞台『海峡の光』
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辻仁成原作・演出の舞台『海峡の光』を観てきました@よみうり大手町ホール。
芥川賞受賞作品でもある『海峡の光』の原作は、外に出たくても出る自由のない刑務所と、乗り続けたいのに廃線になってしまう青函連絡船。およそ世の中の誰にもあてはまる「望んだ場所にいられない辛さ」が作品全体を重苦しく覆うなかで、唯一、自分の居たい場所にいる自由を謳歌している囚人花井が羨ましい作品。
心の一部で花井のことを羨んでいるにもかかわらず、そうと思いたくないあまり、最後、とんちんかんに自分を納得させてしまう(ように思える)齋藤看守の哀れさもけっこう好きです。
それが舞台化され、一体どうなるんだというと、あらすじは、原作の最後の数頁をカットしたような感じです。←ざっくり。
また、原作ではあまり描かれない刑務所の囚人たちと齋藤と花井の中学生時代の同級生がたくさん登場します。
刑務所にいるにも関わらず、楽しそうな花井(中村獅童さん)以下の囚人兼同級生の男の子たちと、逆に規則に縛られ、自由の無い「看守」。
まぁそこは原作と変わらないのですが、原作よりもさらに齋藤看守(ラーメンズ片桐仁さん)が気の毒。
あんなに理不尽にみじめな設定にする必要あったのか…と疑問に思うくらい。
具体的には、妻に浮気され離婚され、静は花井の元カノ(?)だった、というオチです。
基本的にドキドキワクワクが一切ない沈鬱なスト−リーなので、いろいろ考え込むことが好きな人には合っているかもしれませんが、起承転結のハッキリした活劇を求める人には少々退屈かもしれません。
私は正直、辻仁成氏のこと、何が言いたいのかよくわからない人だと思っているので、終始、結局何が言いたいんだろう…?と物思いが尽きず、充実した1時間50分でした。
あくまで、前評判ほど悪くはない、という意味で。
辻氏のパンフレットの巻頭言も嘘っぽくて、相変わらず何言ってんだこの人は、と思ったことは否定しません。
なのでもちろん好きな場面もあります。
なかでもいちばん好きなのは、実習船の夜、花井と齋藤が客席で対峙する場面で、勝手に船室を抜け出すのは禁止だと怒る刑務官に対し、花井の放つ「でも齋藤先生が許可をくれました!」という一言は、中学で齋藤を、刑務所で蜂屋を、そして今度は看守になった齋藤さえも孤立させてやるぞ、と暗に脅しているようで、すこし舞台版『海峡の光』のメッセージがつかめたような気がします。
一方で、原作から大幅に改変が加えられているダリアと青函連絡船はもっとスッキリまとめてほしかったです。
ダリアというのは、刑務所で花井が囚人達に語り聞かせる妖艶な踊り子のこと。
原作における「静」が実はダリアで花井に振られたため自殺未遂をはかったという設定でした。
ダリアは青森出身の踊り子でポーランドだかロシアの血が混じっていて砂漠には行ったことがないはずなのに、途中から砂漠の太陽の象徴のように扱われだすし、ダリア役の水野愛子さんのスタイルが良すぎて、豊満なたゆんたゆん感があまりない…。しかも音楽が妙にスパニッシュなので、イメージが定まらなかったです。
音楽といえば最初と幕間のロックな感じのインストは「SUGIZOの曲」という先入観もあり、どうしても、え、GIG!?GIGですか?黒い服着てくるやつ…?って、なります(往年のバンギャだけ?)。バイオリンは素敵だったのに。
青函連絡船も、原作では齋藤が船の元客室乗務員ですが、舞台版では花井が昔、客室乗務員として働いていたことになっています。花井、ただの海が好きな子じゃん!笑
羊蹄丸の描かれ方も私はちょっと腑に落ちない。
というのも、青函連絡船が廃線になるのは青函トンネルなり空路なりの代替手段が発達したからで、別に廃線になったところで函館と青森の行き来が困難になるわけでもないのに、廃線で往来が断絶されてしまうような雰囲気が解せませんでした。
私、津軽海峡見たことないのですが、そんな絶望的に大地をわかつ風景なのかな…。
和子(村川絵梨さん)の「こんな狭い場所(=函館)に〜」っていうセリフも、青森と北海道なら北海道のほうが広いんじゃないの?って思いながら観てました。
そういえば辻仁成氏がTwitterで呟いていた「砂」の演出はどうなったんだろう。もしかしてタップダンスの時に上からバサバサ砂が落ちてくる映像を本物の砂でやる予定だったとか?
また、「人の頭が波のように見える」という演出に関しても、私は「一体どのへんが…?」と不思議に思っていたのですが、4月16日(水)のアフタートークでその謎が判明。
花井と齋藤が客席中央まで降りる場面、前方の観客は、どうしても後ろを振り返ることになります。
大勢の観客が一点に向かって首を回す動きが、さながら津軽海峡の波のように見えるのだとか。
私は残念ながら(?)前方席だったので、波の動きは味わえなかったのですが、自分も波の一部になれていたのかと思うと少しいい気分。
あ、しかもよく見るとライフジャケットに「越前」って書いてある(笑)←ごく個人的なノスタルジー
と、雑多に思いついたことを羅列してみましたが、基本的に全編シリアスな舞台のなかで、囚人佐藤&生徒B役の玉城裕規さんが唯一の救い(許された笑い要素?)で、やっぱりすごかったです。なかでも「そうでしょう?どうでしょう?」ってセリフがお気に入り。
でも、囚人○○と生徒○って、分ける必要あったのかな。それが分かれている理由まではよくわかりませんでした。
*4/25追記
4/24観劇でようやく意味がわかりました。そして私の理解力がひもじいことも!「生徒」って中学時代の生徒のことですね。船舶科の「生徒」じゃなくてね・・・。
また、今日は、曽世さん演じる看守の「イトコがハト行為を〜」ってセリフが、(イトコなのに、ハトコ・・・)って感じでツボにはまって大変でした。
続きに、巷で話題の玉城さんのセリフ一覧をまとめてみましたので、気になる方はご覧ください(笑)
玉城裕規さんファンのTwitterをにぎわせる(笑)囚人佐藤のセリフを覚えているかぎり羅列しておきます。記憶が頼りないところもありますがご了承を。
- ・ありがと♡
- ・パチンコパチンコチンコチンコチンコのことしか頭にないわ〜!!
- ・競輪行きたいわよぅ!!
- ・娑婆、シャバ、シャバダバ〜
- ・ちょっとアンタ!(多用)
- ・どうやって口説いたのよ、そんないい女!
- ・こんな感じ?(セクシーポーズ)
- ・出たー!(雌ヒョウ)
- ・ダリアばんざーい♡
- ・すみましぇーん。
- ・もっとダリアの話を聞きたいわ。そうでしょう?どうでしょう?
「オカマちゃん」という設定なのに花井のダリア猥談をノリノリで聞いてるあたり、佐藤はだいぶ複雑なセクシャリティの持ち主なんだろうなと思いました。
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